最後は小豆そして
解き放たれた弓矢は、風を纏いながら目白に向かっていく。
一羽に命中すると同時に風の刃が分散して次々と魔物が飛散しアイテムが残された。
アイテムを集めて中を確認すると、紙袋に入れられた小豆が入っていた。
今回のアイテムは小豆である。
4種類の小豆の特徴として、大きさが大中小と違う小豆が3種類と、真ん中の大きさと同じ物で色が白い小豆がある。
小豆そのものに僕は馴染みがあるわけでもないし、小豆という乾燥した豆事態を触るのも始めてでは無いかと思った。
調理されたものなら食べたことはある。
あんパン、アイス、鯛焼き、オハギ、羊羮等。
そういえば、小豆はつぶ餡が良いと言っていた事を思い出した。
こうして手に小豆を持ちながら思ったのだが、小豆を手にしたこと無い小僧がこし餡だつぶ餡だと言ってるのが、おかしく思ってきた。
いや、今はどうでも良いか。
「あの鳥って、良い声でなくんでしょ」唐突にリンが言ってきた。
「良い声」?僕は聞き返してしまう。
この場合、メジロの事を指すのだろう。
しかし、僕はメジロの鳴き声とかわからない。
そういえば、鳥の鳴き声って気にしたことはないな。
雀がチュンチュン、鳩がポッポー、烏がカー又はアホーぐらいか。
話に聞くと、雉はケーンって鳴くようだけど、実際聞いたこと無いし。
どんな声でなくのだろうと思っていると、リンが鳴き真似を始めた。
「ホウホーホケキョって鳴くやつでしょ」
んーちょっと待とうか、リンの言っているそれって、鶯といわれているやつではないか。
「詳しくは無いけど、それはウグイスという鳥であって、目の前にいるメジロではないよ」
「ウグイス、ウグイス、ウソではないね。へー地味な鳥だね。こんな鳥があんなきれいな声出すんだ」
何かよくわからないけど、リンが急に理解したときは、本訳イメージスキルを使っている時である。
逆に僕の方がわからなくなってしまうこともある。
ウグイスといわれても、結構曖昧な記憶しかなく、小鳥で緑っぽいうぐいす色という色をした鳥としかわからない。
僕がスッキリしなくなってしまったが、リンはスッキリしたようで、さっさと討伐というかアイテム回収にいってしまった。
残された僕は、鑑定を改めて行った。
目大 (G) 目白の白い部分が小豆色をした目の大きい鳥の魔物。 / つつく / ー / 大納言小豆(下下) / ー / 12文 / 12
目中 (G) 目白の白い部分が小豆色をした鳥の魔物。 / つつく / ー / 中納言小豆(下下) / ー / 12文 / 12
目小 (G) 目白の白い部分が小豆色をした目の小さい鳥の魔物。 / つつく / ー / 少納言小豆(下下) / ー / 12文 / 12
目白 (G) 目白そのままの鳥の魔物。 / つつく / ー / 白小豆(下下) / ー / 12文 / 12
鑑定を見てちょっとガッカリする。
今回は、レアアイテムが無い事だ。
実はちょっと期待していた物がある。
つぶ餡とかこし餡とか、或いは白餡とかいう甘いもの。
何故かというと、今だ砂糖がアイテムとして入手していないからだ。
砂糖があれば或いは自分で作ってみたかもしれないが。
無いものは仕方ないので、諦めてリンに負けじと大量に集めた。
そして、最後の部屋へと挑むのだった。
僕達が、ボス部屋に入ると、目にしたのは鷹であった。
いや、トンビだ。それも5羽いる。
特徴は、特になく普通のトンビだ。
そのトンビ達だが、僕達が部屋に入ると同時に構えをみせた。
攻撃してくるのかと思ったら何かが違う。
1羽が前に出るとクルクルと回って羽を器用に折り曲げてポーズの様なものを決めてるのか何なのかわからないまま後ろに下がる。
続けてもう1羽、1羽と全ての5羽がポーズの様なものを決めると、最後に5羽揃って羽を広げポーズらしきものを決めた。
