ラズアーレ帝国の皇子様
長期の休みを終えて始まった学校。
いつも通りの日常が始まると思っていたのですが、少し違ったことがありました。
「え〜皆さん静粛に!
ラズアーレ帝国から文化交流の為に第3皇子であるユリアン・ラズアーレ様が生徒として通うことになった。
ユリアン様は次の長期休暇までこちらにいられる予定だ」
ツヴァイ先生が横に立っている金髪の男性を紹介します。
(なぜ隣国のユリアン皇子が?
前の時間とは本格的に違ってきておりますわね)
「紹介に預かったユリアン・ラズアーレです。
こちらの学校では共通の制服を着て身分の差がなく過ごすのがルールだと聞きました。
どうか私のこともそのように扱ってください。
ツヴァイ先生も私は一介の生徒なので様は不要ですよ。
よろしくお願いします」
「皇子なのに驕ることのないユリアン君に拍手!
席は決まっていないので空いているところに適当に座ってくれ」
ユリアン皇子は教室内を見回した後に、私のいる方向にニコリと笑いかけてきます。
そして真っ直ぐにこちらに向かってきたかと思うと
「これからよろしく頼むよ、エリカ嬢」
と言って私のすぐ近くの空いている席に座りました。
「!?」
私は咄嗟のことに反応できませんでした。
何故なら幾ら隣国とはいえ、私はユリアン皇子とは面識はありません。
恐らくこの教室内で面識があるであろう人物はエミリオ様だけなのですが、私の隣の席を確保しているエミリオ様も驚いた顔をしていますので、彼から聞いたということもなさそうです。
こうして休み明けの学校生活は不穏な空気を纏って始まったのでした。




