近い未来の訓練風景 7
模擬戦が終わった後も訓練は続いたが、2人は何とか最後までやり遂げた。
ここに来る前の彼らとは表情が違う・・・何とか食らいついていこうという意気込みに溢れていた。
訓練が終わり地面にへたり込みながら2人は会話する。
「なぁ、俺たちもパメラ団長とは言わないまでもビリー様やエミリオ様みたいにはなれないかな?」
「それには努力するべきだろうな。
家に帰ってからも頑張ろうぜ」
と、明日からはもっと前を向いて生きようと誓い合う2人の前に赤髪のメイドが立った。
確か先ほどクロード夫人の後ろで世話をしていた人だったと2人は思い出していた。
そんな2人にメイドは声をかける。
「お部屋の準備が整いました」
と。
2人は顔を見合わせる。
自分たちは訓練体験が終わって家に帰るはずだ。
そんなはずは無い。
2人の様子に何かを察したメイドが説明を始めた。
「もしかして聞いておられないのでしょうか?
お2人のお父様から1ヶ月の騎士団体験訓練コースと肉体改造コースの二つを受講させるように仰せつかっておりますが」
2人は愕然とする。
そんな話は聞いていない。
この地獄を後1ヶ月も続けなくてはいけないのか?
そもそも、サラっと出てきた肉体改造コースとは何なのだろうか?
疲労で頭も口も回らなくなっている2人に最早恐ろしくなる程の洞察力で考えを読んだメイドが答える。
「肉体改造コースとはその名の通り人間の身体を本来あるべき美しい姿に戻すのを目標にしているコースです。
男女別に分かれており、お2人の事は私の夫が相手をする予定です。
・・・どうやら動けぬ様子ですので紹介ついでに夫を呼んで部屋まで運んでもらいますか」
メイドがパンパンと手を鳴らすと屋敷の方から1人の男がやってくる。
その男はタキシードを着た如何にも普通の執事という姿であった。
メイドと同様に身長が高く、2人が並んでいる姿は非常に絵になった。
「何かありましたか、モニカさん?」
男性がメイドに声をかける。
メイドの名前はどうやらモニカというらしい。
「彼らを部屋に連れていってもらえるかしら?
スペンサー家とダイナ家の御子息なのですが・・・そういえば、貴方は2人を知っているのでは?」
そう言われて男は2人の顔を見て手を叩く。
「おお、誰かと思えばゼノンとデニムではないか!
久しぶりに会う場所がこのクロード家とは不思議なものだな」
2人も男の顔を見て自分たちの知り合いである事を思い出した。
それは自分たちと同じ4大貴族の一つハイド家の三男、マルス・ハイドであった。
最近、結婚して他家に就職したと聞いたがまさかこの家だったとは。
「では、彼らは僕が運びましょう。
モニカさん、旦那様が仕立ててくれたタキシードが汚れるといけませんから部屋に運んで頂けますか」
彼はそう言って上の服全て脱ぎ捨てモニカに渡していく。
するとどうだろうか?
その服の下にそれだけの質量をどうやってしまっていたのと問いたくなる鍛え上げられた筋肉が姿を現した。
「それでは私は先に屋敷に戻っていますので彼らを運ぶのはお願いしますね。
それと、分かっていると思うけど仕事の時はしっかりと服を着ること。
彼らを運んだら取りに戻りなさい」
「もちろん、分かっていますよ。
それではまた後で、愛しき人よ」
「そういうのは仕事が終わって2人の時にしなさい。
では、後ほど。
お2人もご機嫌よう」
モニカはそう言って上着を持ちながら屋敷に戻っていく。
「はっはっはっ、肉体改造コースを受けるのが君たちとはビックリしたよ!
特別にミッチリと指導してあげるからね」
マルスは2人を軽々と担ぎ上げると意気揚々と歩き出した。
2人はかつての友人の変貌ぶりとこれから始まる地獄の予感にただただ現実逃避するしかなかったのだった。
モニカさん、いつの間にか結婚していました!
こちらの詳細も別の番外編で語る予定です。




