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勇者の条件  作者: KEI
第25話 灰の一団

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(四)橋の下

◆ 橋の下


次の村で、橋の下に魔物が住みついていると聞いた。


橋は小さかった。


だが、村人にとっては大事な橋だった。


畑と水車小屋をつなぐ道で、壊れれば遠回りになる。


橋の下は狭く、槍を持った自警団が入るには向いていない。


無理に戦えば、橋脚を傷めるかもしれない。


ロアンは橋の上から下を見た。


暗い。


水音が響く。


橋の下で何かが動いた。


「倒すより、出した方が早いかも」


ミルカは水の流れと橋脚を見ていた。


「煙でいぶすのは危険。橋が傷む」


ガルドは橋の横から下を覗く。


「中で斬るには狭いな」


エナは橋の板に足をかけて、ふと止まった。


「この辺、踏まない方がいいです」


村人が首をかしげる。


「そこは昨日も通ったが」


その直後、板がみしりと沈んだ。


村人が慌てて下がる。


ガルドが感心したように言った。


「よく分かったな」


エナは首をかしげる。


「なんとなくです」


ミルカはその板の周囲を見る。


「腐ってる。ここに人が集まってたら危なかった」


ロアンは頷く。


「じゃあ、人は橋から離す。俺は出口の横。塞がないで、逃げ道を決める」


「私は橋の下に風を通す」


ミルカが言う。


「強すぎると橋が揺れるから、片側だけ」


「俺は出てきたやつを斬る」


ガルドが言う。


エナは村人に声をかけた。


「橋に近づかないでください。子どもも下がって」


作戦は派手ではなかった。


ミルカが橋の下へ小さな風を流す。


水面近くの湿った空気が動き、橋の下の魔物が嫌がる。


魔物は低級の泥獣だった。


ぬるりと体を動かし、片側の出口へ逃げようとする。


ロアンは出口を完全には塞がない。


逃げ道を残す。


「こっちじゃない。こっちへ出ろ」


自分でも何を言っているのか分からなかったが、剣の位置と体の向きで、魔物の進む方向を誘導する。


ガルドが一歩で入る。


橋脚に当てない角度で、泥獣の首元を斬った。


あっけないほど静かに終わった。


橋は壊れなかった。


板はあとで直すことになった。


村人たちは橋を見て、それから四人を見た。


「灰色の四人が橋を守ってくれた」


誰かがそう言った。


ロアンは聞き返しそうになったが、ミルカが袖を引いた。


「今は報酬」


「はい」


報酬は、銅貨と乾いた布だった。


ミルカは布を受け取って、満足そうに言った。


「これは使える」


ロアンは笑う。


「銅貨より嬉しそう」


「布は傷にも荷にも服にも使える」


エナが頷く。


「包帯にもなります」


ガルドも頷く。


「剣の手入れにも使える」


ミルカは布を抱えた。


「つまり、銅貨よりすぐ使える」


ロアンは思った。


四人になると、喜ぶものの種類も増える。



※第24話「自分の腕を試したい」は全七回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/yuusha-no-jouken-top/

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