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勇者の条件  作者: KEI
第26話 報酬はもらう

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(六)人助けはします。でも、依頼なら

◆ 報酬はもらう


数日後、灰の一団は新しい依頼を受けることになった。


村外れに出る魔物を追い払ってほしいという依頼だった。


村長は申し訳なさそうに言った。


「大きな報酬は出せない」


ミルカが確認する。


「食料と薬草の補充は?」


「それなら出せる」


「怪我人が出た場合の布と場所は?」


「用意する」


「魔物が想定より多い場合は撤退します」


村長は不安そうにロアンを見る。


ロアンはまっすぐ言った。


「報酬はもらいます」


村長は少し驚いた。


「噂では、人助けをしてくれると」


ロアンは頷いた。


「人助けはします。でも、依頼なら報酬はもらいます」


エナは少し緊張した顔をしていた。


ガルドは普通にうなずいている。


ミルカは帳簿を閉じた。


村長はしばらく考えた。


それから、ゆっくり頷く。


「分かった。それで頼む」


ロアンは頷き返した。


「引き受けます」


その瞬間、灰の一団は、ただの善意の旅人ではなくなった。


危険な依頼を受ける。


報酬を取る。


次の土地へ向かうために、活動を続ける。


それは冷たいことではなかった。


続けるための形だった。


その後、宿場や村の間で、灰の一団の評判は少し変わった。


「灰の一団は腕は立つが、ただでは動かない」


「危険な道なら、相応に取る」


「若いが、契約は細かい」


「慈善団体ではない」


商人や村役人の間では、そう言われるようになった。


一方で、別の話も残った。


「老婆の薪を運んでくれた」


「子どもの膝を洗ってくれた」


「壊れた柵を直してくれた」


「宿屋の帳面を直してくれた」


「道を教えてくれた」


どちらも事実だった。


灰の一団は、慈善団体ではなかった。


危険な依頼を受ければ、報酬を求めた。


森を越えるなら、食料が要る。


魔物と戦うなら、薬草が要る。


剣を振るうなら、砥石が要る。


雨の中を進むなら、外套を直す布が要る。


癒やしを使うなら、エナを休ませる時間が要る。


旅を続けるには、金が要る。


だから、灰の一団は報酬をもらった。


それを言い出したのは、ミルカだった。


困っている人を助けるべきだと言ったのは、エナとガルドだった。


そして、その両方を聞いた上で、ロアンが決めた。


依頼なら、報酬をもらう。


ただし、個人の責任でできる小さな手助けは自由。


それが灰の一団の方針になった。


だから、外から見れば彼らは慈善団体ではなかった。


危険度に見合った相応の報酬を受け取る、冒険者兼傭兵集団だった。


だが、近くで見た者は別のことも知っていた。


ロアンは老婆の荷物を持った。


ミルカは宿屋の帳面を直した。


エナは子どもの膝を洗った。


ガルドは壊れた柵を直した。


それらは依頼ではなかった。


灰の一団の仕事でもなかった。


ただ、それぞれが自分の責任で行った、小さな手助けだった。


後に、灰の一団を調べた者はこう記す。


危険度に見合った相応の報酬を受け取っており、慈善団体ではない。


それは正しい。


だが、それだけでもなかった。


彼らは報酬を受け取った。


そして、報酬にならない小さな手助けも、やめなかった。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/yuusha-no-jouken-top/

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