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鉱石ダンジョンのG

 一休みした僕は、武器を変えた。

 残る最後の武器は、破壊の鉄拳だ。うん。ナマエカッコイイ。

 試しに、安全地帯の壁を殴ってみた。

 殴った感触はあるが、ビクともしない。

 安全地帯内だから武器による効果が無かったのか、或いは力そのものが足りなかったかわからない。検証しようもない。

 しかし、安全地帯へ敵が入って来ないのは良いのだが、入り口に群がるのはどういうことだろうね。

 確か、最初は大岩で塞がれたような記憶もある。

 なんとかここまでこれた人程度だと、絶体絶命だよね。

 僕達は良いけど。

 そう思いながら、群がるハンミョウに一発食らわせてみた。

 すると、ハンミョウは瞬く間に粉砕する。

 1匹にとどまることなく粉砕し続けた。

 部屋にいたハンミョウが半分ぐらい粉砕していった。

 僕が首をかしげると、リンも首をかしげる。

 リンは、僕の真似をしているのかどうかは置いといて、僕自信が作った武器に性能そのものを理解できない自分がいるのだ。

 どうしよう、検証しようか?それとも誰かに聞こうか。

 聞こうかと思っても、作ったのは僕だし、説明しようが無いから、聞きたくても答えてくれる人は居ない。

 リンに聞くのもおかしいか?いや、リンのスキルなら或いは、と思う。

 「リン、この鉄拳調べてみてくれない」「良いよー・・・うん。対象物を破壊するってあるよ」粉砕だったけどとは、思わないことにした。

 「対象物って」「対象物って」「対象物だよ。狙ったもの」そういうことではと思う。

 「うんとね、同じ対象物が重なってたり繋がってる場合は、破壊されちゃうんだって」

 つまり、群がってたために、ハンミョウ同士が何処かしらに触れていたので、破壊されたということのようだ。

 本当に、人には向けれない武器である。

 そして、群がってくる物には、使い勝手の良い武器であることを確認したので、鉱石をインゴットに変え、次の階へと向かった。

 4階で待ち受けていたのは、我らが希望の平たく黒い虫である。

 その名も、ヒラタクワガタである。でかいけど。

 ただ、よく見るとこのヒラタクワガタは、今までとちょっと違いがあるようだ。

 鍬の中のギザギザ部分が妙に尖っているように見える。

 気のせいだよね。取り合えず鑑定だ。


クワガタ (G) / ヒラタクワガタを模した魔物。鍬の中を研いでみた。 / 挟む / ー / 銅鉱石 (下下) / ー / 40文 / 40 


 気の性せいでは無かった。

 あれじゃ、鍬というか鎌だよな。挟むとあるが、ヒラタクワガタから見たら挟むでも、ヤラレタ相手から見れば刺すだよなと思う。

 後、銅鉱石という事は、取れるのは銅インゴットということになる。

 ただ、魔物を倒したときにもらえるお金も、銅銭であるから銅インゴットというのもどうなのよと思ってしまう。

 いや、今も昔も未来も銅はどうあっても使うだろう。

 あって損はないはずだ。沢山取ろう。

 それに、新しい武器の性能を見ると、戦い方を変えなければならないのである。

 敵を一ヶ所に集め、一発で処理するみたいな感じかと思う。

 やってみないとわからないが、恐らく出来るだろうとふむ。

 部屋に入ると、僕は部屋の隅を少し速めにぐるりと1周すると、一番近くにいたヒラタクワガタを正拳の様に殴り飛ばした。

 殴られたヒラタクワガタは、飛ばされながら塵となり消えていくと、その連鎖は次々と続き全て消えていった。

 成功である。

 全てのヒラタクワガタが銅鉱石と変わり、ゴロゴロしているのを直ぐに回収して品質をあげる。

 次の部屋へ行き、同じく繰り返し行い、数が揃ったらインゴットに変えていく。

 面白くて何回か繰り返していると、結構な数の銅インゴットが出来上がっていた。

 リンも結構な数を揃えたので、次にいこうと言うことになった。

 次の階は、最終階である。

 真正面を行けばボスだが、周りの部屋に入れば別の魔物がいる。

 部屋を覗くと、王道の昆虫であるカブトムシがいた。でかいけど。

 カブトムシの角って、よく刀に見立てて二刀流っていう人多いけど、僕は違うものに見える。

 刀と表してるのが、悪いとか言うつもりはないよ。

 でもね、どちらかというと槍に見えるんだよね。

