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初期装備  鷹仁

 鉄の刃物が弱いのではなく、このアイテムが強すぎるのだが、布1枚切れない刃物というのも、むしろ刃物をボロボロにしてしまうとは、アイテムの凄さを思い知らされた感覚である。

 銅と鉄の刃物にした物は、またインゴットに戻し、少し傷ついてしまった布の服は修復した。

 そろそろと言うことで、次の階に進んだ。

 犬エリアである。

 ここもスムーズに攻略、いや大量にアイテムを集めていた。

 ダンジョンにも慣れてきたことだろう。

 人間慣れてくれば、多少の行動が乱れてくるもので、お腹もすく。

 おにぎりを食べながら、水筒の水で流し込むように水を飲む龍一と彩琥の二人の姿があった。

 順調に、次の階へと足を運んだ。

 彩琥は、龍一の手を取り、颯爽と洞窟の先に足早に進んでいく。

 僕は、死神とノンビリ歩いていると、物凄い悲鳴が聞こえた。

 聞こえたと同時にすっ飛んで帰ってくる彩琥。

 「ムムムムムムムムムムーー」

 「ム?あー虫?苦手?」

 得意だと言う女の子は、苦手と答える女の子より少ないだろう。

 ましてや、自分と同じかそれ以上の大きさの虫など、論外である。

 「で、デカイ」

 「あー虫が大きくて近づけないか。普通の虫は」

 「普通なんだけど、蜘蛛とかムカデとか、普通の大きさでもちょっと何だけど、あれデカスギル」

 虫が苦手なのかと思ったが、デカイのがショックだったようだ。

 しかし、こればっかは慣れてもらうしかないのだ。

 僕も得意ではないが、ダンジョンのそれは臭いもないし、体液といえばいいのか、血のようなものが飛ばないから助かっている。

 彩琥も僕同様飛び防具なので、遠めから倒し慣れるしかない。

 何も、ペットのように馴れるわけではないのだから、気が楽だと思う。

 一方、龍一は顔色ひとつとまでは言わないものの、普通に倒して戻ってきた。

 ここでの目的が、必然的に決まってくる。

 彩琥一人で虫達を倒すことである。

 じゃ頑張ってと送り出すわけにもいかないので、取り合えず四人で行動することになった。

 角を曲がり部屋にたどり着くと、相変わらずウジャウジャいる。

 蜘蛛やムかでは、部屋の地面にばかりいるのではなく、壁や天井なんかにもいるので油断がならない敵の存在でもある。

 僕と死神と龍一で彩琥を囲み、部屋に入る。

 「少しずつでいいから確実に仕留めていって」と僕が言った。

 ゆっくりと弓を構える彩琥。

 一発目は、ムカデに当たる。

 ムカデの後ろの方に当たるが、ムカデは暴れるだけでチリにはならなかった。

 すると、今度は暴れるのをやめ、こっちに突っ込んでくるような体制をとった。

 僕は、ムカデに向かって手裏剣を投げようとするが、その瞬間肩に手を置かれるので、振り向くと死神が首を横に降っていた。

 つまり、僕に攻撃するなと言う合図である。

 彩琥はすでに、次の弓の矢を放つ準備は終わっていた。

 死神はそんな彩琥に「目と目の間のちょっと上を狙うんだ」とアドバイスをしていた。

 いきなり死神に話しかけられビクッとする彩琥だったが、直ぐに狙いの定めを調整して矢を放った。

 放たれた矢は、見事にムカデの頭に命中し、めり込むようにムカデの中に入っていく。

 勢い余って真ん中辺りから弓矢の先端が見えたと思ったらそこで止まり、弓矢は消えていった。

 ムカデも脳天と言う急所をつかれたのか、動かなくなりチリになって消えてった。

 「蜘蛛も同じところだ、しっかり狙え」

 うなずいた彩琥は、蜘蛛にめがけて矢を放つ。

 一匹、また一匹と倒していき、以外とすんなり百匹という数をこなしていた。

 「やれば出来るではないか、抜けるぞ」そういって死神は抜けていった。

 「ア、アリガトトウ」

 彩琥のお礼に、軽く片手をあげて返事をすると、狩りに行ってしまった死神。

 龍一も「俺も」と言いながら狩りに違う部屋に行ってしまった。

 「もう少し様子見てようか?」と僕が声をかけると、「私、もう大丈夫」とかなんとかいって、逆に追い出されてしまった。

 物理的というと変な感じだが、防御力は装備で格段に上がっているので、はっきりいって問題ない。

