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【Black】Restart  作者: 漉凛
『月の乙女のティアラ』編
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やっと二桁の数の話数になりました!明日でアンバーの攻略ルートは終了する予定です。

今回の序盤、すごく暗いです。ご了承ください。

とりあえず目が覚めてしまったので温かいミルクココアを飲むことにした。

まだお母さんも起きていないのでリビングはしんと静まり返っている。



体育座りをしてソファーの上に座る。

カップをテーブルの上に置いて、私は一人つぶやいた。



「私ってなんだろ。」



社会にあまり貢献できず、小さい頃はベッドの上でただ寝そべって安静にしていることしかできない日々。

大人になった今でもあまり外には出られずに、昨日みたいに外に久しぶりに出ると倒れてしまうほどもろい体。

本当に私って何なのだろうか、見方を変えれば私は親の脛をかじって生きているニートよりも役立たずかもしれない。



もしかしたら私の今の状況は誰もが羨む状況なのかもしれない。

しかし、私にとっての羨みは自由に動けて、倒れない彼らだ。



私は自由が欲しい、不自由な体なんてあっても仕方がない。

だって動くことができるって素晴らしいことだから、私はもっと子供の頃にそこら辺を駆け回りたかった。

公園の木陰でいつも手を握りしめながら好きなだけ駆け回って遊んでいる子供たちを見る事しかできない。



いつもは考えないようにしている自分のネガティブなところがふと一人になった瞬間に押し寄せてくる。

どうしてもいつも現実にまっすぐに目を向けられない私はそんな自分自身が嫌いだ。

でも、あまり自由に動けない私は人一倍人の、人としての感情が発達していた。



普通は受けなくてもいい辛い治療、なぜか「大丈夫」と言われるだけなのに背を張っているような不安。

いつも周りに迷惑をかける事への密かな謝罪、自由に自分の人生を手に入れる人に向ける羨望のまなざし。



だから、辛かった、泣きたかった、叫びたかった。

ただ「自由に生きたい」という普通の人ならかなえられる願いが私を苦しめてきた。

でもいつしか気が付いたそんなに自身を苦しめたところで現実は変わらない、変わってくれない、と。

私は考えることを放棄するようになった。



どうせ考えたところで現状は変わらないから、それならせめて私ができることをしようと前向きに考えているはずだった。

でも心のどこかで私は苦しみを、痛みを、辛さを叫び続けている。

この感情はきっと誰かと共有できるものではない、決して普通の人には理解ができない。

自分の中にいる本当の自分がいままでずっと、そう言い聞かせるように私は自分自身で心を閉ざした。



そんな閉ざされた心は今も中でうごめいている。

どろりとした暗い感情が今にも閉ざした心からあふれ出しそうで、今の自分が変わってしまいそうで怖い。

私の頬を冷たい塩水が伝う、そしてそれは止まらずあふれてくる。



私は静かに涙を流して、そしてまた人の前では笑顔で笑う。

それを繰り返す日々、自分がだんだん壊れていくのを感じている。

感じているけれどもう私は同じ場所から自分では抜け出せない。



暗いリビングを見ているとまるで私の心の中のようだと思う。

光が存在すれば闇が存在するのは当たり前で、それは逆に大きい闇があれば光もその分強く光る。

だから私は笑えるのかもしれない、どこか諦めたような感情はしまい込んで私は人前で笑う。

誰かに見つけてほしかった、探してほしかった、でもきっと誰も私を見つけ出してはくれない。



どんどん暗くなる感情が、今にも閉ざした心が出てしまいそうなその時、私は窓に映る私を見た。

とめどなくあふれてくる涙のせいで顔の目元は赤く腫れあがり、瞳は辛いと訴えていた。



私は無意識にガラスに映る私に自分の手を重ねる。

もう涙は止まっていた、きっとこれ以上泣くと耐えられないから。



私は手を握りしめた。

こつんとガラスに当たる音がしたが気にしない。

私は握りしめた右手に重ねるように左手を重ねた。



そして一人願う。

泣きすぎて声はうまく出ないので口だけを動かして強く願った。




ーいつか、私を見つけてくれる人に出会いますように




そしてその願いは明け始めた空に溶けていった。













私はそのあとに腫れた目の周りを直すためにお湯につけたタオルと氷につけたタオルを順に目元に当てて腫れをなんとか直した。

そして腫れが治まったころには日が完全に上っていた、そしていくらか心も軽い気がした。

晴れ間が見える空を何秒間か見上げて「さて、朝ごはんでも食べようかな。」と言いながら朝ごはんを自分で準備する。



病気であまり外に出られない私はできるだけ親に負担をかけないように料理を学んだ。

図書室から料理本を借りてきて料理の練習をしたらある程度の料理は一人で作れるようになった。



...まあ、聖麗には負けるけど。



私にとって料理は私の趣味になりつつある。

幸い手先は器用に生まれてきたので手で作業をすることは得意なのだ。



鼻歌で最近人気のアーティストの曲を歌いながらフライパンの上にオリーブオイルを広げる。

一人料理をして気分を上げているとまだ朝だというのに呼び鈴が鳴った。



とりあえず火を止めてインターホンの通話ボタンを押す。

すると元気な彼女の声が聞こえた。

「やあ、やあ。元気かい?咲、昨日書いた通りに今日もやってきたよ。」



いつも明るい彼女の声に少し元気が出た気がした。




玄関を開けて彼女を家の中に入れると彼女はつぶやく。

「大丈夫、私がいるよ。」



彼女のつぶやきは私にはよく聞こえなかったため「え?何か言った?」と聞くと「いや?何でもないよ、空耳でも聞いたんじゃないかい?」と言ってからかってきたので「もう!からかわないでよ!」と少し頬を膨らませる。

すると彼女は腹を抱えて笑い出した、そういつものように。

次回の投稿は明日の20時です。明日投稿の後は一か月ほど休載しようと思います。3月15日にまた投稿を始める予定なのでよろしくお願いします。

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