お店を開く準備15 鷹仁
去っていってしまった。
おっ男の俺が、何とかしなくちゃ。
「あっあの・・・自己紹介しませんか」
「あっ愛葉・・・ここで?」
ここじゃちょっとなと、皆が思い思いに頷く。
地図を広げると、スーパーの場所やコンビニ、等あるので、スーパーでお買い物のをすると、地図を便りにマンションに着いた。
広い駐車場の真ん中に建つマンションを見上げ、皆で顔を会わせる。
ここに住むのか、という気持ちだ。
病院にいるときは、小さいぼろアパートでも天国と思っていただけについていけないのだが。
マンションに入る。防犯システムのあるマンションだ。
ただ、管理人室はあっても、管理人と思われる人が居ない。
周りを見渡すと、エレベーターがマンションの中側にあるのを見つけた。
エレベーターに乗り5階へと上がる。
降りたすぐ目の前に入り口の扉が対になるように2つあった。
向かって右側が洋風の部屋で左側が和風の部屋だというが、玄関を見ただけではわからない。
「荷物置いたら、皆で集まり・・・」荷物っていっても皆手ぶらだ。
小さい布袋型収納ボックスはアイテム扱いとされ持ち物に含まれている。
生物も、冷蔵庫より遥かに性能のいい場所に納められてるので、心配ない。
どっちの部屋に入ろうか。
まだ、入ったことの無い部屋なので、どっちでもいいのだが。
とりあえず、日本人ということもあり、和風の部屋に入ることになった。
鍵を開け「色葉、入ります」と扉を勢いよく開け閉めた。
「どうしたの?」誰か居たのか?あるいはお化け?と疑ってしまう。
「広い」「えっ」「広すぎる」「えっえっ」そーっと開けて確認。確かに30人は楽に利用できそうな程の広さだ。
真っ正面にはこれまた大きいスライド式の入り口があった。
そして、左側に真っ直ぐに延びる廊下が窓から入る太陽の光に浮かび上がっている。
一度、外に出て、玄関から突き当たりまでの外廊下を目測で確認し、部屋の中の廊下を目測で確認する。「同じ距離じゃん、隣もそうなの?」と、隣も確認。
玄関入って右側真っ直ぐの廊下は、外廊下と同じ距離。
4人顔を見渡し、外廊下を歩いてみる。
エレベーター近くにある玄関が2つ以上の扉が見当たらない。
この時、5階が2つしか部屋が無いことをはじめて知るのだった。
「誰がこんなとこ住むんだよ。俺には考えられない」とつい、愚痴が出た。
直後に、女性陣から指を差されてしまう。誰もが軽い現実逃避しているようだ。
慌てた俺は「まぁまぁ、こんなとこに居ても何だし、全員で両方の部屋のチェックでもしてみないか?」
1人でチェックに回れと言われれば、正直断りたいが、皆ならいいかなと思う4人である。
チェックしてみた結果は、左右共に似たような造りであった。
玄関入ると、目の前に大きな空間の部屋がある。
床が畳か木の床かの違いだけだ。
宴会場とでも言えばいい感じの空間だ。
その、宴会場の奥に御手洗いが1.2・・・5つ有り、横へキッチンと繋がっている。
一度、玄関の方に戻り、長い廊下の方にいくと、最初のT時の廊下があり曲がった先がキッチンになる。
キッチンに入らないと、L時の廊下であり部屋全体の真ん中辺りに、外廊下に平行する形で真っ直ぐな廊下が存在する。
真ん中の廊下を、キッチン側から順に、キッチン、ダイニング、男女別トイレ、視聴覚室と並び、突き当たりがお風呂である。
お風呂側から戻ってくると、視聴覚室の反対側は個室が10連なっている。
そして、客間というか床の間があり、最後に囲炉裏がある。
この囲炉裏の部分は、洋風の方が暖炉があるのだ。
ただ、両方とも火が使える訳ではないが、再現はされていてかつ、お湯を沸かすぐらいの簡単な事は出来るようになっている。
視聴覚室は、どちらかというと多目的映画館風でこった造りであった。
キッチンも、調理器具がズラリと並び、使いきれない種類があり、調味料も豊富にあった。
ここで、お湯を沸かし、インスタント料理を温め、お弁当をチンし高級そうなお皿に並べるのは、本気で恥ずかしくなる。
