小さな岬 その1
目の前の川は、流れが速いが深さは僕の膝くらいだ。
これでは潜って移動できるはずもない。
そのまま川沿いを歩き海へとたどり着いた。
あれっと思う。海ってこんなに小さいっけと。
河口からぐるっと木が覆っているように見えたのだ。
と言っても1キロメートルはあるけどね。
湖のように見えたが、斜め右に外の湾と繋がってるところが見えた。
海には疎い僕であるので、エンちゃんに聞いてみたところこのように返ってきた。
こういった地形は岬といい、特にここは砂嘴と呼ばれている。
鳥の嘴のような形をした土地が、海の一部を囲っているような感じになるのだとか。
僕は岬内の海も気になるが、岬の外の海も気になる。
両方の海に潜ってみたくなった。
リンと相談し、まずはこの川の河口から斜め左側に進み、陸を越えて海に潜る。
しばらく進んだら右に進路を変え、岬と湾の入り口真ん中辺りから河口に戻ってくるという、三角形を描くようなルートだ。
ゆっくりと河口に足を突っ込むが、足が濡れないばかりか、水の流れも感じない。
「鷹にぃ、これ何?この黒いの」
「ん?蜆だね」「シジミ?」「そう、汁物とかに・・・採っとこう」
蜆を拾っていると、白いというか透明に近い小さい魚が泳いでいた。
手で掴もうとしても上手くいかず、どうやって捕まえようかと思う。
するとリンが「バリア」と言いながらその魚をバリアで囲う。
直後に大きな魚が近付いてきて、バリアで囲まれた魚に食いつこうとした。
大きく開いた口で、その半透明の魚を一呑みしようとした瞬間、目では見えないバリアが口の周りで滑るように動き、ずれていく。
ふたたび食い付こうとするその魚を、僕はバリアで囲った。
半透明の魚は、取り合えず逃げようとするが、バリアに阻まれグルグルと回っている。
大きな魚は、バリアの見えない壁にぶつかり、異変を感じたのか逃げようとしたが時すでに遅く、バリア内をグルグルと回るはめになってしまった。
近くに行って、よく魚を見てみる。
小さい方は白魚、大きい方は鱸だ。
白魚も鱸もよく釣ったからわかったよ。えっと釣りなんて単語どこにも出てこなかったって。
確かに、実際に釣りをしたことは皆無何だけど、テレビゲームでねたくさん釣ったから、基本的な魚くらいなら知ってる。自慢出来ないけど、ゲーム知識様様です。
「鷹にぃ、そこら辺にいたから捕まえてきちゃった」と言って見せてくれた。
なんか、バリアの中にウジャっといる白魚と、数匹の鱸。
「これ食べれるの?」と聞いてくるので、美味しいよと答える。
「こっちの小さいのが、シラウオって言うんだね、でこっちの大きいのは、スズキっていうんだ」「そー、シーバスって呼ばれてもいるけどね」「しーばす?変な名前」「しまっとこう。後で農場に逃がすから」「うん」
海底を歩いていく。
一歩歩く度に、砂が舞い上がり流れていく。
「あっこれは、浅蜊だな。これも美味しいよ採っとこう」「これは?」「あーそっちは蛤だな」「あさり、に、はまぐり」「けっこう似てるよね。よしこれも採っていこう」
「うん。あれ何?」またも、似たような違うような魚が現れた。
と言っても、大きさが違う似たような物だ。
「ちっちゃいのが鯊でおっきいのが鯒だな」
「あっちが、ハゼで、そっちがコチって言うんだね。捕まえていい?」
容赦ないですね。喜んでok出したけどね。
「あれ何?」またも、見つけたようだ。
平たい体が泳いでいる。唇を尖らせて泳いでいる。
皮剥だ。
「カワハギ?美味しいの?」と聞かれても、食べたことないしな。
だいたいの物は、毒がない魚なら食えると思う。
先程からちょくちょく姿を見せる草河豚は、全身毒で食べれないという。
