お店を開く準備11 鷹仁
「あいつらを潰してくれ」という依頼だ。また、とんでもない依頼だ。
一介の高校生に言う台詞ではない。
でも、真剣な顔をして頼まれて、すぐ嫌ですとも答えにくかった。
理由を、聞こう。でもその前に「断ることを前提に理由聞いてもいいですか?」「そ、そうだよな。断ることを前提でいいから、理由だけでも聞いてくれ」おー、これは意外な事だ。本当に潰してほしいんだなと思う。
「わかりました。高校生でもわかるように話してみてください」
「良いのか?まーうぅん話だけでも聞いてくれ」そう切り出す。
「奴等は、全員犯罪者だ。しかも指名手配中のな」という。
だったら警察に言えばいいと思う。のだが、常に集団で暮らしていて、1人が何かあると集団で力業をしてくるので、手が出せないらしい。
そして、警察も全員では無いだろうが知っているとのこと。
犯罪者集団が、自由に暮らすために怒濤を組んでいるのだと。
そして、奴等のアジトというのが、メリケンサックのおじさんのお祖父さんの家だったとのことだ。
材木商を営むお祖父さんが、かなり大きな屋敷を造ったとのこと。
だが、奴等に乗っ取られ、その後、同じような人が集まってきてしまったので、警察も行政も手が出せなくなったという。
メリケンサックのおじさんのお祖父さんは、思い余って火を着けようとしたが失敗し、今ではひっそりと小さいアパート暮らしをしているのだとか。
で、僕に何をどうしてもらいたいのかと聞いてみた。
いくら、犯罪者といえど、人殺しは嫌ですよ。
とはいえ、このまま野放しにも出来ない。僕がやる必要もないんだけどね。
それに、メリケンサックのおじさんが、僕を利用しているだけとも言えるかもしれないと思う。
ふと、スマホを手にした僕は、あるサイトを覗いていた。
ライセンスカードを持っている人だけが扱えるサイトの依頼欄だ。
その中に今と似たような話は無いよな、ってあったな。
依頼を確認してみる。
スマホをおじさん達に見られてないか周囲確認して。
依頼主は、大岡のお奉行であった。
内容は無い、いや基書いてない。ただ、直接合って伝えると。大事らしい。
屋敷を潰そうという依頼名と写真だけは乗っている。
僕は、写真だけをスマホの画面一杯にしておじさんに見せた。
「いや、やっぱ聞かなかったことに・・・この屋敷で間違いないがどこで?」「聞かなかったことにするんでしょ?だったらこれも見なかったことに」うなずかれた。
奴隷達の借金はすべて返した。
本当に1人頭、3億で12億円とは持っている僕も凄いけど、思わなかった。
「君は、何者なんだい?」「ただの高校生ですよ。結果は楽しみにしてても良いかもね」聞くだけ無駄というのはわかっているはずなのに、人って聞きたくなるよね。
外に出た僕は直ぐに、お奉行に電話する。電話番号が依頼のところに書かれてたからね。
電話をすると、直ぐにお奉行が出てくれた。
まず、税務署に多額の税を納めたことにお礼とヤりすぎだとのお叱りをもらった。
僕を殴って、手首を骨折した男は、3ヶ月の減給、骨折して減給とは踏んだり蹴ったりだな。
木戸辺は、1階に散らばった金銀銅の仏像等を回収に手間取ってるそうだ。
ちなみに、警備員にはお咎め無しだという。
それよりも、依頼だ。聞こうとすると、ここに行けというメールを送るとだけ言い電話を切られた。
メールが届き、マップで確認して移動する。
そこには、ボロボロのアパートがポツンとあった。
駐車場も見当たらない程のアパートだ。
その一室が集合場所だ。
本当にここかと思いながらインターフォンを押すのだが、壊れてるのか音がでない。
仕方なく、扉を叩く。返事が無いと思ったら後ろから「どちら様かね」という声が聞こえた。
「そこはワシが借りてる部屋じゃが」んーどことなくメリケンサックのおじさんに似てる気がするが、気のせいか。
