バリアは無敵
数日かけてゲーム、いや農場の作業をしていた。
リンは、僕のお願いにちょくちょく答えてくれるが、飽きるのも早いのか、って僕がすぐ画面に集中して返事が上の空になってしまうのがいけないのだけれども、遊びにいってしまう。
といっても、ここの空間から出てない。
カラクリ城、カラクリ城下町、忍の鍛練場等あり懲りはしないそうだ。
そんなわけで遊びながら鍛えているといったところだ。
そんなこんなで、数日たってしまったが「そろそろ次のダンジョンいく」とリンが言うので、外に出て移動することにした。
外に出ると、人々が住む村が点在するが、今は関わらないように進む。
衣食住は、以前に比べたら充実し過ぎている。
だったら今は人と関わらない方が楽。
日本のダンジョン全て攻略してからでもいいよねって思っている。
なので、村を避けながら次のダンジョンに向かう。
次は何処になるのか、エンちゃんに聞いてみた。
西南西寄りに進んでいき、海の近くだそうだ。
ダンジョンは2つ近くに存在していて、ダンジョンの種類もわかるらしい。
1つは、鉱石ダンジョンで、もう1つは料理ダンジョンらしい。
ただし、料理ダンジョンの方は、料理と言うより加工食材が多いともいってた。
加工食材?って何だろう。
そこまではわからないらしいが楽しみだ。
「料理ダンジョンと鉱石ダンジョンどっち先いきたい」
「鉱石って・・・あーうんうんじゃ料理ーダンジョン」
花より団子ではないが、食べれるやつが良いよねってことで料理ダンジョンに行くことになった。
と言っても、扉を開ければつくというものではない。
しっかりと歩いていかなければならない。道なき所をだ。
準備をし、外に出る。
太陽が眩しい。
近くに村があるが、そっち方面とは逆を向くと、竹藪があった。
竹藪を迂回すると川が現れる。
この川は、けっこうデカイ。
川原を含めると、わたりきるまで250メートル位あるにではと思う。
川は50メートル位かと思う。
川原をテクテク歩き水が流れているところまで来る。
川の中を除くと、小さい魚が群れをつくって泳いでいた。
その下に、ハゼのような魚がいる。
オタマジャクシもウロチョロしている。
ハゼのような魚は、ヨシノボリといわれる魚の仲間だと思う。
小さい魚が、ハヤだと思うが、他にもエビと川のドジョウ、シマドジョウがいた。
今のところ、食材に加えるものもいないし、スルーして川を渡ろう。でもどうやって。
そのまま川に入り、そのまま渡ってしまうのもありだが、ちょっとつまらない。
かといって、石の橋を造るのも違う気がしたので、ここはリンに頼んで氷の橋を造ってもらうことにした。
川の水を使わずに、等間隔に10本の柱?いや氷の杭を作る。
杭は流れないようにかつ、川の水で溶けないようにMpを流しつつ。
人1人歩ければいいので、幅はそんなに要らない。
次に、板状の氷を作り、杭の上に乗せていく。
最後に、砂を振り撒いて滑り止めをすれば終わり。
ささーと渡りきると、リンがMpを流すのをやめた。
大量の水が流れて氷に当たる。
最初はびくともしていなかった氷の杭が、徐々に細くなっていき、氷の板の重みに耐えきれなくなって崩れた。
崩れた直後は、川の水が塞き止められてしまったが、直ぐに水は隙間から流れだし氷の板を押し流す。
押し流れた板を見送り僕達はそのまま川原を横切り、山に向かった。
川原と山の境に来る。ふと足元の植物に目が止まる。
緑の葉っぱが大きい植物。よくアニメ等で動物や小さい妖怪なんかが傘がわりにしていそうな植物だ。
フキである。
「これって食べれるみたいよ」確かに食べれる。
でも、正直いって子供の味覚ではなく大人の味覚なんだよね。
とはいっても見つけたからには、収穫した。
さて、改めて山に突入だ。
ここでリンが「道は私が造る」と言い出した。
「どうやって?」と聞くと「風で前の物を凪ぎ払い、土を固める」という。
確かに立派な道ができそうだ。何も整備しなくても2年は持ちそうな気がした。
しかし、そんなに丈夫な道は求めていない。
痕跡が残るのは仕方がないが、他の手を考えよう。
色々考えてるうちに、1つの方法を思い付く。
バリアの魔法を身に付け、進んでいこうと言うものだった。
以前の移動は、被れや虫による被害が多かった。
