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シグルドの変化

「会議の結論としてメリルをクロード家の養子に迎える。

シグルド王子と婚約する。

公爵家の娘と婚約したことによる王太子とすること。

この流れでいきたいと思っているのですが、よろしいでしょうか?」


「うむ、それで構わぬぞ。

しかし、貴族は先程の話で構わぬが邸に出入りする商人などが探りを入れてきたらどうするのだ?」


エリディス王の問いに私はお父様に笑いかけながら


「彼らが情報を探るには我が家の使用人からでしょう。

そのような動きをするのは養子や婚約を大々的に発表した後ですので堂々と言ってやれば良いのですわ。

メリル・クロードは間違いなくクロード公爵の娘であると」


私の言葉にエリディス王はお笑いになられました。


「くく・・・ははは。

なるほど、なるほど。

養子に迎え入れているのだから間違いなくクロード公爵の娘だな。

だが、その言い方をされた商人どもは勝手にクロード公の実の娘と勘違いするというわけか」


「私たちは嘘などついておりませんわ。

彼らは勝手に勘違いして納得してくれることに責任は取れません。

しかし、勘違いでも自ら出した答えに納得してくれたなら以後はそのように扱ってくれますわ。

わざわざそのデリケートな部分に触れて自らの利を失うような真似などしないでしょうから」


王はひとしきり笑った後に真面目な顔で私を見ます。


「正直、そなたが王妃になってくれたらと思うと悔やみに悔やみきれぬ。

どうじゃ、そなたは次男エミリオと婚約せぬか?」


王の提案に私は首を振ります。


「いいえ、お断りします。

王家の長男、次男と公爵家の長女、次女があべこべに婚約など、それこそ無用な争いを引き起こしかねない事です。

まして王太子殿下の婚約者の方が養子という立場。

この歪さを見て暗躍するものが必ず現れるでしょう」


私の答えに王は深いため息を吐きます。


「最もな意見であるな。

しかし、その才能は惜しい」


「心配されずとも私も父も国に全てを捧げております。

私はメリルの後ろから見守り、国家の安寧に努めましょう。

さぁ、お父様!もうそろそろお暇する時間ではありませんか?」


お父様は苦笑いを浮かべながら


「そうだな。

エリディス王、本日はこれにて失礼いたします。

養子の話が正式に決まればまた挨拶に参ります」


と言い私の手を取るのでした。

その後、王子の部屋にメリルを迎えに行くと勉強は終わっており二人は部屋で談笑しておりました。

私達に挨拶をするために待っていらしたクラリス先生に話を聞くと殿下は普段からは考えられないほどに真面目に勉強に打ち込まれたそうです。

そしてメリルが花摘みに席を立っている時間もクラリス先生に積極的に質問をされ、まるで人が変わったようだと勤勉さに喜んでいらっしゃいました。

私達がメリルを迎え王子に別れの挨拶をしますと


「今日は私がもてなす側だったのに大変世話になった。

良ければまた遊びに来てくれ」


と仰ってくれました。

心なしか朝に会ったときよりも精悍な顔つきになられた気がします。

こんなシグルド王子の姿は前の時間で見たことがありません。


(ひょっとしたら王位を継ぐに足る人物に成長されるかもしれませんわね)



帰路に着く馬車の中で私は真面目な顔でメリルに話しかけます。


「メリル、疲れているところ申し訳ないのですが屋敷に戻ったら大事な話があります」

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