↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/134

小麦の次は粟

 爆発は、一瞬で終わる。

 リンをすぐに伏せさせてしまった為、爆音を耳にしただけで、何が起こったか理解していないようだった。

 「今の大きな音は何?」

 「爆発というものだよ」

 「バクハツってなんだっけ」

 そー聞かれた。

 聞かれて、答えにくい質問だとこの時思った。

 爆発と言っても、色々あり、頭の中には浮かんでくる。

 火薬などを詰め込んだ、爆弾が爆発するようなイメージから、車が炎上して、ガソリンが爆発するような、映画くらいしか見れないようなシーン。

 或いは、粉塵爆発や水蒸気爆発など身近に起きると言われているものなれど、よくよく考えてみれば、これらもあまり見たことがない。

 いや、確か以前リンは、水蒸気爆発を起こしていたはずだ。

 水蒸気爆発なら、身近で起こるものに例えられるかもしれないなと思っていると、パンクという単語が生まれた。

 自転車のタイヤのパンクなら大したこともないだろうが、トラックのタイヤのパンクなら半端無い威力になるだろう。見たこと無いけど。

 僕は、そばに落ちていた小麦粉の入っていた紙袋を拾うと、膨らませて口を捻り閉じる。

 「リン、これを勢いよく叩いたらどうなると思う」

 そう聞きながら、左手で袋の口を掴み、右手で袋の後ろを叩く素振りをみせる。

 僕は、経験上から袋が破れて大きな音がでると解っているのだが、リンは解るはずもなく考え込んでいた。

 「わからない」

 意外に素直な答えだった。

 僕は、両手を思いっきり紙袋に叩き込んで破裂させた。

 同時に響き渡る音の大きさに、リンが驚いていたが、僕自信少し驚いたことはちょっとナイショにしとこう。

 僕は、専門家ではないので、水蒸気爆発と紙風船を叩き割るのと一緒の理屈かと聞かれると困るのだが、粉塵爆発よりは近い理屈だと思う。

 「こういう、小さい爆発を利用した遊びもあるんだけどね、規模が違うと人が死んじゃうのもあるんだよ。以前水蒸気爆発起こしたことがあったでしょ」

 そう僕が聞くと、静かに頷いた。

 「それとは違う形での爆発なんだけどね、今回のは粉塵爆発って言うんだよ」

 「フンジン 爆発、」

 「そう、粉塵爆発」

 言葉にすると、スキルが発動するようだ。

 本訳イメージスキルが。

 「粉塵爆発、粉が一定の間隔で舞い上がったところに着火することで、火が連続的に燃え広がることによるもの。みたいな」

 ウーム、小さい女の子の台詞じゃないなと思っていると、続けてリンが言っている。

 「広範囲による爆発が密閉状態で起きた場合、燃焼による酸素使用により酸素不足に陥ることがあるので十分注意するように。だそうです」

 「説明臭い内容だね。リン理解できる?酸素不足とか初めて知ったし」

 「イメージはつくよ。だってイメージは頭の中に流れてくるから。でも意味わかんない」

 感覚はあるけど、理屈はわからないといったところか。

 「ともかく、粉塵爆発危ないから禁止ですよ」

 「はーい」

 頭の角に、ダンジョン内の空調管理はどうなってるんだろうという疑問をいだきながら、かわいい声の返事に爆発騒動は打ち切ることにして、小麦粉集めに精をだし、大量に集めた。