意味がわからない。
「リン、今のわかる?」
「いや、さっぱりわからないからやって良い?」
そういって、弓を引き始めるので、僕は「先に鑑定しよう」と、提案した。
「良いよ」と言って弓をおさめてくれたので、鑑定を始めた。
「どれも一緒だけど右からいくね」
ーーー
〈さー誰か知らんが入ってきたよ〉
〈きたねー。でも僕たちの勇姿を見たらビックリして帰ってくよ〉
〈〈〈〈〈だよねー〉〉〉〉〉
〈じゃ俺からいくぞ。穀物なんでも醸してやるぜ!麹トンビとは俺のことでい〉
〈果物大好きブクブクブクと泡ふくぜ!酵母トンビとは俺のことでい〉
〈お乳のタンパク旨味変えるぜ!乳酸トンビとは俺のことでい〉
〈お酒大好き呑まれりゃしないぜ!酢酸トンビとは俺のことでい〉
〈お空のお色に染めようぜ!カビトンビとは俺のことでい〉
〈〈〈〈〈我等五羽で猛菌類〉〉〉〉〉
〈決まったよな〉
〈これで逃げなきゃ可笑しいぜ〉
〈だな・・・何か攻撃されかけてない〉
〈そんなことは・・・ほら見てみ武器下げたぞ〉
〈良い感じ、って何かじっと見られてるような〉
〈はずいな〉
〈まーそのうち去るって〉
〈だよねーっておいおい何か迫ってくるー・・・〉
ーーー
麹トンビ (Gボス) ごく普通のトンビの形をした魔物。5羽そろうと猛菌類を名乗る麹担当。 / つつく / ー / 麹菌(下下) / ー / 100文 / 100
酵母トンビ (Gボス) ごく普通のトンビの形をした魔物。5羽そろうと猛菌類を名乗る酵母菌担当。 / つつく / ー / 酵母菌(下下) / ー / 100文 / 100
乳酸トンビ (Gボス) ごく普通のトンビの形をした魔物。5羽そろうと猛菌類を名乗る乳酸菌担当。 / つつく / ー / 乳酸菌(下下) / ー / 100文 / 100
酢酸トンビ (Gボス) ごく普通のトンビの形をした魔物。5羽そろうと猛菌類を名乗る酢酸菌担当。 / つつく / ー / 酢酸菌(下下) / ー / 100文 / 100
カビトンビ (Gボス) ごく普通のトンビの形をした魔物。5羽そろうと猛菌類を名乗るカビ担当。 / つつく / ー / 白カビ(下下) / 青カビ(下下) / 100文 / 100
うん。今回のボスも突っ込みどころ満載だ。
5羽別々のアイテム出すのに特徴が別れてない。
大きさが普通のトンビと一緒。
5羽集まらないと、猛禽類じゃなかった、猛菌類って名乗らない?ってか猛菌類ってなんだ。
カビ担当だっけこいつだけ2種類出すんだな。
んー突っ込んだら負けとはよくいったものだと実感できる敵だな。
じゃ、瞬殺しますか。
一気に間合いを詰めると、刀を一振りする。
トンビ達が油断していたかわからないが、動かなかったので全て瞬殺したと同時にカランっという音がする。
見ると、小さい小さいガラス瓶に粉末が詰まった物が5つ転がっていた。
近づいてきたリンが瓶を拾い上げ、「これ?何に使うの?」と聞いてくる。
「僕もそこまで詳しくないけど、色々使えるみたいだよ」
答えになってない答えを言ってしまった。
「ふーん」
興味がわかないのだろう、生返事である。
帰ったら、エンちゃんに教わりながら勉強でもしてみようと思う。
今はそんなことを思いながら、小豆、菌と集めている。
今回のダンジョンはこれで終わりであるが、主食とする穀物が多くとれたことに感謝したい。
これで、あ空間農場での生産が結構進むようになるし、上手くいけば、発酵食品も作れるのではないかと思う。
忙しくなりそうだが、興味もわいてきた。
しかし、知識が伴わない。
ダンジョンから帰宅した僕たちは、温泉風呂に直行する。
そして、お風呂の中で今回のダンジョン産アイテムを確認しながら整理をし始めた。
エンちゃんの力を借りながら。




