お披露目と美のお裾分け
パーティ当日、私はビリーに手を引かれて会場まで足を運びます。
このパーティは神が認めた聖女とその相手であるビリーのお披露目という意味合いもあります。
私達が会場に現れると誰もが私達に拍手をし、婚約を祝福してくれます。
平民であるビリーに貴族の礼儀を教えるのは骨が折れましたが、そこはクラリス先生をお呼びして付きっきりで教え込み及第点を頂いたので問題ないでしょう。
流石に神様が姿を現し直接のお認めになったことを、王族が証人となって証言しているために何処からも不満があがることはありませんでした。
それどころか、あちこちから
「素晴らしい若者だ」
「流石は神がお認めになった」
「この国の未来は明るい」
と言った声があがっております。
神様の祝福が無ければ全く正反対の意見で反発されていたと考えると本当に感謝しかありませんわね。
私の貴族の流行に反する短い髪にも驚きの声は上がれどそれを非難するような声は聞こえません。
私達は壇上に立ち婚約の挨拶をして皆に一礼をします。
拍手の喝采を浴びて壇上を降りると招待していたシグルド王子がメリルを連れてやってきます。
「おつかれさま。
ここからは私達がビリーを預かろう」
「お姉様はご自分の仕事に専念なされてください」
「はぁ〜緊張しすぎて死ぬかと思った。
今からは少し楽させてもらうけどエリカは仕事か。
本当によくやるよな」
ビリーが呆れたように言います。
ここからは私は単独でご令嬢方の相手をしてジュリアンとオミロの宣伝をするつもりです。
ビリーはシグルド王子達に任せておけば彼らが矢面に立ってくれるのでボロが出ることもないでしょう。
また、この国の次期国王であるシグルド王太子と仲の良い所を見せることでビリーの立場を盤石にするという狙いもあります。
決して女性に囲まれる中に彼を置くのが嫌だったとかそういう事はありませんわよ。
私がご令嬢達の相手をすると予想通りに髪の事を聞かれました。
私は予め考えていた事を話します。
「神様は私の魔力の篭った髪を媒介にこの世に権現されました。
その為に使った分の髪が無くなってしまったのですが、それを哀れんだ神様は私に天才的な腕を持つ美容師を遣わせてくれたのです。
今日は彼とその助手を読んでいますので興味のある方は体験されてみませんか?」
私がそう誘うとご令嬢達は色めき立ちます。
今まで悪い事だと思われていた髪を短く切るという行為。
私のようにそれが似合う姿になるということ。
そして神様が遣わした凄腕の美容師とはどのような者なのか?
今の彼女らは好奇心に支配されていることでしょう。
私は令嬢達を別室に案内します。
そこには準備を整えていたジュリアンとオミロがいました。
2人は私が部屋に入ってくると軽く一礼をします。
「さて、そこの貴女!
貴女が一番最初に反応しておりましたね?
良ければ彼らの腕を間近で見てみませんか?」
「わ・・・私ですか?」
「ええ、試しにどうなるかの予想図をお見せしましょう。
オミロ、お願いしますね」
「はい、エリカ様!」
オミロはジュリアンと相談した後に私が指名した令嬢の絵を描いていきます。
今回は2パターンになっておりますわね
「この絵をご覧になって。
貴女がジュリアンに任せてくれればこの2つのうち、どちらかになることが出来ますわ」
「こ・・・こんなに変われるものなのですか?」
「ええ、もちろんよ。
どちらが気に入ったかしら?」
「こちらの絵の方を・・・」
令嬢は恥ずかしそうにしながらもハッキリと右の絵を指差しました。
「決まりましたね。
それではジュリアン、お願いします。
皆さんはその間にこの絵を見ていただいて彼女がこの通りに変わるか確認してください。
そして、その後に希望する方は順に処置を施してしていきます」
私がそう言ってオミロの絵を見せると令嬢達は騒つきました。
それもそのはずで絵の中の令嬢は現在の主流と全く外れる男性のように短い髪をしていました。
しかし、それがとても似合っていて格好良く綺麗に見えます。
他にもオミロの作品は自分や、メリル、侍女たちのものも作らせておいたので皆は各々が新たな髪型に心を奪われていきます。
そうしてワイワイと騒ぎながら過ごしていると
「終わったぜ、エリカ様」
と、ジュリアンが言いました。
見えないようにカーテンで仕切れた場所から女性が出てこようとしているのが分かります。
さぁ、いよいよ勝負の時ですわ!