虚しいと言った方がしっくりくるか。
お風呂に入ろうとしたが、風呂桶がこれまたデカイ。
大人30人は余裕で入れると思われる檜風呂と中くらいの岩風呂と個室風呂が存在した。
もったえないので、個室風呂に交互で入ることになった。
部屋全体の空調設備がしっかりしすぎているのか、外の蒸し暑さを一切感じさせない空間は、快適すぎて気持ち悪い。
もう1つ、気持ち悪いのは、静かなこと。
五月蝿くないのは良いことなのだが、静かすぎるというのも人の気を狂わす事がある。
自分の心臓の音が聞こえるのではと思うほどに静かすぎるのだ。
田舎でもここまで静かではない。風や鳥、虫などの声など微かでも聞こえるものだ。
都会とまではいかなくても、車やバイク、人の話し声や物音など、そして何らかの機械音が僅かに響いてるものなのだが、ここは静かすぎる。
その中で、俺達は囲炉裏を囲んで話し合った。
そうして、夜も更けていき俺達は気付かぬうちに眠りへと落ちていったのだった。
あかりが少しテンション高かったなと違和感を覚えていたのだが、その事に聞くこともできずに、朝、いや昼近くを迎えていた。
俺達はチャイムの音で目を覚ます。
ここはと、周りをキョロキョロし「ここは・・・」あー一応引っ越したんだと気づく。最も隣だが。
皆も眠たいナマコのままといった感じで、目があった。
またチャイムが鳴り、ビックリし玄関へ駆け寄る俺が扉を開けると主君がいた。
「おはよう」「おはようございます。ってこっちにいたんですね」「うん。皆と話してる内に眠ってしまって」「そーですか?皆います?渡したいものあるので」「渡したいものですか」「うん」「ちょっと待ってて」というと奥に引っ込んでいったが直ぐに出てきて、Okをもらった。
僕は、囲炉裏のある部屋に入ると正座をしているので、「楽にして」といい座る。
皆が足を崩したところでスマホを出す。
スマホは基本機能と僕の連絡先と、ライセンスカードを持つものだけが開けるサイトのアイコンだけだ。
「従業員全員に持ってもらうという意味だけど、常識範囲内なら自由に使っていいよ」とだけ言っておこう。
「そして、皆に知らせがあります。ヤミ金の借金は全て僕の方から返しておきました。それで、僕への借金ですが、1人頭4億2500万になります。以上」
頑張っても返せる額じゃないので皆ガッカリする。無理もない。
ただ、僕は皆のガッカリする顔より、上の、そう僕の買った階の部屋が気になっていた。
なんだかんだで、4人をつれ上の階へ。
エレベーターを降りると大きな玄関。
玄関を入ると、フローリングの大きな空間があり、左側真ん中に柱の回りに設置されたカウンターに、右奥にはキッチンとリビングがある。
その奥には囲炉裏と茶室があった。さらに奥には個室が6部屋ほどあり、最後に風呂がある。
左側は多目的視聴覚室だ。
言葉にならない僕と、3人。あかりさんだけがちょっとはいテンションで見て回っている。
キッチンの横に上へと続く階段がある。
この上の屋上へと続く階段だ。
階段を上がり屋上へ出ると、曇りであり、ジメッとした暑さがある不快な天気だった。
そして3つの見慣れた入り口があった。ダンジョンである。
トンッ、トンッと聞きなれない音がし、振り向くが誰もいない。
でも、違和感がるので「誰?」と聞いてみると、姿を表す2人。
龍一と彩琥であった。ビックリするも聞いてみる。どうやったのかと。
「この羽衣でね。姿消して下からジャンプしてきたの」だと。
すかさず聞いちゃったよ。「人間やめた?」って。
そしたらこの2人、顔を会わせこっちを向き「鷹にぃ程じゃない」って言うんだよ。ビックリだよ。
「その格好、ダンジョン攻略するの?」「うん」「気を付けて行って・・・あかりさん」
「貴女が琥珀から一文字もらったとう娘さん。ねーねーチョット貸して」と彩琥から弓を取り、いじり始める。
とっさのことで動けなかったが、彩琥が「返して」と言い、「良いじゃん」といった瞬間弓矢を飛ばしてしまった。
「あっ」「あっじゃなーい!!!」ヤバイことになった。




