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勇者の条件  作者: KEI
第27話 出られない国

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(四)契約部隊

◆ 契約部隊


会議の後、高官たちは灰の一団について話した。


軍務卿が言う。


「正規兵に組み込めば、辺境作戦の成功率が上がる」


諜報局長が答える。


「密偵ではない。だが、現地情報を拾う能力が高い。しかも戻ってくる」


魔術院長は、ミルカの報告書を見ていた。


「ミルカという娘は、魔術院の形式では測れません。出力ではなく制御が異常です」


別の軍人が言う。


「ガルドという剣士は、前線に置けば突破力になる」


神殿系の役人も口を挟む。


「エナという見習い神官も見逃せません。癒やしの力がある。危険察知のようなものもあるようです」


財務官が言った。


「報酬を支払えば動くのであれば、王国契約にした方がよい」


誰かが低く言った。


「他国に出すべきではない」


別の者がうなずく。


「少なくとも、転送ゲート問題が片づくまでは」


その話を、ロアンたちは聞いていない。


けれど、決まったことは彼らの前に出された。


翌日、灰の一団は再び呼ばれた。


軍務卿が穏やかな声で言う。


「貴殿らの働きは、王国にとって大きい。よって、正式な契約部隊として遇したい」


ロアンは戸惑った。


「契約部隊、ですか」


「そうだ。王国の支援を受け、王国の任務にあたる。報酬、宿舎、補給、装備の補修、通行証、王国内での活動許可を与える」


ガルドが小声で言う。


「砥石は?」


ミルカが小声で返す。


「たぶん含まれる」


「それは助かる」


エナも少し安心した顔をした。


薬草が補充される。


休む場所がある。


怪我人を見ても、自分だけを削らずに済む。


ロアンも一瞬、悪くない話だと思った。


旅を続けるには金がいる。


補給がいる。


身分保証がいる。


王国の支援があれば、動きやすくなる。


軍務卿は続けた。


「部隊名は、アークガルム王国第八傭兵団第三遊撃部隊。通称は、これまで通り灰の一団でよい」


ロアンはその長い名前に、少し目を瞬かせた。


「アークガルム王国、第八、ええと」


ミルカが小声で言う。


「あとで書く」


「助かる」


ガルドは首をかしげる。


「灰の一団でいいなら、最初からそれでいいのでは」


ミルカが言う。


「書類には長い名前が必要なの」


「書類は大変だな」


「本当に」


ミルカは軍務卿を見る。


「契約内容を確認しても?」


軍務卿は少し意外そうな顔をしたが、すぐに笑った。


「もちろんだ」


ミルカは提示された書類を見る。


報酬。


宿舎。


補給。


装備補修。


王国内通行。


任務時の負傷補償。


悪くない。


むしろ、破格に近い。


けれど、ミルカの目が一点で止まった。


「王国外への移動は?」


軍務官が答える。


「任務に応じて許可する」


ロアンはその言葉の意味をすぐには飲み込めなかった。


エナも分かっていない。


ガルドは書類を見ていない。


だが、ミルカは分かった。


自由移動ではない。


許可制だ。


「分かりました」


ミルカはそう言ったが、表情は明るくなかった。



※第27話「出られない国」は全九回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/yuusha-no-jouken-top/

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