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屋敷内が最強でした

 ふと、目が覚める。

 どのくらいの時間がたったのだろう。

 この空間は、基本的に温度が変わらないが、太陽と思われるものが沈んでしまい、少し肌寒く感じた。

 太陽の代わりに、月が顔を出しているので、ぼんやりとだが明るさはある。

 枯山水が月の光に照らされて、幻想的な空間を生み出していた。

 リンは眠ったままだ。

 布団を敷くと、ソッと寝かし付けた。

 グリューーーーー。

 お腹がなる。

 物を食べなくても、死なない僕ではあるが、減るものは減るのだ。

 僕は、リンを起こさないようにソッと、台所に向かった。

 中庭に面している長廊下と違い、建物内の廊下は、月の光では到底叶わないほど暗い。

 灯りをつけようか思いながら、1歩踏み込んだとき、急に明るくなった。

 何が起きたのかわからないが、電気、蛍光灯と言うものを知っている僕にとって、ありがたい光である。

 と同時に、何が光ってるのか気になった。

 気になって、よくよく見てみたが天井が光っているということ以外わからなかった。

 天井に蛍光灯のようなものが光っているとかではなく、天井の板その物が光っているのだ。

 光は、白色灯なのだが、若干オレンジ色が混じっている感じである。

 どこまで目に優しいのか知らないが、見やすい光である事には違いないと思った。

 そんな廊下を歩き、台所にたどり着く。

 台所、純和風な感じの所なのだろうなと思い、入ってみてビックリした。

 そこは、台所ではなく厨房としか言えない空間だ。

 ものすごく広い空間だ。

 100人のコックが腕を競いながら働けるのではないかと思うほどである。

 流石にここで作る気はないはと思ってふと横を見ると、一般家庭よりちょっと大きいくらいの、喫茶店くらいの厨房が3つ並んでいた。

 ここで十分だし、3つある理由もわからない。

 水も火も使えて、レンジもオーブンも使える。

 料理に使う道具は揃ってるし、お皿なども揃っている。

 僕は、頭と骨を取った魚をだし、微塵切りにすると、フライパンで炒め、おにぎりをほぐして、胡椒と塩を足し、海苔を振り掛け刻み紫蘇を振り撒けば、イタ飯の完成だ。

 簡単な夜食だ。

 ただ、食べる場所が、遠いのでその場で立ち食いをした。

 腹もふくれたので、厨房を見て回ることにする。

 その時、悲鳴のような声が聞こえた。

 ビックリして、廊下に戻ると、リンがしゃがみこんでいた。

 「どうした?リン」

 「目が・・・急に明るくなった」

 電気のある生活に慣れている僕でも驚いたが、それ以上に驚くのは無理もないことである。

 「眩しかった?ゆっくり目を開けば、慣れてくるよ」

 「うん。慣れた」

 「そうか、トイレ何処?」

 「トイレ?」

 「うん。トイレ、お便所、お手洗い、厠後は・・・」

 「此方だよ、あっ私も」

 トイレは男女で別れていた。

 用を済ませる。

 ちなみに、トイレットペーパーもしっかり存在していて、使いやすかった。

 えっ、お湯で洗って、風で乾かしてくれるという、夢のような機能はなかったかって言いたいんでしょ。知ってる。

 あったよ。でも僕、トイレットペーパー派なの。

 トイレから出て、暫くすると、リンも出てきた。

 お腹が空いているか聞いてみると、空いてるとのことなので、さっき使っていたキッチンに戻り、同じ物を作った。

 ハフハフ言いながら、美味しそうに食べてくれた。

 お腹もふくれたので、厨房を見て廻ることにする。

 床はより固いコンクリートで出来ているようで、水捌けがよく乾燥しやすく滑らない。

 大きく分けて3つの場所があるようだ。

 1つ目は、厨房。

 2つ目は、保管庫。

 3つ目は、洗い場である。

 まずは、洗い場から見てみよう。

 ここには、どのような物があるかな。

 まず目につくのが、人工池のような洗い場である。

 池に水が溜められていて、常に新しい水が注がれて、古い水が破棄されているかけ流しのような作りだ。

 美味しそうなので飲んでみた。

 美味しかった。

 どう表現したらいいのだろう。

 鉄っぽくなくカルキ臭くもない、味というものはなく、口に含んだ状態から喉を通過するまで軽い感じがするのだ。

 なんというか、癖のない水なのだ。

 泥のついた野菜や果物を洗ったりするのに便利である。

 この中に淡水魚を入れ、泥を吐かすような事も出来る。

 その後ろは広い空間になっていて、小から極大のフックのついた紐がぶら下がっている。

 これは上下に動かすことができて、吊るすことができるとの事。

 吊るす事で何が出来るかというと、血抜きや解体、乾燥何かも出来るよね。

 小だと、鶏などの大きさの物になるのかな。

 中だと、豚や猪、鹿あたりまで出来そうな気がする。

 大だと、馬や牛になるだろう。

 じゃ、巨大はなんだと思う?