 それを言うなら、刺又(さすまた) (日本に古くからある、捕縛用武器)では、と突っ込まないように。

 それはそうと、このカブトムシ、角の先端尖りすぎてるような、気の性では無いよね、前科あるし。


カブトムシ (G) / 日本にいるカブトムシを模した魔物。角の先端を尖らせてみた。 / 持ち上げる / ー / 銀鉱石 / ー / 40文 / 40


 案の定である。

 では改めて、討伐していきますか。

 部屋に入り、壁際を右へ左へと動くとそれぬ会わせて、カブトムシが動き渋滞したところで破壊をすると、1周回るより早く殲滅できる。

 その要領で、得た銀鉱石はなんだか黒い。

 銀が酸化してる感じだろうが、素人目にはよくわからない。

 銅鉱石の方が、緑色をしているので分かりやすい。

 そういえば、この緑の部分名前がついていたんだよね。

 確か、緑青(ろくしょう)と言うもの。猛毒とされてたのだけれど、実は毒性はほとんど無いらしい。

 少なくとも、猛毒ではない。

 そして、この緑青はなんと甘いらしい。

 真意はわからないし、嘗める気もない。

 鉱山で働いてる人が、緑青を嘗めて甘いと感じたらしい。

 それが広まり、緑青を嘗める人が絶えなかったとか。

 その内、中毒症状を出す人や死ぬ人が後をたたず、緑青は猛毒として広めたとか。

 それでも、甘味に乏しい日本にとって、ましてや鉱山という場所で働く者にとって、甘味である緑青は誘惑の対象だったのだという。という話だ。

 本当に、身近な毒虫とか見せてくる先生だったから、当時は何も思わなかったが、毒マニアだったのでは?と思うようになった。

 リンに緑青を嘗めてもらっても困るので黙っておこう。

 そんなことを思い出しつつ、カブトムシから銀鉱石にそして銀インゴットへと変えていった。

 そろそろ、最終ボスに挑もうと言うことになった。

 僕は、少しボスに期待していた。

 銅鉱石、銀鉱石と来れば金鉱石で間違いないだろう。

 ハンミョウは、綺麗な虫だし、クワガタ、カブトムシと来ているなら、次の虫も期待できる。などと意気揚々である。

 一方リンは虫退治に飽きたのか、やっと最後みたいな背伸びをしながら、楽しそうな僕を見ていた。

 ボス部屋に入ると違和感があった。

 ただ、違和感が何なのかわからない。

 「いつもより広くない」リンに言われそういえばと思う。いつもの倍?いや、もっとかな。

 弓を構えるリンが、弓を引くとその先に現れたのは、黒々とした体で、油で照りを出すかのごとく光輝き、チョコンとした小さい顔の先から細長い触角を出す我らのヒーローGパイセンであった。

 それも2体だ。勿論1メートル級である。二本足で立ってるのはおまけ程度に驚いた。


ゴキブリ (G) / 人の嫌われものの代表を勤めさせてもらっている、1匹いれば・・・の虫を模した魔物。2本足で何故か立てる。 / (止まってた場合)突進 / (動いてた場合)噛みつき / 金鉱石 (下下) / ー / 50文/ 50 


 僕のがっかり感は、半端無かった。2体しかいないしリンに任せようとしたのが間違いであった。

 次の瞬間、ゴキブリが一斉に増えたのだ。床から天井まで埋め尽くしたのだ。

 背筋が凍り付く感覚と、イラッとくる感覚があり、イラッと来た方が勝ったのである。

 目の前のゴキブリを思いっきり殴った。

 次の瞬間、ゴキブリが爆でていく。音の無い爆竹の様に。

 ゴキブリが消え、金鉱石が宙に舞い、降ってきた。

 瞬く間に僕達は埋もれてしまい、僕はかろうじて顔だけ出ていたが、リンはすっぽりと金鉱石に埋まってしまった。

 暫くすると、ひょこっと顔を出す。

 なんと、金鉱石で埋まっているなかから這い出してきたのだ。普通なら身動きできない気がするのだが。

 「ゴメン」と僕が言うと、リンがこっちを見て「獲物取られた」と言う。

 どうやら、金鉱石で埋められたことには怒ってないようだ。

 「美味しいもの作るから許して」と言うと、機嫌治したのか、金鉱石を一気に品質を上げインゴットにすると渡してきた。

 僕達は知らなかった。実は物凄いもったえないことをしていたことを。


 

 

 

緑青の話は、知り合いのお爺さんに聞いた話です。

真意はわかりません。なので、緑青を嘗めようと思わないでください。

変わりに、市販の飴を嘗めることをおすすめします。

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