鹿を倒すと
「リン、そんなに気に入ったか」「うん」
アライグマの魔物を倒してはちょくちょくと冷奴を食べているリンがいる。
「これ、美味しい。さっぱりしててお腹にたまらないから良い」
それは同感だが、まーいいか。悪いものでもないし。
でもそろそろ次に行きたいんだよね。
そんなこと考えてたら、リンの方から次の階へいくか聞いてくれたので「いこう」という。
3階へと降り進んでいくとそこにいたのは、鹿だった。
「あっ鹿だ」とリンが声をあげる。
野生の鹿なら今の一言で逃げてしまうだろうが、ここはダンジョン。
此方をにらんでくる。よりも早くリンの攻撃を受けてチリと化す鹿である。
敵を観察する暇がなかった。
もっとも、僕は観察するが、鑑定しないという事をしてしまうのだが。
それよりも、今リンが手に持っているものが気になる。
物は2つ。目玉焼きと玉子焼きだ。
目玉焼き、焼き加減によって結構な違いをだすやつだ。
白身が完全に焼けて黄身だけ焼けてないもの。
白身も黄身も半熟のもの。
白身も黄身も焼けているもの。
黄身がすでに割れていて、焼かれているものってこれ目玉焼きか?目玉焼き亜種とか言わないか。
因みに、この目玉焼きは僕好み。
白身部分は、下半分が熱が通っているため白いが、上半分は透明のままで、黄身も生のままだ。半熟というやつで、周りは薄茶色の焦げが付いている。プルプルしている。
黒い粒が見えるから、ブラックペッパーは降ってあるな。
回るい白いお皿に乗っていて、レタスがコチョンと申し訳なさそうにつけ合わされていた。
ナイフとホークが揃えてあったが、使うかなこれ。
一方玉子焼きは和風だ。
なぜそう言えるかというと、お箸が添えられているからだ。
冷奴の時は伝え損ねた気がするが、お箸が添えられているから和風だ。
味は、食べてみないとわからないが、今のままでは下下なので、冷奴の件もあるし遠慮したい。
玉子焼きは、シンプルな筒型の形をしていて、切れ込みが入っている。
白い四角いお皿に盛られていて、玉子焼きの横に大根おろしが三角州い状にあり少量の醤油がかけられている。
正直どちらも旨そうだが、特上にしてから食べようとリンにも促した。
リンと別れた僕は部屋に入る。
目の前にいる鹿は、普通の鹿しか見えず、2種類いると思えない。
強いて言うなら、模様が違うくらいか。
斑模様とし縞というか棒状の模様があるくらいで見分けがつかない。
そこで鑑定してみた。
斑鹿 (G) 斑とあるが、普通の鹿の形をした魔物。 / 突進 / ー / (料理) 目玉焼き (下下) / ー / 15文 / 15
縞鹿 (G) 棒状の模様が縞のように見える鹿の形をした魔物。 / 突進 / ー / (料理) 玉子焼き (下下) / ー / 15文 ー 15
うん。まんまだった。そう思い無双する。
どの位無双していただろうか、1度やりだすと止まらない。
しかし、鹿は楽な相手だ。
突っ込んでくる鹿に対し、頭を斬るにしても首を斬るにしても、自分の高さと同じ高さなので斬りやすい。
犬やアライグマに比べるとやり易いので、いつもより余計にやっていたが、ふと我に返り安全地帯へといく。
リンはすでに安全地帯へ入っており、座って待っていた。
「早かったね」「鷹にぃが遅いの」自分の事を棚に上げ流そうとしたが、ガツッと言われてしまった。
「そっそんなことより、早く食べてみたいの。初めて見るけど美味しそうなの」
そう言えば、僕の時代では生で食べれるだけの卵は溢れるほどあり、卵は欠かせない食材だが、この時代は卵そのものがすごく貴重と言うか見かけない食材だから見たことないのか。
ただ、先程雉の親子丼食べたから、似たような所から美味しいと思っているのだろう。
「どっちから食べる?」「こっち」「おーこっちか」素材がまんまに近い方が食べやすいのかもしれない。
