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逆行令嬢のヒロイン育成計画  作者: 古葉七
育成計画の後日談
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人生の先輩からの言葉(カチュア視点)

今までで一番長く書いた気がします。

手紙を受け取ったあたしは急いで仕事を引き継いでエリディス王国に戻っていった。


この時代わりの人間が都合よく来ているということにあたしは疑問を持つべきだったと思う。


しかし、この時は一刻も早く戻らなければという思いで一杯だったのだ。


そして、現在のあたしはとても怒っていた。


「どういうことか、全部説明してちょうだい!!」


あたしの目の前には正座しているビリー、パメラ・・・そして問題のマークである。


あたしが急いで帰りクロード家の屋敷に行くと、ビリーと一緒に普通にコーヒーを飲んで寛いでいた。


その時、あたしはマークが生きていたことよりも嘘の報告で仕事が中断したことに腹を立ててしまった。


思わず手をあげようとしてしまったが、それをパメラが後ろから止めた。


「落ち着く。

屋敷内で暴れられると本当に捕まえないといけなくる」


その言葉にハッとして深呼吸して落ち着く。


落ち着くが・・・気付いてしまった。


「本当に捕まえる?

パメラ、貴女も一枚噛んでるの?」


パメラは無表情のまま舌を出す。


「てへぺろ」


偉くなっても全く変わらない友人に腹を立てるのも馬鹿らしくなってきた。


しかし、このままでは済ませられないのでとりあえず全員に正座をさせて最初に戻るというわけだ。


そうしてあたしが説明を求めると後ろから声がかかる。


「この話は私が黒幕です。

詳しい説明をしますから私の部屋へ来てください」


声をかけたのはビリーを婿養子に迎えてしまったエリカ様だった。


大恩あるエリカ様にそう言われてはあたしも従わざるを得ず、渋々部屋に向かった。


部屋に入るとエリカ様はあたしに対して頭を下げた。


「先ずは嘘の報告でカチュアをこちらに呼び戻したことを謝罪します。

愛する人が死ぬと聞かされては気が気でなかったことでしょう」


「それは・・・そうね。

でも、エリカの事だから必要な事だってのでしょう?」


あたしはいつも通りの口調で話す。


この部屋で会話している間は私達は学生時代と変わらぬ友人だからだ。


「ええ、理由はいくつかあります。

先ずこういう自体でもない限り貴女帰ってこなかったでしょう?」


「う・・・確かに」


あたしは自分で色んなパターンを想像したが確かに素直に言うことを聞いて帰る未来が思い浮かばない。


「二つめはカチュアに後悔して欲しくなかったからです。

相手がいつまでも元気で生きていてくれる保証はありません。

私は前の人生でお母様を亡くしました。

その時にもっと出来ることは無かったか?

してあげれることは無かったのか?

と毎晩悔いて泣いたほどです。

幸いやり直してお母様を助けることは出来ましたがあの時の痛みは今でも心に残っています。

カチュアはマークがいなくなってしまった時のことを考えたことがあるかしら?」


「それは・・・ないです」


マークはいつも一緒にいて、これからも一緒にいるのが当たり前だった。


そのマークがいなくなるなんて考えたこともなかった。


でも、エリカの言う通りだ。


人間に不死なんて無い。


病気を拗らせればあっさり死ぬし、怪我をしても死ぬかもしれない。


もし、あたしが向こうに行っていた時にマークが死んだと聞かされれば、あたしは一生自分のことを恨み後悔しながら生きていくことになるだろう


「最後の理由ですが、カチュアは自分の思っていることや考えていることは全てマークに伝わっていると思っていませんか?」


「・・・はい、思っています」


「それは全て誤解です。

人間が口にせずに自分の考えを相手に伝える方法などありません。

もし伝わっているのならば、それは相手側の涙ぐましい努力のおかげです。

これも前の人生になりますが、私はシグルド王子との婚約破棄でそれを思い知らされました」


私はその言葉にハッとした。


エリカが話してくれた前の人生。


そこでエリカに何の非もないのに一方的に婚約破棄を言い渡されたというのだ。


自分が王子の気持ちを勝手に理解していると思っていた結果だと彼女は笑って話していたが、あたしはそんな風に思えなかった。


でも、あたしもいつの間にか同じことをしていたのだ。


マークの気持ちを理解していると錯覚し、マークに自分の気持ちが伝わっていると思い込んでいた。


物心ついた時からずっとそうやってマークの優しさに甘え過ぎていた自分に気付いた。


自然と涙が溢れてくる。


「夫婦というのはお互いに言いたいことを言わなければ成り立ちません。

どちらかが我慢していればどこかで必ず破綻するでしょう。

それを貴女に知って欲しかったのです」


エリカ様はそう言いながらあたしにハンカチを手渡してくれた。


この場では対等な友人だと思っていたがそれは違った。


この人は人生の先輩でその大事なことをあたしに教えてくれようとしているのだ。


その時点で普通に会話するなどあたしには無理だった。


ハンカチで涙を拭きながらエリカ様に尋ねる。


「エリカ様もビリーと言いたいことを言い合っているのですか?」


私が尋ねるとエリカ様はふふっと楽しそうに笑った。


その笑顔はとても綺麗で、でも子供のように無邪気で思わず涙が引っ込み、あたしもつられて笑顔になってしまった。


「もちろんビリーとは一日に一回お互いに言いたいことを言い合う時間を作っているわ。

でも、それで彼のことを嫌いになったりしないし、私も彼のことを嫌ったりしない。

むしろ知らない一面を知れて楽しかったりするわよ」


「あたしもマークと話し合ってきます。

これからも彼とずっと一緒に生きていたいから」


「ええ、私は貴女達のことを応援しているわ。

だから必ず幸せになってちょうだいね」


「はい、必ず!」


あたしは頭を下げるとエリカ様の部屋を後にしたのだった。

エリカ様久しぶりにメインでガッツリ出ましたが相変わらずいい女ですね。


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