 さらに上の極大がある。

 牛より大きな生物って以外とあるらしく、ここでは鯨も捌けるようになっているのだ。

 捌く道具も揃っていて、包丁がずらりと並んでいる。

 鰻包丁から牛刀、鮪包丁から果ては、チェーンソーまで揃っている。

 さて、洗い場はこれくらいだろう。

 あっそうだ、僕が作った農場型の亜空間はここから出入りできるようにしよう。

 出来るかリンに聞いてみたところ、出来るとの事なので早速繋いだ。

 農場で欲しいものを取ってきてここで洗い・・・いい感じである。

 次は、保管庫だ。

 この保管庫、見た目は大きな棚である。

 しかし、映像だ。

 映像の棚じゃ物置けないだろうと思うかだけど、ここは亜空間であるため、問題ない。

 食材から料理に至るまで色々置ける。

 温度管理にチルド効果もバッチリである。

 そして、ここからが凄い機能がついている。

 熟成保管機能だ。

 熟成というのをご存じだろうか。

 新鮮食材というと、取れ立て直ぐの物だろう。

 これはこれで美味しい食材も多いが、ほとんどの食材は熟成されているものが一番美味しいとされている。

 個人差好みはあるので、一概には言えないが。

 そして、この保管庫だが入れた食材にたいしてどのような保管方法が適切かを判断して保存してくれる。

 そして、その食材が一番美味しく熟すまでどのくらいかかるのか教えてくれるのだ。

 さらに、熟成した後は、腐らないように時間が止まる。

 つまり、保管庫というな名の熟成庫なのである。

 熟成された美味しい食材を料理するところが厨房である。

 水が豊富に使える洗い場のとなりにまな板と包丁がずらりと並ぶ場所がある。

 出刃包丁、柳葉包丁から中華包丁、などステンレスから鋼まで、ほんとに色々ある。

 まな板も木からプラスチックまでたくさんある。

 コンロも豊富だ。

 ガスから薪から炭火、果ては石窯まで設置され、フライパン、蒸し器、鍋から五右衛門釜まであるから驚きだ。

 そして、一番驚くのが、この厨房内なら何処でも、保管庫に入れた食材や料理が必要分だけ取り出せるのだ。

 これから、食材集めて美味しいものを作ろうとして、僕は生唾を飲み込んだ。

 リンを見るとちょっと不思議そうな顔をしているので、どうしたか聞いてみた。

 「私達、アイテムで料理作れるよね。要るこの設備」

 「・・・」

 まっ今はいいか、アイテムより美味しい料理がここなら出来ると思うので、リンもここの設備の凄さがわかるときがくるだろう、というかわからせたいと思った。

 今はいいと言い聞かせ「次いくか」と促した。

 超高級ホテルとも料亭ともいえる、食事部屋が連なってるところを通りすぎ、やって来たところはお風呂場である。

 ただ、風呂場といっても広さは尋常ではない。

 下手なホテルよりでかいのだ。

 ここも男女に別れているので、両方覗いてみたが作りは全く同じだった。

 脱衣場は、脱いだ服をクリーニングしてくれる。

 代わりの服もなぜかちゃんと出してくれる。

 部屋着か、寝間着か、外着。

 ただし、外着はここの雰囲気に会うように忍び装束であった。

 部屋着と寝間着は、着やすく動きやすい服がいくつか選択できるようになっていた。

 脱衣場を出て、真っ正面にかけ湯がある。

 右にサウナ、左に洗い場があるのだ。

 サウナは1つだが、入る前に自分で設定できるようになっている。

