マーク 初めての決断
牢屋から出された僕はクロード家の外れにある建物に案内された。
見かけたことはあるが中に入ったことは無いので気にもとめていなかった場所。
中に入るとそこは教会だった。
その厳かな雰囲気に呑まれそうになっていると後ろから声がかかる。
「どうですか?立派なものでしょう?」
驚いて後ろを振り向くとエリカ様とビリーが立っていた。
「さっきは騙し討ちみたいな真似して済まなかったな」
「ああいうのは今回限りにしてもらいたいものだね」
ビリーの謝罪に文句を言うが実際に怒っているわけではない。
恐らくはエリカ様の考えなのだろうし、それは僕とカチュアの為だろうから。
「そんな事よりもここになぜ教会が?
ミサに使われたという記憶もありませんが」
「ここはクロード家の関係者が婚姻を行う時に用いる場所なのです。
と言っても過去に2回しか使われておりませんが」
「2回ですか?」
「ええ、そうです。
ここで結婚式を行なったのはジョン爺とマリア。
それとお父様とお母様ですね」
「旦那様と奥方様もここで結婚式を挙げられたのですか?」
「数年前の話ですけどね。
お母様は当時病弱でマトモに婚姻の儀式を挙げる事が叶わず最低限のことしか行われていなかったのです。
そこでジョン爺とマリアの結婚式に合わせて教会を敷地内に建て、2人の式をここで挙げました。
その後、結婚記念日に改めてここで式を挙げられたのですよ。
あの時のお母様の幸せそうな顔を見れただけでも遡ってきた甲斐があったものですわ」
エリカ様はその時の光景を思い出しているのかうっとりとした表情を浮かべていた。
「ま、ここはそういう場所な訳だ。
それでここで結婚式を挙げる3組目の記念すべき夫婦がお前らって話だ」
「ここで挙げさせてもらうならありがたい話ですがまだ先の話ですよ」
僕の言葉にエリカ様は首を振る。
「カチュアは言ったそうですね。
『帰ってきたら結婚式を挙げよう』
と。
向こうに報告が届いて強行軍で戻ってきたらすぐの話ですよ」
「ええ、それはあまりにも。
僕はしっかり話し合ってから結婚式を挙げたいと思っているのですが」
そんな事を言う僕に対してエリカ様がキッと睨みつけてくる。
「貴方がカチュアを大事に想って尊重するのはいいですが、男から動くのも大事ですよ。
ここまでずっと引っ張ってもらってプロポーズも向こうからされて、そんな受け身でどうしますか!
帰ってきたら式を挙げると約束しているのですから、
偶には強引に進めて男らしくエスコートしなさい」
エリカ様の言葉に僕は頭を殴られたような衝撃を受けた。
確かにその通りだ。
今までの人生を全部カチュアに決めてもらってその後をついてきて挙句にプロポーズまで後手に回ってしまったのだ。
モニカさんの言葉を受けて変わろうと思うなら自分から動かなくちゃ駄目じゃないか!
「分かりました!
結婚式は僕の主導で進めさせていただきます。
しかし、勝手が分からないので皆さんにも協力を仰ぎたいと思います。
よろしくお願いします!」
ちなみに4組目がマルスとモニカです。




