エリカの気持ち
光が収まったところでビリーの方を見ると剣が振り下ろされた後でした。
「そ・・・そんな」
ビリーが死んでしまった・・・私がそう思った瞬間でした。
ビリーが動きユリアン皇子のお腹に蹴りを入れます。
「がはぁ・・・」
思いっきり蹴り飛ばされたユリアン皇子は壁に激突して剣を放します。
ビリーはその剣を拾い、倒れたユリアン皇子に再び突きつけました。
しかし、ユリアン皇子は先程の蹴りの衝撃で気絶しているようでした。
「ビリー、大丈夫なの?」
私が駆け寄るとビリーは右手を見せました。
そこには傷のついた手甲があります。
「あいつの黒い霧を浴びた瞬間に身体が動かなくなっちまんだけどな。
エリカの方から飛んできた光を浴びたらまた動くようになって慌ててコイツでガードしたんだ。
師匠に感謝しないとな。
これが無かったら死んでたぜ」
ビリーの言葉に私は腰から崩れ落ちます。
「良かった・・・本当に生きてて良かったよぉ」
私は何故か分からずにその場でわんわんと泣いてしまいました。
そんな私をビリーは優しく抱きしめてくれました。
「大丈夫だ。俺はエリカのおかげで生きてる」
「うん・・・うん。本当に良かった」
私もビリーの背中に手を回して抱きしめます。
分かりました・・・きっとこの感情が愛という感情なんですね。
シグルド様に対しては愛が無かったから婚約破棄を受けても何とも思いませんでした。
でも、ビリーが死ぬかもと思ったら恐ろしいほどの喪失感に襲われ、いま元気なビリーを見て心から安堵しています。
これは私がビリーを愛しているから・・・そういうことなのでしょう。
私が自分の気持ちに気付いた時、遠くから馬のいななきが聞こえてきました。
帝国側が砂塵が上がっています。
遂に帝国軍がやってきたのでしょう。
「さぁ、最後の仕上げが残ってるぞ」
ビリーが立ち上がり私の手を取ります。
「ええ、最後の仕上げを。
ビリーさえ良ければこのまま手を握って一緒に祈ってくれませんか?」
私の言葉にビリーは驚きますが、頷いてくれました。
「ああ、最後まで付き合うさ」
そうして私達は手を握って祈ります。
「神さま、アインさま。
どうぞ、私達の祈りをお聞き届けください」




