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勇者の条件  作者: KEI
第12話 空は異常なし

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(一)復旧計画

◆ 復旧計画


魔王城、戦略会議室。


長卓の上には、三つの倒れた札が置かれていた。


深海拠点、陥落。


深森拠点、陥落。


火山拠点、陥落。


その横には、転移ゲート復旧表が広げられている。


中央中継門、仮復旧準備中。


東部中継門、術式再構成中。


北方補給門、部材搬入待ち。


西部中継門、座標石交換待ち。


沿岸監視門、軽微損傷。


旧街道監視門、接続不安定。


国境補助門、座標調整待ち。


魔王大陸の本土門は残っていた。


魔王城。


深森。


火山。


南方軍港。


それらの門は生きている。


だが、人間側大陸に張り出していた線は切られ、前線への命令と報告は遅れていた。


死霊宰相が、骨の指で表を押さえる。


「三拠点の完全奪還には時間がかかります。ただし、人間側が保持を続ける余力も限られています」


竜将が言う。


「ならば、こちらから奪還に出るべきです」


「焦れば、こちらの兵站も崩れます」


死霊宰相は淡々と答えた。


「深海方面は船団の残骸と潮流で乱れています。深森方面は森が荒れ、魔物の配置も崩れています。火山方面は洪水後の地形が不安定です。拠点を戻すにしても、連絡線が整わなければ再保持が難しい」


転移門管理官が、青ざめた顔で続ける。


「中央中継門の仮復旧を最優先に進めています。東部中継門はその次です。西部は、申し訳ありませんが後回しになります」


吸血侯が細い目で地図を見る。


「西の報告はさらに遅れますね」


「代替通信で補う」


現魔王が言った。


「鳥、密偵、商人道、伝令。使えるものは使え」


竜将が身を乗り出す。


「しかし陛下。拠点を三つ失っております。このまま待てば、人間どもに足場を固められる」


「深海を落とした船団は動けない。深森を抜いた軍も止まっている。火山を落とした軍も進めない」


現魔王は、倒れた三つの札を見た。


「拠点は戻せる。だが、魔王城を空にしてまで戻すものではない」


竜将は、反論しかけて黙った。


死霊宰相が記録する。


三拠点奪還準備、継続。


転移ゲート復旧、継続。


魔王城防衛、優先維持。


その時、火鏡塔の信号係が入ってきた。


「天空要塞より、定時報告です」


会議室にいた者たちの視線が、一斉に地図の北へ向いた。


雲の上の要塞。


魔王城へ至る最後の道を見下ろす、空の目である。



※第12話「空は異常なし」は全五回です。

続きます。


作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/yuusha-no-jouken-top/

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