鳥肉ゲット
僕達は、道なき道を進んでいる。
バリアのお陰で、以前に比べて順調だ。
バリアは本当に必要とするもの以外全てを通さない。
岩の出っ張りも植物の棘も虫の襲来も関係ない。
さらに、体にまとわりつく熱気と湿気も寄せ付けない。
直射日光もやんわりとなる。
外にいるのに家の中並みに快適だ。
これだったら、剣山も、マグマも、氷河も、もしかしたら海のいや、深海の下も平気かもしれない。
行く気無いけど。
しばらく、うっそうとした木が生えている所を歩いていたが、木が疎らになり、太陽の光が差し込むところに出てきた。
何かの植物の群生何だろうか、地べたにそって生えている。
あまり、気にしてなかったが、リンの足が止まる。
じっと植物をみながら、「鷹兄、これ食べれるっぽい」と言ってきた。
観るからに食べ物でない。
「これを?食べれる?」聞き返してしまう。
「うーん。これじゃなくて、これをこうしってっと、これでこう。ほらこれだよ」と言いながら、そのいかにも美味しそうに見えない植物を1つ球根ごと引っこ抜くと、錬金術を唱えているのだろう。
みるみると白い粉に変わった。
触ってみると、しっとりと馴染むようなキュキュと音を立てそうな触り心地だ。
細かい粉は、どういったものだろう?とエンちゃんを呼んだ。
『呼んだ』呼びましたとも。聞きたいことあるし。
「うん。これなんだけど?わかる?」
『まずは、鑑定で調べることね』あっ忘れてました。
『まーいいわ、これは片栗粉。その植物が片栗よ。』
「えっと、片栗粉ってジャガイモの粉じゃないの?」
『後にジャガイモ等で代用されてるが、片栗粉は本来この植物から取られてるわ』
「ジャガイモってなーに?」
返答に困る。
「ふーん。今は手に入らないかー。何時かは食べてみたいね」
便利で助かる。
「取り合えずいくつかもらっていこう」丁寧に採取していく。
しばらく歩いていくと、今度は岩肌にあたった。
「どうするの?このままのぼる」
「普通なら迂回する所だけど、このまま登ってみる」
「うん」
普通の人なら、うんという選択は取らない。
なぜなら、目の前の岩肌は10メートルはあるであろう高さだ。
そこを、命綱をつけないどころか、手袋も無い、岩登りには到底向かないヒラヒラの着物、どうあがいても登れるとは思えない。
ロッククライミングの経験もないしね。
ただ、身体能力は通常の数倍はあるので問題なさそう。
それに、「落ちたとしても、バリアあるし問題ないしょ」というお気楽さ。
いいんだけど、落ちてどこか転がっていってもほしくないのだが。
リンが「先行くね」と、いって岩に手をかけたかと思うと、スイスイと上っていく。
体重が軽いからか、身体能力が高いからかわからないが、半分の高さ位まで登っているので、僕も登り始めようとしたとき、上から不信な声が聞こえた気がした。
ふと上をみると、リンの右手のつかんだ岩が、剥がれ始めていた。
どうするのかなと思いながらみていると、剥がれた岩が落下を始める。
その岩に右足をかけ、左手とタイミングを合わせて、上にとジャンプをして岩にしがみついた。
下を確認することなく、何事もなかったように登り始めた。
一方、リンの右足で蹴られた岩は、落下を始めた重力に合わせ、リンの蹴った勢いをのせ、凄まじい勢いで落下する。そう下にいた僕をめがけて。
僕は、最初避けようと思った。
岩崖を登るのに、バリヤの厚みを薄くしたんだ。
できうる限り薄くしたので、このまま直撃したら痛そうであったから。
もっとも、右手を伸ばし、落ちてくる岩の側面をそっと押して、岩の落ちる軌道を変え、避けてもよかった。
しかし僕は、せっかく落ちてくる岩に敬意を持たずに、顔面で受け取った。
岩は、音もたてずに僕の顔面すれすれのバリアに動きを吸収される。
