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近い未来の訓練風景 8

近い未来の訓練風景シリーズはこれにて最終回です。

・・・あれから1ヶ月。

ゼノンでデニムは地獄の日々を耐えきった。

いや、その言い方には語弊があるかもしれない。

彼らは途中から自ら率先して苦難に立ち向かっていった。

また、本人たちの希望によりクロード家の客人として客間を借りることを良しとせず、騎士団の寮に移っていった。

夜会の方でも彼らはメキメキと成長していった。

ここに来る前も身体は大きい方だったが、それは見た目だけの駄肉であった。

しかし、いまの彼らの肉体は全く異なっていた。

身体の肉を一回ギュッと握り込んだように濃縮された筋肉。

見た目としてはその分小さくなっているはずなのだが、濃縮された肉から発する圧は彼らを更に大きく見せていた。

そして最後の訓練を終えた2人にエミリオが言葉をかける。


「ゼノン、デニム。

両名はこの厳しい訓練によく耐え抜いてきました。。

今日で訓練は終わりを迎えたが、この訓練体験をやり遂げたものは我がクロード家騎士団に入る資格を得ています。

これからどうしたいか両名の希望を聞かせてください」


エミリオの言葉に2人の迷いはない。

2人は同時に


『このまま騎士団に入れてください!』


と言って頭を下げた。


「分かりました、これから2人は我々の仲間であり家族です。

皆も、肝に命じてください」


エミリオがそう宣言すると一斉に拍手が巻き起こった。

そして拍手はクライマックスを終えて段々と弱くなる、


その様子を見てエミリオが再び2人に声をかけた。


「さて、我が騎士団には入団の際に特別な儀式を用いるものがいる事は聞いていますか?」


『はい、聞いております』


「ならば問います。

君達はその儀式を受けるつもりはありますか?

最初に言っておきますが、これは騎士団の入団には一切関わらないから断ってくれても構わないですよ」


何故か若干嫌そうな顔をしてそう尋ねるエミリオに対して2人は


『是非ともお願いします!』


と答えた。


「は〜、分かりました。

パメラ団長、恒例の行事がありますのでいつもの場所へ。

あ、答えは分かっていますので予め何時ものを持って行ってください」


「りょ〜か〜い」


エミリオに言われたパメラは訓練場の真ん中、模擬戦をする場の中心に立つ。

いつもの長剣を持って。

2人の間で予め話し合われていたのか、その前に先ずゼノンが立った。

ゼノンは木剣を手に持ちパメラの前に対峙する。

2人は手の得物を構えずに暫し睨み合う。

そして、ゼノンが先に動いた!


「パメラ団長、訓練中ずっとお慕いしておりました。

どうか、自分と結婚してください!!」


頭を下げてプロポーズの言葉を叫ぶ。

しかし、パメラは慣れた様子で


「わたしは自分より弱い人に興味はない。

戦って勝てたらお嫁さんになってあげる」


と言い、長剣を構えた。

そしてゼノンも木剣を構える。


そこにエミリオがやってきて宣言をする。


「これより嫁取り試合を開始します。

・・・はじめーーー!!」


エミリオの開始宣言と共にパメラが駆けだし、次の瞬間にはゼノンは吹き飛ばされて気絶していた。


そう、これが騎士団名物の嫁取り試合である。

騎士団に所属し訓練するものはパメラの美しさと強さ、その奔放さに誰もが魅了された。

そして誰もがパメラに結婚を申し込むものの、自分より強い人という結婚の条件の元に叩きのめされる。

それはここにいる誰もが経験していることであった。

つまり、この騎士団というのはある意味でパメラの熱烈なファン倶楽部でもあるのだ。

それがクロード家騎士団の強さにも繋がっているのではあるが・・・。

厳しい訓練をこなすのはパメラに勝つため。

しかし、それでも勝てないことで彼らの中ではパメラを慕うも負けた仲間という意識が生まれる。

その結果、騎士団の面々は強い絆で結ばれ、有事の際に一体感で苦難に立ち向かうのである。


そう説明しているうちにデニムも告白してあっさりと打ち捨てられる。

すぐに目を覚ました2人は他の騎士団の面々に


「ようこそ我が騎士団へ」

「歓迎するぜ、兄弟」


などなど熱い歓迎を受ける。

こうしてクロード家の騎士団に新たに若い騎士が2人誕生した。


これは近い未来のいつもの光景。

みんなが幸せに暮らしている生活の一ページ。

そんな切り取られたページをいくつか皆さんにお届けする後日談。

名付けるなら


「ヒロイン育成計画の後日談」

次回からは色んなキャラクターの後日談を書いていきたいと思います。

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