降臨
私達が祈りを捧げると先程よりも強い光が縦ロールから溢れていきます。
目を開けられないほどに光が煌々と辺りを照らします。
その眩い光が収まり私は目を開けます。
いえ、収まったわけではありませんね。
光は天に昇っていったようで空の上が煌々と輝いています。
ビリーの方を見ると私の顔を見て唖然としておりました。
「どうしたの?」
「エリカ、左右のロール無くなってるぞ」
「え!?」
確かに横目で見ても普段揺れているものがありません。
私達が焦っていると空の光がより一層強くなりました。
そして、強烈な光でハッキリとは見えませんが、そこには強大な人が浮かんでいるのが分かります。
「まさか、あれは・・・」
「神様ってやつなのか?」
私達はロールがなくなったことを忘れて空を呆然と見上げていました。
それは帝国軍も同様で馬を止め空を見上げています。
逆方向の王国側を見ると、そちらにもシグルド様やお爺様が率いた軍が姿を現しておりした。
こちらも呆然とした表情で空を見上げております。
そんな状況で神は口を開きます。
「我への信仰を無くせしラズアーレ帝国よ。
深い信仰を捧げ我が守護するエリディス王国に何をしに参った!!」
荘厳でありながら怒りを感じさせる言葉で神が帝国に問いかけます。
「誤解です、神よ!
我々は貴方への信仰を無くしておりません。
こちらには我が国のユリアン皇子を迎えにきただけなのです」
軍の隊長らしき人物がそういうと神はこちらに目を向けます。
そして手をかざすとユリアン皇子の身体が浮かび上がりそのまま帝国兵のところにゆっくりと飛んでいきました。
「これで満足であろう。
早々に立ち去るが良い。
もし、去らぬというのであれば・・・」
そう言って再び神が手をかざすと帝国軍の前に大きな雷が落ちました。
その衝撃と轟音で馬が暴れ始めますが、何とか宥めて撤退していきます。
その姿が完全に見えなくなると神の見た目と光が小さくなっていきます。
そして完全に人と同じサイズになるとこちらに降りてきました。
一見すると人の良いおじいさんに見えますが相手は神様です。
私達は咄嗟に頭を下げました。
「よいよい、構わぬ構わぬ」
神はそう言って私達に顔を上げさせました。
その時、屋上に仲間達も続々と集まってきました。
私達が手を繋いでいるのを見てメリルは嬉しそうに、エミリオ様は少し寂しそうな目でこちらを見られました。
そんな全員が揃ったところで神は私に声をかけます。
「エリカよ。此度は大義であった。
お主のお陰でこの地には深い信仰心が生まれ我が力で満たすことが出来るようになったのじゃ」
「それではここ数年の豊作はそれが理由でしょうか?」
「うむ、元々この地はワシの力が強く結びついてる場所じゃった。
その為に元々豊かではあったのじゃが、人々の信仰心があると更に富ませることが出来るのじゃよ。
それにアインの奴にも祈りを捧げてくれたじゃろ?
アインはワシの眷属じゃから奴への祈りもワシの力になるのじゃよ」
そうやって説明される神様にシグルド王子が手を挙げます。
「少々よろしいでしょうか?
過去に何度も帝国との小競り合いがあり、その都度解決してまいりました?
なぜ今回は降臨をされたのでしょうか?」