 設定は自由だが、無茶な設定や入る人の体質に合わないと起動しないか勝手に設定を変えられることもあるようだ。

 洗い場は、シャンプー、リンス、ボディーソープ、石鹸類と豊富にあり、ボディータオルも豊富だ。

 その他小物も揃っていて、必要なものだけ持って、洗い場にいく。

 シャワーもしっかりついていて、使いやすいのである。

 サウナと洗い場のエリアを抜けると、内風呂だ。

 右から、水風呂、そして、37℃風呂、38℃風呂と1℃ずつ上がっていき45℃風呂と10この風呂があるのだ。

 水風呂は、15℃だ。

 水風呂は、木風呂で、そこから岩風呂、石風呂、木風呂となっている。

 岩風呂は、あまり加工していない岩を並べて作ってあり、石風呂は、石材に加工したもので作られてる感じである。

 お湯は、完全なかけ流し温泉で、いつでもは入れる。

 ただ、この温泉、一定時間がたつとお湯がピタリと止まり、溜まっていたお湯が全て流れ無くなってしまう。

 そして、先程流れていたお湯とは違う温泉が流れてくるのだ。

 例えば、硫黄泉から炭酸水素塩泉に切り替わるみたいな感じである。

 5分もあれば切り替わるので、もし入ってたとしても問題ないくらいの感覚である。

 ちなみに、露天風呂もちゃんとある。

 と言っても、ここ事態が亜空間なのだが。

 僕達は体を洗い、ゆっくりお湯に浸かった。

 39℃の木風呂に肩まで浸かりながら、「ふー極楽極楽、生き返るー」などと、ババくさい事をしていたリンが居たことは、リンと一緒に風呂に入った事がばれてしまうので、フセテオコウ。

 脱衣場で、パジャマに着替えると、寝室に向かう。

 布団を敷いて、何処でも寝れそうだが、折角なので専用の寝室を見てみることにした。

 部屋は全部で10部屋あることがわかった。

 全て大部屋である。

 部屋の前には⚪⚪の間という旅館風の名前が書いてある。

 杉の間、松の間、檜の間、梅の間、桜の間、大理石の間、黄金の間、竹の間、葦の間、藺草の間、の10種類だ。

 それぞれの名前の素材でできた部屋だ。

 杉、松、梅、桜の部屋は見比べないと分かりにくいが、檜は特有の臭いが強いのでわかる。

 竹の間と葦の間は、夏の暑い時期などに涼しく過ごせそうな清涼感ある部屋になっている。

 大理石と黄金は、どちらも鉱物なので、固くてひんやりしている。

 黄金は特に純金で出来ていて、金箔では無いので、剥がれるなんて心配はない。

 藺草は畳の部屋だと思ってくれればいい。

 畳のというか、イグサのいい匂いが漂ってきた。

 嫌いという人も要るが、僕はけっこう好きである。

 リンも気に入ってくれたようだ。

 寝室の部屋の前には、ベットからウォーターベット、布団など様々な物から選べる画面が設置されているのである。

 何で藺草の間の前で選んでいくことにする。

 ベットは嫌との事なので、羊毛がぎっしりつまった弾力のありながら低反発に近い敷き布団と、軽い鳥の羽がつまった掛け布団を選んだ。

 選ぶと勝手に布団が敷かれる。

 僕達はその布団でゆっくりと眠りにつくのであった。

 

 

 

 

 

 

 水のくだりですが、旅行に行ったときの柿田川湧水の湧き水を飲んだときの個人的感想を参考にしています。


柿田川  静岡県駿東郡清水町にある、全長約1.2kmの一級河川。

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