料理に欠かせないダンジョンとは 6
飛び回る蛾に、葡萄を頂戴した僕達は次の階に降りた。
リンはもう少し食べていたかったようだが正直キリがない。
ここは5階。最終魔物とボスである。
魔物を確認しようと部屋を覗くと直ぐに踵を返してしまう。
そこにいたのが亀虫であった。カメムシそれは臭い虫で有名なあのカメムシだ。
密封したカメムシを刺激すれば、自分の出した臭いでカメムシ自信が気絶し放置すると死に至るという恐ろしい虫だ。
「何処行くの?」「いやーあれは倒しづらいというか臭いというか」こんなところで臭い始めたらイチコロだろう。
「くさい臭い・・・臭くないみたいよ」
亀のような甲羅を背負っているような形が1メートル急になると、大盾が動いてるようにしか見えないが、その大盾の下の足の付け根から出る油性物が臭い元。
そんな話をしてたら授業潰すだろうというほど、こういうのが好きなことをしゃべる先生がいたな。
その事を思いだし、んっ臭くないだと?
「今、臭くないって言った?カメムシが、あの遺伝子で食べれる食べれないと決まるパクチー以上の強烈な臭いを放つカメムシだよ」
「パクチー?遺伝子?はわからないけど、書いてあるもん」
「んー」にわかには信じがたい。とりあえず・・・。
カメムシ (G) / アオクサカメムシを模した魔物。臭くはない / ー /ー / さくらんぼ / いちご / 20文 / 20
「ホントだ書いてある。臭くないカメムシなら倒しやすい。しかも攻撃パターンがないボーナスステージかな。その上、イチゴ、サクランボ、食べたい」
どちらも、宝石に称される程の果物。
イチゴは、草だから野菜だと、そういう見方もいや、こっちの見方が正しいのだろうが、正直野菜でもフルーツでもどっちでもいい。うん。フルーツとして食べた方が美味しく感じるか。
まーどちらも、品種改良により産み出されたものだと知っているので、これらを特上にしたときの味がどうか、今まで外れがなかっただけ楽しみである。
自然とカメムシに足が向くと、一気に魔物を倒す。
一斉にアイテムへと変わる魔物。
アイテムは、僕へと吸収される。
器を出すと、まずはサクランボから。
32本のサクランボ。
艶もなく、ふにゃふにゃである。
色は紅色をしているが、所々白く薄ピンク色も混じっている感じである。
それでも見たことの無いリンにとっては、目が輝くほど凝視していたけどね。
徐々に品質をあげていくと、紅色は薄れ濃いピンク色の白い模様が入ったようなサクランボが出来上がった。
艶がかなりでて、実もたっぷりと水分を溜め込んでるかのごとく丸い。
緑色の茎の部分を持つとリンに説明する。
「ここの緑色の部分と種があるから、種は食べないこと。種を噛み砕いてもダメだからね。多分苦いし」
「わかった。葡萄と一緒だね」「葡萄は皮を食べないけど、これは皮ごと食えるよ。よし、食べてみようか」
枝の先端を摘まむと、サクランボの実を口にくわえると実と枝を切り離し、口の中でサクランボに軽く力を加える。
弾いた皮の中から溢れる甘い香りが幸せを呼ぶ瞬間だ。
リンの顔も、いい笑顔である。
種を口から勢いよくプイッっと捨てると、リンも真似して捨てていた。
「リン。今僕は口から種を飛ばしたけど、外ではしちゃダメだぞ。まず普通にお行儀悪い。それと」「それと?」
「うん。これらの果物はこの国にはまだ存在しないんだ。勝手に生えてくるとそれなりに問題なんだ」「よくわかんない。ただ、外に捨てなければいいのね」
「僕もよくわからないけど、外には捨ててはダメなんだと思うから」「うん。わかった」
「じゃイチゴの方と言いたいが、数が少ないからもう一回回収しないと」といっている間にリスポーンする魔物を一掃してイチゴをゲットする。
器に入れたイチゴは一応赤いものの美味しそうに見えない。
これが特上になると、艶もでて全体が明るめの赤色で覆われる。
ヘタである緑色の部分を掴むと一気に口の中へ。
ヘタの部分を噛みきると、口の中で実を潰す。
これまた幸せだ。
僕もリンも顔が緩む。と、次の瞬間リンが消えた。
いや、一目散に行ってしまう。
食べ方を覚えたので、僕は用済みかと思えるくらいだ。
でもいいんだ。
葡萄に苺に桜の坊堪能できたから。
さて、最終ボスはどんな物を出してくれるのだろうな。
糖分たっぷりの甘い何かだろう。
イチゴがあるから、スイカやメロンは十分に考えられる。
木にならない果物だとバナナとかあるかも。
或いは、王道の果物きたりするかも。梨うーん柿ー桃とか想像してると果物って結構あるんだなーって思ってきた。
時間も結構すぎた。
リンが満足顔で戻ってきたので、今日のメインボスへと足を向ける。
ボス部屋に入ると、そこに蛞蝓がいた。
「な・・・ナメクジか」
虫とは言いがたいナメクジがウニュニョ動いている。
速くはなさそうだが、キモイ。
人によってはカワイイとかキモカワイイという人もいるだろうが、キモイ。
まーキモくても良い。出すものだしてくれれば、鑑定だ。
甘い桃か、西瓜?なんだろうーなーと、思って・・・。
「果物じゃないよね。野菜なのかな?」「野菜とも違うような。甘いのは確かだが」「じゃ倒したら食べていい」「ちゃんと加工しないと美味しくないかもよ」「そうなの?」「たぶん、ね」
ナメクジ / ナメクジの形をした魔物。ブヨブヨしている。 / 舐める / ー / 砂糖黍 / 砂糖大根 / 75文 / 75
サトウキビとサトウダイコン、どちらも砂糖の原料になる代表的な存在。
確かに料理に欠かせない食材の元だ。
ただ、僕は実物を見たことがない。でも、聞いたことがある。
砂糖黍は、ものすごく固い。
砂糖大根は、臭いと。
どっちみち、あのナメクジ退治が先である。
手裏剣を投げた。
手裏剣を頭の中に印を設けて投げた。
しかし、手裏剣は頭の上をすり抜けて行ってしまう。
正確にはナメクジに当たった手裏剣がヌルヌルした皮膚の上を嘗める様にして通りすぎてしまったのだ。
ブヨブヨした皮膚に手裏剣の刃が通用しなかったのだ。
手裏剣は、ナメクジに対して戻ってくるのだが、刺さることなく滑っている。
何往復もする手裏剣は少しずつ角度を変えながら刺さりにいっていたのだが、ナメクジの体の中心と頭の位置と手裏剣が直進で結ばれる位置に来たとき、手裏剣がナメクジのブヨっとした体の中心に当たり、手裏剣の逃げ道がなくそのままナメクジの皮膚に食い込んだ瞬間、ナメクジは爆ぜてチリになっていった。
リンもこのナメクジには苦戦していたが、体の中心に矢を飛ばした時、ナメクジの皮膚が矢に押し込められるように入り込み爆ぜた。
やっとの思いで手に入れた砂糖黍は固く、砂糖大根は臭かった。
特上にした砂糖を、口一杯放り込んだリンが涙目でこっちを向くので吹いてしまう。
怒りだすリンに水筒を渡し、涙を拭き取った。
「よしっ外に出るか」「うん」元気な返事をするリンがそこにいた。