今の僕達なら、毒を食っても死なないだろうが、喜んで食べるきにもならない。
因みに、皮剥ぎは皮を剥ぎやすいからと言って名前がつけられたとか。
皮剥の仲間に、馬の面のようなやつがいるらしく、ウマツラハギと呼ばれるのもいるそうだ。
そんなことを思いながら、回収した。
足元に、白い影がうつる。
次から次へと出てくる魚に興奮してしまう。
白い影は、地面を這うように泳いできて、止まる姿は細長い筒のようだ。
僕は、喜んでその魚をバリアで囲んだ。
「それは何?」「これは鱚だよ」「ふーん美味しいの?」「もちのろんだよ」「ふーんじゃこのキスという魚も回収だね」
鱚は家庭には出てこないが、天ぷらとか絶品だ何て聞いたことがある。
今度是非食ってみたい。
今どのくらい進んだか、後ろを振り返っても分かりにくい。
一度海面に顔を出そうとして、バリアを海面に向ける。
と言っても、垂直には上がれないので緩やかに階段状の道をつけて上っていく。
海面に顔を出して辺りを確認すると、川の河口から対岸までの3分の1ほど進んだところだろう。
再び、バリアを海面に向けて伸ばし降りる途中で小さい魚の群れに会った。
その魚は、顔から尻尾まで一本の線が引かれているのだ。
家庭でも度々出てくるのではないか、特に開きが有名?な魚である。
鯵だ。早速取り込んだ。
「このアジって魚は美味しいよね」とリンも太鼓判である。
僕はそのまま、海底と海面の間を進んでいた。
すると、海底を進んでいたリンがなにかを見つけたようだ。
手招きするのが見えたので、海底に降りると、底にはなにもいないように見えた。
リンが必死に指差すので、よくよく見てみると、保護色になっている魚が見えた。
お腹が手前にあり、右向きに目が上についてる魚である。
本当に保護色は分かりにくいこの魚は、鰈なのだが、恐らく石鰈だと思う。
まーそこまで細かい部分は求めてないか。
「よく見つけたね」「うん。歩いてたら踏んじゃった」見つけたのではなく、踏んでしまい魚が移動しただけのようだ。
せっかく踏まれた魚なので有り難く頂いた。
「さっきも似たようなの捕まえたんだよね」と言って数匹の魚を出してきた。
これが最初じゃないんかい、とまーつっこまず、出された魚を見る。
「なんか、一緒のような違うような」という。
僕は、特に大きい2匹を並べる。
両方をリンの方にお腹を向けて並べる。
右側に右向きの魚を、左に左向きの魚を並べた。
「どうかな、違いわかる」「うん向きが違うね」「そう、左鮃に右鰈っていうんだよ。こっちが鮃、こっちが鰈だよ」
「えっと、右向きの魚がカレイって言うのね。そして、左に向いてるのがヒラメって言うんだね、どっちが美味しいの」
「んーそうだね。一応鮃って言われてるよ。食べ比べしたことないけど」
「ふーんじゃ今度食べ比べしてみる?」「食べ比べより、両方美味しさを堪能する方がよくない」「そ、そだね」「そうだよ、さーそれらしまって行くよ」「はーい」
そろそろ陸に上がる頃何だが、急に深いところがあった。
深いといっても、物凄いというわけでもないが、2メートル位は下がっている感じだろうか、除き込んでみる。
すると、赤い魚がいるではないか。
「あの、あの赤いのなに?」「あれは・・・笠子では」赤というか赤黒い感じの魚だ。
「笠子は、ヒレに毒があるから触るときはくをつけないとね」「毒、食べれない?」「いや、あの刺々しいヒレさえ触らなければ大丈夫だよ。美味しいよ」「へーじゃ、カサゴとやら捕まえちゃうよー」実際に食べたことないけど、美味しいときいてるから間違いないしょ。
というわけで、これもゲットです。
視覚のすみに、動く黒いか溜まりが見えた。
固まりは徐々に近づいてくるのであった。
まだ、海の中の散歩は続きます




