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次のダンジョンへ

 ダンジョンから出てきた僕たちの前に、海へと沈む太陽がいる。

 「寒いね」

 ちょっと肌寒さを感じる。

 「そーかな。少し冷えてきてるかな?」秋に一歩だけ近づいたみたいだ。

 「一度、屋敷に戻ろうか。野菜や果物植えたいし」

 「うん。今日の夕飯何かなー」

 「何が良いの?」

 「うんとね。果物」

 「ぬう、それは夕飯じゃないよね」

 「じゃ何でもいい」

 何でもいいという言葉は、基本何でも良くない方が多い。

 「お肉と魚どっちが」「お肉、鳥」ほらね、何でもじゃないでしょ。

 鳥といえば、鶏は今ないから雉だ。

 見た目は違うが、鶏と同じように扱える。

 メニューは、普通に素焼きでいいか。

 画面操作しながら野菜や果物を植えながら考え事をしている。

 ふと、目に留まる物があった。

 砂糖黍と砂糖大根が隣同士で栽培を開始したのだ。

 寒い地域に育つ砂糖大根と暑い地方で育つ砂糖黍が並んでるのは、どこか間違えてるような気がする。気にしちゃダメだぞ。うん。

 雉を取り出すと、解体は遠慮してスキルでお肉にする。

 塩と胡椒で味付けし、グリルで熱を通す。

 その間、野菜を適度に切り野菜炒め。その上にスライスした鶏肉をこれでもかというくらい並べたら完成である。

 ご飯とお茶はあらかじめリンが用意してくれてあるので、ドンと出来上がったものを置けばいい。

 「美味しそう。いただきます」「いただきます」

 この後、風呂に入ってすぐ寝た。

 朝は、具沢山味噌汁と、アジの開きだ。

 「食べたら出掛けるぞ。次のダンジョンだ。慣れたか」「うん。慣れたよ。でもいつまでこのような生活するの?」「ん?嫌いか?」「嫌いじゃないよ。面白いし」「そっか。そうだなGクラスのダンジョンを全部回るまでは少なくともこのまんまかな。そしたらどうするか考えよう。ここら辺をぐるぐる回るもよし。何処か別の場所を目指すもよしだな」「うん。そうしよう」「じゃ食べたら出掛けるぞ」「うん」

 外に出ると、東の方から太陽が眩しく照りつけてくる。

 昨日の涼しさはどこへやら、まだまだ暑い日が続きそうである。

 海のなかに入ると、そのままダンジョンを目指した。

 数時間後、険しい岩肌が出ている一角に、ダンジョンの入り口を見つけた。

 人の住んでいる近くだったり、人が寄り付かないような場所にあったりと、誰が作ったか知らないが、ご苦労なことだと思う。

 「ここのダンジョンは何がとれるの?」『木材』「えっと」『木材』「つまり、杉とか檜とかそいいうものがとれるということ?」『そう、その木材』「これって利用価値とか」無いのかなと思う。

 木なんてその辺で沢山取れるし、加工すればすぐ使えるし。

 『無いなんて事はない。利用価値は沢山ある。木は倒しただけでは使えない。何日も乾燥させ、加工して初めて木材になる。しかも、同じような品質なら多くても、同じ品質の木はほとんど無い。それに比べてダンジョン産の木材は同じ品質になる。特上にすればするほどだ。加工スキルで繋げれば、或いは考えられないような大きさの木材も作ることは可能になる。需要は沢山ある。大量にとってくるがいい』

 何か、必要分だけとって次に行こうとしていたのを釘を刺された気分である。

 どうしよう、重要性があるのと需要があるのはわかったが、やる気がどこへやら、といった感じだ。

 こういうときは、怪我をすること間違いない。

 怪我しても、直ぐにポーションでどうにかできるけどね。

 心のやる気ってなかなか払拭出来ないよね。

 「行かないの?」行くよ。行きますけどね。

 『あんまり行く気無いなら、ノルマつけてあげる』っていってくるんだよ。

 『聴く?』って言ってきたから、頷いてみた。

 『じゃーうんとー』思い付きのようだ。

 『1トンの木材を1万本。やる気でた』出るはずがない。

 守る必要もないが・・・いや待て守らないとどうなるかみたいな顔してる。うん、何処でも需要があるならまーいいかとも思う。

 「ダンジョン入る前に休憩しない」「する」

 すぐに屋敷に入る。

 「何か作る?」「果物食べたい」「気に入ったのかな」「甘いし食べやすいし」「そっか、じゃ果物の盛り合わせでも作ろうか」「うん」「手伝ってくれる」「いいよー」

 下処理を始める。

 蜜柑とオレンジは食べやすいように薄皮も取る。薄皮についてる筋がビタミン豊富だって知ってるけど、食べやすさ重視。

 林檎もパイナップルも農園の実は育っていて、完熟までしているようだ。

 完熟しているパイナップルが美味しそうに見えたので、ちょっと間食「んっ」「どうしーあー食べたんっモグモグ」とっさにリンの口に放り込んじゃった。

 「イヤー完熟したパイナップルってピリッとしないんだなって思ってさ」「そーだねー」これなら僕も好きになるかもねパイナップル。

 林檎は皮付きのまま角切り、パイナップル、マンゴー、キュウイフルーツも角切りだ。

 葡萄は、皮と種を取り除く。苺はヘタを取りサクランボはヘタと種を取り除くと下準備完了。

 ごそごそと器を探し、透明ガラスの深大皿を取り出すと、「綺麗ー」とリンが皿に引っ付いてしまった。

 綺麗なものに引かれてしまう。女の子何だなと思ったよ。女の子なんだけどね。

 仕方ないので、もう1つお皿を出してきて、並べていく。

 皿のまん中より上の部分にパイナップルを円形に置く、その回りをマンゴー、さらにその回りに葡萄を並べ蜜柑とオレンジでお花の花弁のように並べていく。

 茎と葉っぱをキュウイフルーツで描き、その周りを残りでデコレーションしていく。

 最後に、蜂蜜を水で溶かし満遍なく振り掛けると完成した。

 盛り合わせというより、フルーツポンチかな。

 瑞々しい果物は、蜂蜜でコーティングされ輝いて見える。

 「出来たぞー。食べるか」「えっ」「んっどした」「何か食べづらい」

 リンの持つスプーンが、わずかに震えていた。

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