 下手すると、普通モードでも死ぬことはないだろう。

 だから僕は、また一人で攻略し始めた。

 どのくらい時間がたったのだろう、木刀も弓も10000を越えようと言うとき、龍一がやって来た。

 「そろそろまとめたいんだけどー」

 「えっ」

 「うんっと・・・」

 龍一は、木刀と弓の強化をしたがっているようだ。

 なので、一度安全地帯に入る。

 大岩達に塞がれてしまうが、暗くなるわけではないからほっておく。

 四人の集めた物を出すと、木刀と弓で溢れかえってしまった。

 龍一が、これでもかと言うほど速く、さらに速くと品質をあげると強化していった。

 龍一は、大量にある木刀がどんどんと1つに重なっていくことが面白かったようだ。

 しかしこの時、龍一の中で、変化が表れていたのだ。

 変化と言っても当たり前のことなのだが、錬金術のスキルランクの上昇が鰻登りで上がっていった。

 そして、Mpの上昇だ。

 通常、よくMpを使っている人が、使って無い人に比べると、レベルアップした時に上昇率が高くなっているというものだが、龍一の場合素早くMpを使うことでMp全体量が上昇していくようだ。

 と言っても1回で上がる量は1位で、よくて2とかたまに3が上がるらしい。

 とはいえ、Mpは1上がるだけでも嬉しいものだ。

 通常3桁もいけばいい方だが、龍一は4桁に差し掛かっていた。

 そして、出来た武器も攻撃力が数段上がり、素晴らしい数字に出来上がっていた。

 どのくらいかって?2000位だ。

 何か、鑑定しても武器が強すぎて、鑑定しづらい。

 その威力は凄まじく、大岩を軽くこずいただけで、真っ二つにし、弓を軽く飛ばしただけで粉砕するほどだ。

 子供の集中力と言うものは時にとんでもないものを生み出すが、ゲームで言うバグアイテムとも思えるものを、現実に作り出してしまうとは恐ろしいものである。

 ちなみに、大岩から出てきた石つぶてには興味を示さなかったようで、次の階層に足を運んだ。

 この4階は以前のダンジョンと同じ敵が出てくる。

 人形で、盗人Aと盗人Bだ。

 ここは、スルーしてもいいと思ったのだが、なぜか頑張ると言う。

 正直、Gクラスのダンジョンでは物足りない四人になっていたが、日も浅い僕らなので、全力で暴れてみた。

 そして、大量の薬と大金が手に入る。

 錬金術の上昇が、ランクの低いものばかり扱っているので、急激には上がらないが、数と速さが合わさって、確実に上がっている。

 そんなこんなで、このダンジョン最階層の5階にやって来た。

 開口一番、「可愛いー」との声をいただきました。

 それもそのはず、ここは狐と狸の部屋になっている。

 ムカデや蜘蛛、おっさん達に比べれば、数段かわいさが増すと言うもの。

 しかし、ここはダンジョン。

 どんなに可愛い敵だろうが、倒さなければ意味がない。

 「狸の方はかき揚げ、狐の方は油揚げ出すよ。どう?倒せそう?」

 「えっ問題ないよ。だからもうちょっとこうしてていい」

 「うん、いいよ」

 僕は、彩琥が狸や狐をまるでぬいぐるみのようにして、遊んでいる姿に微笑ましく見えている。

 また、彩琥にじゃれあうように手を伸ばす狸や狐をかわいく思えてしまう。

 しかし、狸や狐からしてみれば逆なのである。

 自分達の攻撃は効かず、さらに弄ばれているのだ。

 僕は、彩琥より大きい狸や狐と戯れていたらもっと絵にあるのではないかと思った。

 なので「あっちに大きい狸や狐がいるよ」と声をかけてみた。

 反応は凄まじいもので、目を輝かせてこちらを見るものだから、指を指しながら、「あっちだよ」と言う。

 次の瞬間、彩琥の周りにいた魔物が一瞬にしてチリになった。

 何をしたのかと言うと、彩琥が取り出した弓矢で直接魔物を叩きのめしてチリにしていたのだ。

 弓矢にこんな使い方があるのだと感心していたら、一瞬にして彩琥は飛び去っていた後だった。

 

 この後、交互にボスを倒しながら、美味しいかき揚げと油揚げを、たぬきそばときつねそばを持ち帰った。

 

 

四月は、鷹之助編を編集させていただきます。

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