 「次行く?」

 「いいよー」

 ということで、次の階へ足を進める。

 3階に進み、見えてきた敵は鳩であった。

 ハトである、鳥であろうとは思っていたが、(すずめ)四十雀(しじゅうから)と来ていたので小鳥ではと思っていたが、急に二周りくらい大きくなってしまった。

 小鳥よりは的が大きい分倒しやすいだろうが、急にでかくなった気もする。

 そんなことはどうでもいいか、何を出してくれるんだろうな。

 そう思いながら、ジッと鳩を見てみた。

 「また、2種類だね」とリンが言う。

 「2・・・種類だね」

 公園などで鳩を見たことある人は、一度くらい気になったことがあるかもしれないが、鳩は嘴の根本の上に白い塊がある。

 正体はよく知らないが、その塊がなんと言うか2種類あるのだ。

 1つは、淡い黄色をしている丸いやつ。

 1つは、薄いクリーム色した楕円形のやつである。

 鑑定してみた。


アワバト (G) に粟の模型をのせた鳩。 / つつく / うるち粟(下下) / もち粟(下下) / 12文 / 10


大麦バト (G) に大麦の模型をのせた鳩。 / つつく / 六条麦(下下) / 二条麦(下下) / 12文 / 10


 敵としては、ランクの一番低い敵だと言うことがわかったので、安心して倒しにいける事もわかった。

 しかし、取得出来るアイテムが、僕にとってはあまりと言うかほとんど馴染みの無いものである。

 それでもまだ、大麦の方は解る気がする。

 麦茶は好きだよ。それしか出てこないけどね。

 粟何てさっぱりだ。

 うるちともち、この2つの違いは、お米の時と同じようなものだろう。

 詳しい事は、エンちゃんが教えてくれるはずだが「エンちゃんに聞いてみる?アイテムについて?」「今はいらない」意外な答えが返ってきた。

 「えっ何で」思わず聞いてしまった。

 「ここで聞くとお腹が空いてきちゃう。その上ここじゃ何も作れないし」

 確かにである。

 「じゃ、アイテム集めを頑張りますか」

 アイテム集めに専念することにした。

 鳩を相手にするために、鳩に近づくと、首を振りながら何故か逃げていく鳩達。

 逃げていくというより、遠ざかっていくといった方がいいかもしれない。

 雀や四十雀は、飛び込んくるタイプだったため、地味に遠ざかられる鳩はちょっと厄介かもしれないと思った。

 そう思っていると、徐々に近づいてくる。

 動いている者に対して遠ざかり、止まっている者に対して近づいてくる感じだろう。

 ほとんど飛ばない状態で、走って近づくとやっと飛んでいく感じである。

 逃げちゃうのだけれどもね。

 そんなこんなで、近づいて来てくれた鳩を刀で斬るのだけれども、地面にいる敵を斬るのも実は地味に面倒臭いものである。

 鳩は鳩で、テクテクと首を縦に振りながら近づいてくると、いったん止まりつつき始める。

 今までの中で、一番のんびりした敵かもしれない。

 そう思いながら、僕は鳩に対して無双し続けた。

 アイテムは、米や小麦と同じように100gづつ紙袋に入った状態で出てくる。

 かさばるので、本当に収納スキルは助かっている。

 僕は、どのくらい鳩を狩ったのだろう、この階の安全地帯で休みながら考え事をしていた。

 そうすると、リンがやって来てちょこんと僕のとなりに座る。

 「お腹が空いた」

 「じゃご飯にするか」

 そう言って、おにぎり弁当を出す。

 後は、魚の干物から、好きなのを選び焼いていた。

 飲み物はという話になり、お茶、烏龍茶、紅茶、カモミールなど選択肢が増えていく。

 選ぶなかで、僕は六条麦を取り出した。

 「今日はこれで飲み物を作ろう」

 「これで?」

 「そう、麦茶だ」

 缶やペットボトルなど既製品しか飲んだことないけど、ちょっとした知識ならある。

 麦を炒って作る。

 間違ってるかもしれないが、たぶんあってる。

 ここのダンジョンにくる前に、気まぐれで作った土の器を取り出すと、火はリンに出してもらう。

 火のスキルは便利そうなので、今度僕もとろう。

 火で温められた器に六条麦を入れ、まんべんなく掻き回しながら炒っていく。

 しばらくして、麦の焼ける臭いが充満し始めてきた。

 炒り終えたら、そこに水を入れ今度は煮立てる。

 正確な時間はわからないが、水がしっかりと茶色に色がついたところで火を消した。

 「温かい方がいい?それとも冷たい方がいい」

 「冷たいのがいい」

 寒い時期は温かい麦湯もおすすめだが、やはり冷たい麦茶は美味しい。

 「氷って出せたりする?」

 「ウーンと。出せるよ」

 氷を麦湯のなかに入れて、冷えれば完成。

 竹のコップで、麦が入らない様に汲んで味見をする。

 「うん、美味しい」

 「私も、うん。美味しい」

 久々に飲んだ麦茶は、僕の体と心に染み渡っていた。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。