「こんなところで立ち話もなんじゃて、むさ苦しいとこだが上がるかね」という。
なんとも、気のいいお爺さんなのだろう。
確かにこんなところで立ち話もどうかと思うし、中に入ってもし間違いでもお邪魔しましたといって出てくればいいし、取り合えず中に入ることにした。
「お邪魔します。綺麗ですね」こざっぱりとしている。
余分な物が無いといった感じか。
「暇だでな。掃除ばかりしとるよ」「そうなんですね」物色するつもりは毛頭無いが周りを見てしまう。
何もありゃせんよと、言われてしまった。
「ところでお主、飯はどうする?出前でもとろうか」出前というものをしたことがないので、食べてみたい気もするが、お弁当は持っている。どうしようと思っていると、扉からノックが聞こえてきた。
「誰じゃろう?ちょっと待っとれ」と扉に向かう。
戻ってきたお爺さんの横には、普段着のおっさんイヤイヤお奉行がいた。
やっぱりここで合ってたのだと思う。
となると、やはりこのお爺さんは、メリケンサックのおじさんのということのなる。
「本当にこの子がやるのかね」「そうだが」「ワシの孫より若いがの」「そーだな」「うむ」考え込んじゃった。心配されてるのかな?それとも信用されてないのかな?
「しかしだな。心配だ。ワシの屋敷などどうでもいい、この子が危ない目にあうと思うとだな」「心配ないですよ」とお奉行が簡単に言う。
あんたが言うか、と突っ込みたいが「僕は大丈夫ですよ。といいたいのですが、具体的な話を聞いてないのですが」「な、なんじゃと?どういう」とお爺さんがお奉行に言い寄る。「ですから、私自らここに来て説明しにですね」と取り繕っていた。
「一応状況は知ってますよ。犯罪者に乗っ取られた屋敷を取り返すんですよね」「「それをどこで?」」
「えっと多分ですけど、お孫さんに聞きました」「あやつにか?孫はそのー元気に」「えーと元気でしたよ。ただー」「元気ならええんじゃ。どんな事をしているかは知っとる。ワシのため、金のためとはいえ、ワシは早く足を洗って欲しいのだがな」「通りで、君がこの依頼受けたわけだ」双方納得してくれたところで本題にはいる。
「まず、屋敷にいる連中はほぼ全て犯罪者でその数100人ほどである。指名手配も8割り程いると思われる」指名手配犯のみと思っていたが違うようだ。
中には女もいるようだが、圧倒的に男が多い。だろうね。
屋敷は、どうするのかと聞いたところ、更地にしていいとのことだった。
お爺さんの同意はすでにとってあるとのことだが、再度確認をしたくて集まってもらったのだとか。
「ワシの意見は変わらん。書類上はすでにワシから行政に渡っておる。ただ、直接屋敷を壊すにしても近所に迷惑がかかる。それは避けたいんじゃ」という意見だ。
「あっそうだ。出前まだだったの?お主も食うじゃろ」お奉行が、自分みたいな顔をしながらも、お願いしていた。
「お肉でいいじゃろ?」と聞くので頷くと、電話をする。
どうやら、焼き肉定食を頼んでいるようだ。ご飯大盛り1つ頼んでいた。よく食べるお爺さんだと僕は思った。
屋敷を取り壊し更地にするのは、僕にとって容易いことなのだが、中の犯罪者はどうするか聞いてみると、2つの茶封筒を取り出す。
中身を確認すると、2種類の大量の注射器が出てきた。
「これで人が死ぬって事はないですよね?」「ナイナイ。ただの睡眠薬と自白剤だ」
自白剤?ってその薬使って自白させても証拠にならないのでは?と聞いてみると、意外な答えが帰ってきた。
「この自白剤は、実は自白剤ではないのだ。一定期間ドーパミンを大量に出すアイテムでな、自分の犯した罪をな話始めると自慢話のように喋りだして少し理性が聞かなくなるだけなのだ。体への影響はほとんど無いな」などという。
その内、取れるようになるよ。
イヤイヤそんなアイテムどこで使うんだよ。まったく。




