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聖女エリカ

「私が?何の冗談でしょうか?」


正直全く身に覚えが無いのですが・・・ユリアン皇子のジョークですかね。


「私は過去に遡ってエリディス王国の収穫量を調べさせてもらった。

すると8年前から収穫量が増え始めていたことが分かったのだよ」


8年前というと私がメリルを侍女に迎えた辺りでしょうか?

しかし、それに何の関係があるというのでしょう。


「そこで8年前から何か変化が無いか調べたところ、エリディス王国の教会で祈りを捧げられている存在が増えたことが分かった。

今までは我々が信仰している創造神のみだったが、そこにエリディス王国の初代国王アイン・エリディスにも信仰が集められていることが判明した」


確かにあの頃に修道院でアイン様にも祈りを捧げるように活動しておりました。

私はかつてアイン様に直接会い神の眷属になったという話をお聞きしておりますので、それは自分にとっては至極当然のことでした。


「では、何故急にアイン・エリディスに信仰が集まったのか。

それは君の教えだと神父は話していたそうだ。

そして、修道院に多額の寄付をしてその影響力が増し、信仰が篤くなるのに加えてこの地の収穫量が増えていっているということに気がついた」


オカルトな話かと思いますが、実際にアイン様とお会いし神様が存在しているということを教えてもらっているので否定はできませんね。


「そこで調査員も交えて検証した結果一つの結論に達した。

エリカ嬢、君が神の祝福を受けた聖女であり、君の存在がこの地に恵みをもたらしていると」


・・・はい?


「なぜそのような結論に落ち着いたのでしょうか?

ラズアーレ帝国でも教会を建てて神を深く信仰していけばよいのではないでしょうか?」


「我が帝国では実力主義から宗教などの信仰は廃れてしまっていてね。

私が一人でどうにかできるものでは無いのだよ。

そこで聖女である君の力が欲しい。

君という存在の情報を拡散した上で我が嫁に迎え入れ、下々に神の教えを説いて欲しいのだ。

そして、エリカ嬢という偶像により人々の信仰力を一気に上げる」


「なるほど、実際に私が聖女かどうかは関係ない。

しかし、その数字から聖女という存在をでっち上げて偶像にして新興宗教を立ち上げよういうことですか。

それで収穫量が上向きになれば良し。

そうならなくとも王国の公爵令嬢を嫁に迎えることで同盟の力を強くし、王国の作物を安く輸入させようという腹づもりですかね?」


「ふふふ、更に言うならその頭の回転の速さも魅力だがね。

どうだろうか?

私の妻としてラズアーレ帝国に来ていただけないだろうか?

エリカ・クロード公爵令嬢」


・・・公私の公のため。

以前の私ならばこの話に頷いていたかもしれません。

しかし、お爺様は言われました。

私の幸せを考えて欲しいと。

私はこの国が大好きです。

父がいて、母がいて、妹がいて・・・大切な友人達もいて・・・そして・・・。

だから私はハッキリと言います。


「申し訳ありませんが、このお話は断らせていただきます」

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