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勇者の条件  作者: KEI
第26話 報酬はもらう

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(五)仕事なら報酬、手助けなら自由

ロアンは椅子に座った。


エナも姿勢を正す。


ガルドは壁にもたれた。


ミルカは四人を見回す。


「私は、基本的には報酬を受け取るべきだと思う。危険なことをするなら、なおさら」


エナが不安そうに言う。


「でも、払えない人はどうしますか」


ガルドも言った。


「助けられるなら、助ければいいだろ」


ミルカは答える。


「それを全部やっていたら、私たちが先に動けなくなる」


エナは言う。


「でも、怪我をしてる人を見たら、放っておけません」


ガルドもうなずく。


「困っているなら助けたい」


ミルカは黙った。


ロアンも黙った。


ミルカの言うことは正しい。


エナとガルドの言うことも正しい。


ロアンの気持ちは、どちらかといえばエナとガルドに近い。


困っている人がいれば助けたい。


目の前の人に、報酬がないから無理ですとは言いたくない。


でも、帳簿の数字は嘘をつかない。


薬草も砥石も食料も、勝手には増えない。


エナの体力も戻るには時間がいる。


ロアンはしばらく考えた。


そして言った。


「じゃあ、こうしよう」


三人がロアンを見る。


「灰の一団として受ける依頼は、報酬をもらう。危険なら、その危険に見合った分をもらう。撤退しても、動いた分はもらう」


ミルカが静かにうなずいた。


ロアンは続ける。


「でも、個人でできる手助けは自由。道端の探し物とか、荷物を持つとか、怪我の手当てとか。自分の責任でできる範囲なら、好きにする」


エナがほっと息を吐いた。


「それなら、助けられます」


ガルドも納得したように言う。


「分かりやすいな。仕事なら報酬。手助けなら自由」


ミルカは少し考えた。


「厳密ではないけど、今はそれでいい」


ロアンは頷いた。


「厳密なのは苦手だから」


「知ってる」


「即答」


エナが言った。


「でも、境目が分からない時は?」


ミルカは答える。


「相談」


ガルドが言う。


「戦ってる最中は?」


ロアンが答えた。


「生きて戻る方を選ぶ」


ミルカが頷く。


「それでいい」


方針は、立派な規則ではなかった。


紙に書かれた契約でもない。


でも、灰の一団が旅を続けるための、最初の線になった。


依頼なら、報酬をもらう。


個人の小さな手助けは自由。


それは少し雑で、けれどロアンたちらしい線引きだった。



※第25話「報酬はもらう」は全六回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/yuusha-no-jouken-top/

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