岩からしてみたら、いきなり落下していた力を止められ、行き場の無くなった力が岩に戻ってくる。
その衝撃に耐えれなくなり、真っ二つに割れ僕の足元に落ちた。
僕の方はというと、完全に死亡コースの岩を顔面で受け取ったにも関わらず、痛くも痒くもなかった。
衝撃波も感じないのは、かえってよかったのかわからないが、安心して岩崖を登ることが出来ると確信し登り始める。
登りきるまであと少しというところで、リンが止まっていた。
上に何かあるのだろうかと思い、リンの隣につく。
そして、リンの目線を追うようにそっと除いてみた。
そこは、草原だった。
広大というほどの広さはないものの、草だけが生える場所だ。
草の背丈は1メートル程か。風になびいている。
特に気になるところがなかったので、もう1回リンを見た。
リンは確かに一点を見つめている。
もう一度確認しながら注意深く見ていると、なにかが動いた。
鳥だ。茶色いその鳥は、鶏より大きい。草むらにうずくまってじっとしていた。
もう1羽近くにいた。
茶色いその鳥より一回り大きいように見える。
緑色を色彩として放ち、目の上に赤い眉のようなものをつけている。
僕が見つけたのは、雉そうキジである。
色彩放つ方が雄で、茶色い地味なのが雌だ。
どう捕まえるか迷った。
普通に走っていき捕まえるのは、今の僕には朝飯前だ。
でもなんか、そっと捕りたくなった。
僕は、自分にまとっているバリアを、人差し指の上に球状にしてみた。
それを大きくしつつ伸ばしていく。
伸ばした先を広げ、優しく雉を包み込んだ。
見事に雉を雄雌でゲットする。
それをみていたリンが、同じようなことをしてバリアを伸ばした。
すでに雉は捕らえてあるので、リンが何に向けて伸ばしているのか僕にはわからなかった。
そのまま見守ってると、記事の後ろに方で何かを覆ったようだ。
ちょうど僕からみると雉の死角でみれない位置だ。
僕とリンは、崖の上に登り、雉を回収して、リンの捕まえたものをみる。
茶色い小さい鳥が捕まっていた。
その鳥は、雉の赤ちゃんかと最初思ったが何か違う気がした。
よくよくみていて、答えが出た。鶉そうウズラだ。
雉と鶉、まとめてゲットした。
「もう上がってもいいか?」「うん大丈夫みたい」
そう言って崖を上がる。
取り合えず、1度家に戻り捕まえた鳥達を農場に放ってこないといけない。
リンは、そのまま草むらに残り遊ぶようだ。
リンを残し家に帰った僕は、農場の画面に向かう。
「かなり賑やかになったな」と呟く。
ほとんどの植物は収穫を向かえ、動物や魚は次の成長期を迎えていた。
鮎と鰻が河口付近にいる辺り、微妙なリアル感を覚える。
収穫し、つぎの種を植える、成長期を向かえた動物達を成長させ、草むらに戻ってきた。
崖の上で食事を済ませ、移動を開始する。
草むらを抜け、森林を抜け、川に出る。
川沿いを歩いていく。
川沿いというのは、とかく村ができやすい。
ただ、そこまで大きな村があるわけでもなく、数件の家をみながら、海を目指した。
恐らく、河口付近はそれなりの村が存在し、その村の一部にダンジョンが存在するのだろうなと思う。
潮の香りが漂い始め、波の音が聞こえる頃、村が目に入ってくる。
念のため、服を着替えておく。
「リン?次の村のなかにダンジョンが存在すると思うが、商売でもしながら村にはいるか?それとも、こっそりはいる」「こっそりはいろ」「そうーだな、じゃ夜までどうするかな、農場でも」「海潜ろう」「ん?」「だって、鷹にぃ海潜りたがってたじゃん」「た、確かに言ってたけど」確かに言ったけど、どうしても絶対というわけではなかった。
しかし、自分以外の人に言われちゃうと、やってみようという気が増える。
思いきって海に入ることに決めた僕であった。
もちろん、バリアを駆使して。