と言っても、僕もリンもさほど気にしていない位チートなのだが、そう言っても気持ちの良いものではない。
バリヤを張ってしまえば、そう言ったものは気にしなくてすむ。
しかし、僕もリンもバリアは持っていない。
そこで、リンにバリアのカードを創ってもらった。
カードは2枚、リン本人の分と僕の分。
僕とリンは、早速バリアのカードを使い、バリアのスキルを手に入れる。
そして、発動する。
リンも発動した。
近くにある大きめの石を拾う。岩とも言えるくらいの大きさかな。顔くらいだ。
手にしっくりとつかめる石は、バリアの効果がわからない。
加工を使い、石を50センチメートル位の丸棒に作り替える。
「危ないから離れて見てて」と言うと、「大丈夫、私も確認したいからここで見る」と言った。
僕は左腕を出すと、右手で掴んだ石の棒を思いっきり左腕に振り落とした。
左腕に振り落とされた石の棒は、バリアに阻まれ、勢いで折れた。
左腕は無傷どころか、当たった感触すらない。
折れた石の棒は、下に勢いよく落ちていった。そして下の石に当り、角度を変えて跳ね返った。
跳ね返った先は、リンに向かっている。
「リンあぶなっ」「わかってる」と言い、両手と両足を広げ立っている。
石の棒は、真っ直ぐリンのお腹の上当り、水落にむかい、そして当たる。
普通は、力んだり目を瞑るとこだが、自然体のリンは動かなかった。
石の棒が、リンのバリアに触れ止まる。
ギシャという音と共に石の棒が粉砕した。
威力に耐えきれなくなって粉砕したようだ。
粉が舞い上がり、僕たちの頭上から降り注ぐ。
粉は体に触れることなく、バリアを伝って落ちていく。
息も普通にできる。成功である。
「これって、水の中は?」不意にトンでもないことを言うリンであるが、出てきた疑問に僕も答えを出したくなった。
氷で作った風呂桶の3倍くらいの高さの桶に、水を張り中に入ってみる。
息は十分でき、時間がたっても息苦しくならなかった。
物は試しと、大根を出してかじってみると普通に食べれた。
何でもありって逆に怖いとも思う瞬間だ。
やっとのことで、山に入ることにした。
しばらく、雑草の生い茂っているところをかけ割って入っていたが、気が生い茂るところに来ると、太陽の光が届かないためか、雑草がまばらになっていく。
「ふー疲れた」リンの呟きが聞こえる。
体力的には何も疲れていない。
しかし、自分より遥かに高く生い茂った雑草をわけながら歩くのは厳しいものがある。
バリアのお陰で、毛虫などの被害はなくてもだ。
そう言って少し大きい木の根本に腰かけた。そこに地雷があるとも知らずに。
地雷というと、語弊があるかな。蜂の巣がそこに存在していたのだ。
蜜蜂の巣、日本蜜蜂である。
一斉に巣から飛び出した蜂は、リンを敵とみなし、襲いかかった。
蜂は、一生懸命リンに毒針を刺そうとするも、リンのバリアが阻止するお陰で、リンの周りを飛ぶことしかできない。
一方リンは蜂を払いのけようとしてるだけだった。
だが、だんだんとしつこい蜂に腹をたて、木の幹の中にあるであろう蜂の巣に狙いを定め弓矢を射ろうとしているところで、僕がストップをかける。
「リンは、蜂蜜は要らないか」と。
「はちみつ?蜂蜜ほしー」「じゃ女王蜂を入手してください」「うん」
弓矢の狙いを少し上にずらし射る。
木が弓矢によって倒されると、蜂の巣が露になった。
リンは、素手で蜂の巣を取り出すと、ベリベリと巣を割る。
女王蜂をバリアで包むと僕に渡してきた。
バリアの使い方ってこんな風にも使えるんだと思いながら、受けとる。
「僕は少し農場行くけどどうする?」「んーここにいる」
リンは、素手で蜂の巣から、蜂蜜のたまっているところを掴むと、口に運んでいる。
口の中が、蜂蜜以外にも蜂の巣の破片で凄いことになるのではと思いながら見てると、蜂の巣の破片はバリアに阻まれて、蜜だけがバリアを通りリンの口の中へと入っていった。
僕は安心して農場に行き、フキを植え、蜂を解放した。
外に戻ると、リンが蜂蜜を入れた器をくれた。
日本蜜蜂が、どの位の蜜を保有しているのかわからないが、蜂の量が少ない気もする。
リンを見ると満足そうな顔をしていた。
ドンだけ食ったんだーっと突っ込もうとしたが止めとく僕であった。




