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お店を開く準備16 鷹仁

 弓矢が空に向かって飛んでいった。

 直ぐに分厚い雲に入っていくと、斜め上に飛んでいた矢が雲に平行に走っている。

 雲は、弓矢に割かれ、そしてくっついていく。

 まるで、雲に中を巨大飛行機が通り抜けるように、飛行機雲が形成されていった。

 が、このまま見ているわけにもいかなく、僕は手裏剣を飛んでいる矢に向けて放つ。

 手裏剣は、矢よりも速く進み、矢を下側から真っ二つにした。

 矢は、二方向へ飛んでいきチリになって消えていくのだが、問題は手裏剣である。

 矢を2つにした手裏剣は、勢いと反動で軌道を変え戻ってくる。

 僕の方に戻ってくるのでなく、少し位置が代わり龍一を目指していた。

 龍一はとっさに木刀を構えると、手裏剣に対峙し下から上へと切り上げたのだ。

 ガコンというすさまじい音を鳴らし、手裏剣は真っ二つになり龍一の両脇をすり抜け再び空へと上がっていった。

 そして、龍一の木刀は衝撃に耐えれず真っ二つになり、刃先の方が空へと舞い上がっていった。衝撃波と共に。

 舞い上がっていった木刀を追いかけるように2つにされた手裏剣が軌道を変えていた。

 空の、雲の上で2つの手裏剣と木刀がぶつかり、チリになる。

 その衝撃波が、雲を一気に散らし、先程までドンヨリとしていた曇り空が晴れ渡ってしまった。

 後に、ニュースにまでなってしまったのだが・・・。

 龍一の手から、残りの木刀がチリになり姿を消してゆく。

 太陽からの強い日差しと、屋上の放射熱に挟まれ一気に熱される中、誰もが動けないでいた。

 『神社のダンジョン。安全地帯にて待つ』頭の中に直接入ってくる。

 全員一斉にキョロるので、皆聞こえたのだろう。

 固まってるあかりさんから、武器をもぎ取った彩琥が、龍一に近付き顔を会わせ頷き合う。

 僕の方へ来るので、「先行ってるか?」と聞くと彩琥は行きたがったが、龍一が首を横に降るので、彩琥も従う事にした。

 固まってるあかりさんを、何とか解して神社に着いた。

 周りを見渡してもお稲荷さまは居ないので、多分ダンジョンにいると思われる。

 ダンジョンに入ると、彩琥はさっきの鬱憤を放つかのように、鮮やかに魔物を倒すと、どんどん奥に行ってしまう。

 それを追いかける僕達は、すぐに安全地帯まで来てしまった。

 安全地帯に皆が到着すると、大岩達に入り口を塞がれてしまう。

 僕にとって普通の事だが、奴隷達にとってはヒヤヒヤを通り越して、思考回路がとんでいるようだ。

 大岩達に入り口を塞がると、安全地帯の奥から1人の女性が現れる。

 「神さまー」と彩琥が、女性に近付くと、その女性は彩琥の頭をさすりながら「次からはダンジョンの外で武器を出しては駄目よ」と言った。頷く彩琥。

 「貴女があかりね。反省はしているようだけど、どうしていいかわからないと言ったとこかしら。しかし今の私には邪気でしかないわ。祓わせてもらうね」と足を一歩強く踏み込むと、余波が起きた。

 その直後、あかりさんは崩れるように倒れこんでしまった。

 「目が覚めれば、問題ないわ。それより龍一」「は、はい」「武器作るわよ」「武器ですか?」「壊れちゃったしょ。それに、いつも美味しいお供えしてくれるからお礼よ。神の気まぐれとでも思ってくれればいいよ」

 いつもと口調が違うような、と思っているがそこはまーいいか。

 「鷹仁」急に僕の名前呼ぶからビックリしてたら、「鉄出して」と。

 僕が鉄インゴットを出すと、真っ二つにして、僕と龍一に渡してきた。

 僕のは鉄インゴットの半分のみで、龍一には、鉄インゴット半分とどこから出したかわからないが木を渡していた。

 「鷹仁は、その鉄をさらに練り上げるようにしながら不純物を出して、本当の純100%の鉄にして」という。

 「龍一は、この木と鉄を混ぜて特別の玉鋼を作って」

 「あなた達は見学。ちょっと細工したから、この子達の力(Mp)の動きがわかるわよ。あかりには夢の中で見れるようにしてあるから、しっかり見学してなさい。彩琥は、自由にしてていいわ」

