エリカ様の悪巧み
計画の目処が立った為に私はジュリアンを呼び出しました。
「あ、あの。
今日はよろしくお願いします!」
相変わらずハサミを持っていないとオドオドしておりす。
しかし、計画には好都合というものでしょう。
「ご機嫌よう、ジュリアン。
あれから何件かお仕事はされましたか?」
「は、はい!
ですがどれも決まった形ばかりで・・・僕としてはそれぞれに似合う髪型があると思いますので、そうして新しい自分に出会って欲しいのですが」
ジュリアンはそう言って悲しそうに俯いてしまった。
なるほど、ハサミを持って人格が変わってるように見えますが根っこは同じという事ですか。
これは確認してみなければいけませんね。
「ジュリアンはハサミを持った時に性格が変わっているように見えたけど、アレは気が大きくなっただけかしら?
それとも別の人格が出ているのですか?」
「あ、あれは気が大きくなっているだけですね。
僕はハサミを持つとなんでも出来るような気がしてしまい、つい大きな事を言ってしまうんです。
不敬な事を仰ってしまったのも自覚しております。
申し訳ありません」
ジュリアンはそのまま床に頭がつくのではないかという勢いで頭を下げました。
私はそんなジュリアンの前に跪き目線を合わせます。
「謝る必要などないのですよ。
貴方は私の期待に応えて最高の自分に出会わせてくれたのですから。
だから、顔をあげてください。
そうしなければ私もいつまでもこの体勢ですよ」
私がそう言うとジュリアンは顔を真っ赤にしながら姿勢を戻します。、
「あ、ありがとうございます。
エリカ様はお噂通りの聖女様なのですね」
砦の事件からあっという間に私の聖女伝説は広まってしまいました。
実際に神を呼び出し、目撃者も多数いるのですから仕方ありません。
私としてもそれを理由に平民であるビリーとの婚約を認めさせたので、噂を止めるつもりはありませんでした。
しかし・・・
「聖女の噂・・・丁度いいかもしれませんね。
ジュリアンは皆が似合う髪型に出来るのであればどんな噂も受け入れる覚悟はありますか?」
「う、噂ですか?
どんな噂でもと言うと犯罪者とか人殺しとかそう言う酷いものでしょうか?」
「いいえ、全く逆でむしろ正反対の噂と言っていいでしょう。
この噂が流れれば貴方にはさまざまな貴族から依頼が殺到し、更に自由に髪を切らせて貰うことができるでしょう」
「そ、そんなことが本当に出来るのであれば僕はどんな噂だって受け入れますよ!
それで一体どのような話なのですか!」
珍しく興奮した様子でまくし立てるジュリアン。
やはりハサミを持っている時と大して変わりはないようです。
そんなジュリアンに対して私はニッコリと笑って言いました。
「貴方のハサミは神が私のために地上に遣わしたものであり、その神器に選ばれたのがジュリアンなのですよ」




