美人大国の始り
カーテンの向こうから出てきた令嬢はオミロの絵の通りの姿でした。
ジュリアンの話では、彼女はカット直後に何度も鏡を見ては信じられないという表情を浮かべながらも嬉しそうにしていたそうです。
それはこちらに見学していた令嬢達も同様でした。
全員がカットを希望しましたが今日中に出来る方は限りがあります。
順に予約を取って行きましたが、これは彼らのスケジュールがみっちりになってしまいますわね。
その事を2人に話すと
「俺は自分のイメージ通りのものが出来るだけで幸せだからな。
その為なら幾らでもやってやるぜ」
「僕もその日暮らしのような生活に戻らなくていいからありがたいです。
是非ともやらせてください」
と、前向きな返事が貰えたました。
こうして先々まで予約を入れたのだが、一々家まで迎えに行っては不便という事で2人も屋敷に住まわせることにします。
と言っても私や我が家が雇っているという感じではなく、食客として滞在してもらっています。
まぁ、これは本人達の気持ちの問題ですね。
どちらにしても周りの貴族には私たちに話を通さねばならないので権力は高まっている事でしょう。
いずれはビリーが私の旦那となるわけですからね。
神様が認めたとはいえ、いつ平民と馬鹿にされて攻撃される材料にされるか分かりません。
少しでも我が家の名前を上げる事が出来るのであればそうするべきでしょう。
それに女性が美しくなる可能性があるのにそれを放置することも我慢なりません。
美しさは自分の自信に繋がります。
自分を好きになる・・・これは人生で成功する秘訣だと考えております。
どうせなら他国から求婚に来る方が出るくらいに美人の多い国として有名になるくらいのことはしたいと思いますわ。
こうしてエリカの狙い通りにエリディス王国の女性の質は一気に高まったのだった。
また、その流行りは平民にまで及び、美容室と呼ばれる様々なヘアスタイルに整えてくれる商売まで始まった。
そこではオミロのような出来上がりまで書きあげることは出来ないが、予め完成した髪型の絵を幾つも見せてその中から選ぶという方式が採用されていた。
女性は様々な髪型を楽しみ、それに合わせてファッションも流行していったという。
そして自信を得た女性が社会に進出し地位向上をしていったのですがそれは別の話。
〜オマケ その後のジュリアン達 会話メイン〜
「ジュリアンはオミロの髪を切ってあげたりはしないんですか?」
「ああ、俺様のようにイカしたスタイルにしてやりたいんだけど・・・あいつに関してはどうにも思い浮かばないんだよな。
男のカットでもここまで浮かばない事無いんだけどな」
「???・・・オミロは女の子でしょ?」
「はぁ!?
アイツは男だろ?」
「いえ、女の子でしょう。
ねぇ、モニカ?」
「ええ、女性ですね。
最初にお会いした時から気付いておりましたが、恐らく酒場で働いていたのでそう見えないような工夫はしていたと思いますが」
「メリルも気づきましたよね?」
「ええ、もちろん」
「ほら、気付いてなかったのは貴方だけみたいよ?」
「く・・・くそ〜こうなったら直接確かめてくらぁ!」
そうしてオミロの部屋に突撃したジュリアンはタイミングの良いことに彼女の着替え中だったらしく、真実を知った代償に頰を腫らして帰ってきました。
この2人が仕事のパートナーから私生活までパートナーになるのもまた別のお話。