 「私も見学する」

 特別のという事に、動揺する龍一。僕もよくわからない。

 「岩を凝縮して作った石手裏剣と同じよ。龍一はレシピにあるからじっくり丁寧に作り上げてね」

 僕が作業を始めると、Mpが鉄の中に入り込め始め、目には見えない何かを空気中に投げ捨てると同時に、鉄の分子がより結合していく感じがよくわかった。

 特殊な玉鋼の方も、木と鉄を混ぜては、不純物を出して結合させている様子がありありとわかった。

 材料が出来上がる。僕が額に汗を浮かべるほどきつい作業だが、続きがある。

 これらを2つ組み合わせ刀にしていく必要がある。

 芯金として使う僕が作った鉄は、不純物がなく粘りがあり、衝撃を吸収して折れない。

 龍一の玉鋼は、刀の外側を包み込み刃になる。

 龍一の錬金術で刀を作り、僕の加工でさらに刀の2つの素材を融合させ磨きあげていくと出来上がった。

 剃刀のようによく切れ、鉈のように丈夫で、斧のようによく斬れる。

 素晴らしい逸品だ。

 「こっち持ってきて」と言われ、龍一が出来た刀を持っていく。

 稲荷さまは呪文のようなものを唱え終えると、今まで刀身のみの刀が、拵え付の武器になった。

 「美刀・狐個合でどうじゃ。」「びとうここあ?微糖ココア」「それじゃ飲み物じゃ美しい刀、私とソチが合わさった刀という意味じゃ。それともう1つ能力を付けといたのじゃ」「しゃべり方変えました?」「気分で変えてるだけじゃ」「で、能力とは」「論より証拠という。その大岩切ればわかる」

 龍一が一閃のもと大岩を切ると、大岩はチリになりアイテムを残していくのだが、3つの大岩に対し6個の石つぶてが残っていた。

 いつもの倍のアイテムだ。

 「見ての通り、倍のアイテムを出す武器なのじゃ。大事にするんだよ。最もアイテム倍はダンジョンでしか通用しないがの」

 凄いなと思っていると、あかりさんが目を覚ました。

 直後に、あかりさんが彩琥の方に行き、頭を下げる。土下座だ。

 「御免なさい。武器を勝手に奪うようなことをして御免なさい」たじろく彩琥は、「も、もういいよ。怒ってないから。今後しなかったらいいから」と。

 「はい。しません。済みませんでした」と、すぐに立ち龍一の方に向かい「武器を壊すことになって御免なさい。そして、新しい武器手に入れておめでとうございます」

 「う、うん今後他人の武器に手を出さないでね」「はい。済みませんでした」

 僕のとこに来て「ご迷惑をおかけしました」「僕は焦ったけど問題無いから。うん」

 そのままあかりさんは、お稲荷さんの側に行くと、直立し二礼二拍手し「此度は済みませんでした」と言う。

 そこは、土下座ではないのか?と思うがある意味正しいのかと思う。

 「私は、お主が最初に彩琥に謝りにいったのを見れば十分じゃ。今は辛い。じゃが辛抱してれば良いことが必ず来る。用は済んだ。先帰る」と言うと姿が見えなくなった。

 龍一を先頭にダンジョンを出る。

 お供えをして、ふと気になることを聞いてみたくなった。

 「神様います?聞きたいことがあるんですが」

 ズズーズッと、音の方を振り向くとキツネウドンをすする神様。

 僕が・・・・「なに、こうでなくっちゃだ。聞きたいことって?スキルの事か」

 神様だなと思ってると、あっさりと教えてくれた。

 「スキルはMpを使うか体(Hp)を使うかだけだ。普通の人はMpをうまく使えないから体を使ってがんばる。希にMpを使うことがある。まあ大半はそれを奇跡とよんでるがの。いかにMpを使うかそれだけじゃ」と言い消えた。

 具体的にはわからなかった。

 強い日差しに目を覆う。

 雲を払ってしまった7月終わりの日差しは目に良くない。

 周りはちらほらと洗濯物を干している姿を見ると悪くもないのかと思う。

 遠い空の上には、入道雲が大きく立ち上がってるのがはっきり見えた。

 僕は今日はもう帰ることにした。

 皆には、後で携帯の方にメールを送るとだけ告げる。

 明日は雨なのだろうか?そんなことが頭に浮かんでは消える。

 

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