エミリオの悩み
エミリオ君は甘さを捨てた為に一人称も変わっています。
私の名前はエミリオ・エリディス。
貴族学校で騎士科に移った私は今までの王子という身分と決別し徹底的に己を鍛え上げた。
その中で掛け替えのない友人を得た。
姉上と慕っていたエリカ様へ剣を捧げると言う騎士として最高の名誉も得た。
私は最初はエリカ様への想いを恋慕だと思っていた。
しかし、この気持ちは年上の自分を甘やかしてくれていた姉のような存在に対する独占力だったのだろう。
親友のビリーが彼女と結ばれた時も心から祝福することが出来た。
まぁ、その日の晩は深酒してしまい兄上に大層な迷惑をかけてしまったが・・・。
そんな私は現在、クロード家の騎士団で副団長を任されている。
当初は王子が公爵家の騎士団に所属するなどと散々に反対されたが、私は王族ではなく騎士として生きたかった。
その為に剣を捧げたエリカ様の側を離れることなどあり得ないことである。
結果、どうしても必要な王族の仕事をこなす事を条件に騎士団に所属する事を許された。
さて、そんな私には現在悩みがある。
それは団長を務めているパメラの事だ。
彼女は強い。
とにかく強い。
その小柄な身体の何処にそんな力が思うほどに自身よりも遥かに大きな長剣を操り変幻自在の攻めを見せる。
前任の団長と副団長を同時に相手して勝利した時には尊敬の念を抱いたものだ。
まぁ、その所為なのか団長と副団長がお前たちの時代だな!
とか爽やかな顔で役割を押し付けて去って行ったのは解せないが。
何でも彼らは蓄えはあるらしいので市街に降りてパメラのような才能がある子を見つけて育成したいと考えたらしい。
1人でも脅威なのにあの強さの人間が何人も集まったら我が国の軍事力はどうなってしまうのだろうか?
自国の安全が増すのでそれは良いことではあるのだが。
話が脱線してしまったが、パメラ団長のことだ。
彼女は強さは一級、訓練時も全く疲れを見せない超人だ。
しかし、見た目は10歳超えたくらいの少女にしか見えず、更にその容姿は可憐である。
更に行動は自由奔放な少女そのものであるのだが、彼女はそれを出していい人間と出していけない人間をしっかり見極めている。
端的に言うと人に取り入るのが非常に上手いのだ。
騎士団の男所帯にそんな女性が現れたと考えて欲しい。
この騎士団はあっという間に彼女のファンクラブになってしまった。
元々クロード家の騎士団は脳筋であり、強さこそ全てという考えであった。
そして、強さを追い求めることで女性関係を無視して来た結果、女性に対する経験が全くない集団が出来上がってしまったのである。
そんな中で強さは自分たちが束になっても敵わない、見た目が可憐な少女が団員を無邪気にからかうのだ。
これで夢中になるなという方が無理な話である。
私はこの団を預かる副団長だ。
強い自制心を持っている。
私まで陥落してしまってはここは騎士団ではなく只のファンクラブになってしまう。
そんな私の視界が暗く閉ざされる。
「だーれだ?」
「この騎士団手間女性は貴女しかいないでしょう。
パメラ団長」
「お〜当たり。さすがエミリオ副団長」
「全く・・・こんな子供っぽいことしてないで団員に稽古でも付けてきたらどうですか?」
「もう全員のしてきた。
歯ごたえが無さすぎるから模擬戦やろう」
「やれやれ、仕方ないですね。
少しは手加減してくださいよ」
「大丈夫、ちゃんと強さは合わせるから」
パメラ団長の誘いに私は木でできた槍を持って練習場に向かう。
その足取りが少し弾んでいたの秘密だ。