(料理) 目玉焼き (特上) / 卵を平たい鉄板で焼いたもの。見た目から目玉焼きと名付けられた。
「わーまたプルプルしてるー。こうやって切るんでしょ」といい、見たこともないであろうホークとナイフを上手く使って丁寧に切り分けて口へと運んでいく。
最初は白身を、次に黄身を割り白身を黄身に絡めて食べていた。王道?な食べ方だと思う。
僕は、白身を先に8割りほど食べると、残りの白身と黄身を一気に頬張った。
黄身が口の中でほぐれ絡まり至極の瞬間である。
ご飯に絡めても最高だろう。と思ってたら「ズルーイ」なんて声が聞こえた。
レタスをかじりながら、羨ましそうに見てくるので、「どうぞ」と言ってしまった。
リンは、もう1枚の目玉焼きを出し、僕の真似をして食べてる。
そう言えば、卵って一日一個って言わなかったかな?まー良いや、美味しいから。
もう1つ。玉子焼きである。
玉子焼きって、甘口に作られているものから、大人の味と言わんばかりに出汁を効かせているもの、シンプルに卵のみを使ったものまで色々だ。
食べてみる。若干の弾力があると思いきや口の中でほぐれる。
甘くはない。出汁も入っていなようだ。シンプルに卵のみを使った玉子焼きであろう。
(料理) 玉子焼き (特上) / 卵のみを使った玉子焼き。フワトロと焼き上げるのには熟練した腕が必要。
流石は特上のアイテム。説明文の通りフワトロ玉子焼きだ。
たまに、大根おろしをつけ噛み締める。
渋めの緑茶をいれ、ズーズーと飲む。
玉子焼きの優しい口当たりと、緑茶の渋さがマッチする。
リンも僕を真似て、玉子焼きを堪能しているようだった。
「次の階へ行くか?」「いいよームシャズー」「食べ終わってからな」「うん」
4階に降りる。
目の前に現れたのは、狸をスマートにした様な動物で、頭から鼻にかけて一本の白い線が浮かぶ動物の形をした魔物だった。
「ハクビシンだ」「ハクビシン」「うん。まー僕も名前くらいは知ってる程度で詳しくはわからないのだけれど」「ふーん。じゃ鑑定してみてー」「ん。いいよー」
白鼻芯 (G) / 白鼻芯の形をした魔物。頭が入る穴なら全て通り抜けられるらしい。 / 噛みつく / ー / サイダー (下下) / ー / 12文 / 12
「おっサイダーか。いいな」「サイダー全然わからない」「そうだね。甘くてシャワシャワしている飲み物だよ」「美味しそう?シャワシャワ」「そうシャワシャワ」
炭酸飲料ってどう説明して上げれるかな。
水の中に沢山二酸化炭素詰め込んだものですよ。とは説明しづらいし。
リンがスキル使えば理解できるだろうが、ちょっとつまらない気もする。
よって、「自分の目で確認すれば良いよ。いくぞー」「オー」となった。
部屋に入るなり、リンの攻撃でほぼ一瞬でハクビシンの群れが一掃される。
かなり慣れたもので、リンの手には特上にされたサイダーがあった。
サイダー (特上) / 砂糖に少量の酸味料を加え炭酸水で溶かした飲み物。瓶入り500ミリリットル
サイダーは、透明の瓶に入っていた。
リンがじっとサイダーを見ている。
透明の瓶が珍しいのか、サイダーの味が気になるのか、スキルを使ってなにかを調べているのか?と、唐突に僕の前にサイダーを突きつけてきた。
受けとる僕に、「開け方わからない」と言ってくる。
瓶は栓ではないので、栓抜きは要らない。
回せば開けられる蓋がついていたが、初見ではわからなかったのだろう。
蓋を開けると、いつも使っている竹のコップをだす。
リンも出してきたので、注ぐ。
ポトポトポトッシュワシュシュシュシュ。
その光景にリンの目が釘付けだ。
そーっと飲み始めるリン。「ウワッ辛い」「辛い?」「うーん何て言うか痛い」
どうやらリンには、炭酸は早すぎたようだ。




