新たな家具 鷹仁
ダンジョン内での試練は、思いの外上手くいき正午には1人でも一部屋を攻略して戻ってくるようになっていた。
「ホントに今までの苦労って何だったんだろうね」
「うーん夢」
「現実逃避しないの」
「でもー」
昼下がりの喫茶店で、女性3人がお茶している。
お昼になったので、交代でお昼を取り今は女性3人で休憩中だ。
店はオープンしているが、特定の人しか入れない店が宣伝もしてないわけだから誰も来ない。
売上なぞ一切気にしていないので、静かである。
下の店では、客がくるものの、なにもないのを見ると帰っていくのがちらほらと見えるだけだ。
外は、暑そうな日差しが照りつけているが、店内は快適である。
グラスの氷をストローで転がしながら女性陣と離れたところに座ってボーッとしていた。
女性陣の話が盛り上がりそうなので、僕は下の店に降りた。
「いらっしゃいませ」
見ると、40歳くらいの女性とその倍をしそうな男性が、大事そうに木箱を抱えて入ってくる。
木箱をカウンターに置くと「これ等を鑑定してくれ。安い方を売り払う」と威勢よく、いや威圧的に言われた。
「どちらが売り払われても文句はないな。嫁」「文句無いわよ、ジジー」他に客がいないとはいえ、なんなんだろうと思う台智であった。
「取り合えず中身を確認してもいいですか?」「ああー」「フン」了解を得て中身を確認すると、壺と茶碗の様なものが入っていた。
壺は嫁と言われていた女性が持ってきたもので、大きさは縦横共に60センチメートル程で、口も大きい。
派手な絵柄が描かれている豪華そうに見える壺である。
一方ジジーと言われたお爺さんの持つ木箱は、手のひらに収まらないくらいの大きさで、中には黒一色の茶碗が入っていて、木箱の蓋の裏側にはなにか書いてあるようだった。
「嫁の壺から鑑定してくれ。さぞ駄壺だろう」「言ってくれますわね。これは正真正銘幸せの壺ですよ。安いわけないじゃない」
大丈夫かなという気持ちを持ちながら、壺を目利き君に置き鑑定してもらう。
暫くして、鑑定結果が印刷され出てきた文に言葉を失った。
顔色を悪くしながらも、黙って壺をカウンターに置くと「こちらを鑑定してきますね」とだけ言い黒い茶碗を鑑定する。
鑑定文を見て、目を見開くと、丁寧に黒い茶碗をカウンターに置いた。
「どうだったの?」「結果を教えろ」という言葉に「では結論から申し上げます。買い取り価格は、壺此方ですね」と大きい壺を差し「150円です」顔がひきつる女性がいる。
「で、こちらの黒楽茶碗ですか。33万円になります」
「嘘よ。こっちの壺が33万円でしょ」
「そうですね。曰く付きと言いましょうか、そう言うものでなければその位の価値があったかと思いますが、残念ですが」
「どういうことよ。ちょっとその紙見せなさい」
「どうぞ」紙を見ていた嫁さんは、次第に力が抜けて座り込んでしまった。
(不幸の) 壺 買い取り可能
壺事態は、量産型の商品で3300円程。
幸せになるように念を込めていたものだが、失敗し邪念と苛立ちを込めてしまう。
その為、50万円の物を30万円として売り出す。
壊すなどすると、一気に邪念が広がり近くにいるものは最悪死ぬことも。
死ななくとも、精神を壊す事必須。その為安く売り払われた。
手放すのが一番いい解決法である。
本物であれば33万円で買い取れるが残念である。
壺に名は無いが、幸せの壺というのならこれは不幸の壺であろう。
買い取り価格150円也
急な落ち込みように、ジジー・・・お爺さんもびっくりする。
「見せてみろ」と紙を渡してもらう。
読んでいくうちにワナワナと怒りが出てきたのだろう。
「この馬鹿者がー。とっとと売り払ってしまえ」「はい」
ここ、店の中なんだけどな。
立ち上がった嫁さんはサインをしたので、直ぐに手続きを済ましてお金を渡す。
途端に、憑き物が落ちたかのように「お、御父さん。御迷惑をおかけしました」と。
「馬鹿者が。まあいいちょっと待ってろ」
黒楽茶碗 買い取り可能
200年ほど前、陶芸家が弟子と共に黒楽茶碗の複製を作る。
弟子の1人が作ったものが出来が良く、師匠の名でこの世に出る。
巡り巡って、骨董品屋で1万円で売られていたものを買い取られた。
箱、箱書きは当時の物で本物。
鑑定書があれば50万円が妥当。
買い取り価格33万円也
「弟子が作ったものでも、師匠が作ったものとして売れるんですか?」
「当時はな、弟子が作ったものでも師匠が認めればその師匠のものとして鑑定されるのだ。問題はないのだが、ここの店はそんなことまでわかるのか。悪いがこれを買い取ってもらえないか」
「「えっ」」「御父さん?」
「構わん。この壺のせいでな。多分そうなんだろう。家の中もちょっと荒れてな。色々直すにも金も必要じゃ。頼む。気に入ってたんじゃが銭に腹は変えられん」「背に腹はでは」「うるさい。サインはしたぞ。はよせい」「はい」
お金を受け取ったお爺さんは、「帰るぞ」と一言いうと静かに店を出ていった。
台智さんは、商品に値札を貼ると、勝手に商品が売り場へと移動する。
「主君、あの壺あのまま売っても大丈夫?」「んっ」と渡された紙を見てなるほどと思う。
これはヤバイと思う。
じっと見ていると「気持ち悪くなりません?」と聞いてくるので、首をかしげる。
多分、普通の人ではたいきれないのだろうか。
僕は、200円で壺を買うと、壺を持ち上に上がった。
因に、黒楽茶碗は45万円で売り出してる。
骨董品屋で、1万円で買ってくるとは、なかなかの目利き爺さんだと思った。
おしゃべりを続けてた女性群が急に静まり返る。
「それは?」「うん。ちょっとね」そう言い返すと、僕は壺の中にMpを流し込んで負のオーラのようなものを相殺させるように無くした。
「あっ楽になった。何だったんですか?」「うん。不幸の念が詰まった壺でいいのかな」「不幸なんてものじゃなかったような」どんだけ酷い壺なんだよ。
「で、皆は何してたの?薬草机の上に広げて」「えっいや薬草自分達でも加工というかそういうこと出来たら良いなって」「成る程。そういえば昔ゲームで」壺の中に素材入れて、選択するとそれになって出てくるみたいなのがあったな。
作っちゃおう。
都合良く壺あるし。
ダンジョンの入り口の迎えに当たる隅に壺の置き台を作ると、壺を木箱から取り出し置く。
壊れないように台と壺を少しずつ強化しながら、加工スキルを凝縮していく。
徐々に光だす壺は最後に閃光しやがておさまった。
「出来たよ」3人の女性が、ナニガデキタノみたいな顔で覗いてくる。近い近い。
「薬草沢山入れてみなよ」と言われたあかりさんが代表で持ってる薬草を入れる。
すると、壺の前にリスト表が出てきたので、恐る恐るリストの中から選んだボタンを押し実行する。
すると、壺の中から飛び出すように、ポーションが出てきて、あかりさんの前に浮遊した。
「ポーション。こんな簡単に。何でもっと早く」と泣き出してしまうあかりさん。
「それは違うよ。私たち奴隷になったから今があるんだよ。これからだと思うよ」「おねーちゃん」
錬金加工の壺
入れた素材により、加工又は錬金する事ができる。
少量であるがMpを使うため、普通の人では連続では出来ない。




