お稲荷さんの能力 鷹仁
「「えっ」」
「ここに、見かけない小学生がうろちょろしていると言うので、見に来たんだが、君たちの小学校は・・・やはりここの学区ではないな。こんなところにどうしたの?」
小学生の名札を見て判断したようだ。
「僕達、依頼を受けに来ました」
「依頼?何かの遊びかね」
「遊びじゃありません。依頼です」
そう言って、ダンジョンライセンスを取り出す二人。
50代とおぼしき警察官の方は、ピクッと目を見開いてすぐに元に戻った。
若い方は未だ理解してないようで「ちょっとパトカーに行こうか」などと言いそうになっていいるところを停止する。
「君もかね」
急に声をかけられびっくりする。
その現場に近づきはしたものの、声をかける機会がなく様子を伺っていた僕に、年輩警官に声をかけられた。
うなずく僕。
こういう時って、ものを多く言うとかえって混乱が生じる気がするので、うなずいた。
「そうか、君達みたいな若い子が活躍してくれてるなら、日本も捨てたものじゃないな」
「日本を捨てる気だったの?」
「イヤイヤ、そういう意味ではないのだが、そうだな君たちの仕事振りを観てみたいのだがどうだろう」
「良いですけど、出来ればお人払いを」
「古臭い言葉を知ってるな、そうだな、これに何か役立つものがあったら入れてくれないか」
1つの茶色い封筒。
使い捨てだが、アイテムが入る封筒。
「これって・・・」
「以前もらったのだが、使い道がなくて困ってたんだが、くれた人が薬草くらいもらえたらいいななどと言っておったがな。致命傷でも応急処置程度にはなると言っていた。半信半疑なのだが、嘘つく人でもなかったし」
「わかりました、こちらの特上ポーションを3つ入れときますね」
そういうと、茶封筒に入れて封をした。
茶封筒は、瓶入りのポーションが3つも入っているのに、ぺらかった。
「オーって、これはどのようにして使えばいいのかな?」
「そうですね、大ケガしたときが一番効果があります。飲み薬でもつけ薬でも効果がありますよ。使いきりタイプなので気を付けてくださいね」
「いざってときは使わせてもらうよ。ウム」
話についていけなくてウロウロする若い警官に、「ここで黙って彼らのすることを見ていなさい」とだけ伝えると、年輩警官がスピーカーおばさんのところへ向かっていった。
「さてと、どんな依頼だい?」
「えーと、ここのゴミを片付けて・・・出来れば、草、石、木も取り除いてほしいと書いてあるよ」
「手伝おうか?」
「木と石までやってもらえるなら、てっ手伝って」
「あーいいよ」
サイトを開くと、依頼の欄からここの依頼の所を開き、パートナーとして名前を入れ、正式に依頼をこなす手伝いが出来るようにした。
「ちょっちょっと待って、君たち何する気なの?」
「それは見てればわかりますよ。お巡りさん、危ないからこっち来てください」
そう言って、敷地の外に皆出ると、僕は一気に土を掘り起こす要領で一気に手前に寄せる。
それを、龍一と彩琥が回収していく。
3分程度で、作業終了。
依頼完了を押すと、今度は若い警官の携帯に知らせが響いた。
状況も把握できず、目の前の現実にもついていけない状況下のなかで、携帯に出る。
「はい、モシモシ・・・」
「メールだよね」
「ん?ホントだ・・・」
カシャ。
「全く状況がつかめてないけど、本部とやらに写真送っといたから、返事来ると思うよ」
そういうと、フラフラとパトカーに戻っていった。
僕達も、おばさんが戻ってくるのを警戒して、畑経由で神社に向かった。
神社に着いた頃、メールで依頼完了の高評価をもらい喜ぶ二人。
僕は、神社の影からパトカーを見ていた。
パトカーから降りたおばさんは、すぐに空き地の方に走っていき、そして突っ立っていた。
どのような思考で突っ立っているのかは、わからない。
まー僕には関係ないのでほっとこう。
「ここは?」
「神社じゃないかな?」
「そうだよ、稲荷神社だね」
正面から入れば、鳥居を潜ってくるので、わかりやすいが、裏から来ると分かりにくいだろう。
普通の家と作りが違うので、違和感はあるとはいえ、お賽銭箱とかあるからわかるだろう。
「神様って本当にいるの?」
定番の質問きました、彩琥さんから。
「いると思うよ。見たこと無いけど、いると思うな」
居ますよ居ますよ。
朝に弱く、美少女風台無しの神様がと口にしそうだった。
いや、心で思っても聞かれそうで、ちょっと脂汗が出そうになった。
「誰が何だって?」
「あっいや聞こえてました?」
「何か疚しいこと思ってたしょ」
「いや、そんな。神に誓って・・・」
「ほー私に誓って何だって」
「あーイヤーそのーゴメンナサイ」
「まったく」
「やっぱ、心の声って聞こえるんですね」
「聞こえるわけ無いでしょ。女の勘よ」
僕は、謝って損したように感じたが、黙っておこう。
「で、この子達はどちら様で」
「以前教えてもらったダンジョン攻略を一緒にやった子達です。って、君たち何してるの」
腰が抜けたように、座り込む二人。
「ほう、この前のダンジョンをのー強さは紗綾に比べれば劣るが、この年でこの強さは異常だな。お主の仕業かい」
スムーズに攻略しようと思い、やり過ぎたと思っている。
「えーまー」
「切れの無い返事だな。さてはやり過ぎたと思っているな」
「何でそれを」
「顔にかいてある」
「マジっすか」
「マジだ。しかしな、ウム、この子達ならいくらでも力つけてやってもいいぞ、神である私が保証する」
「何か特別な何かがあるんですか?」
「いや、とくに」
「無いのですか」
「特別ではないと言う意味じゃ。ただ、この子達は他人の事を考え気を使えるようだからだ。それだけじゃ」
「よくわからないけど、わかりました」
「さて君達、せっかくだから願いを叶えてやろう。叶えられないこともあるが、言ってみなさい」
「私、普段は普通の女の子になりたい。力加減とか難しくって、友達と遊べない」
「ウム、その位なら叶えてやるぞ、それ」
「えっ変わってないような」
「スキルを見てみなさい」
「スキルを、あっ増えてる。普通モードスキル。ポチ」
「どう?って聞いてもわからないか。その辺の枝でも折ってみなさい」
「・・・折れない!折れないよお兄ちゃん」
「良かったな」
「うん。ありがとう神様」
「どういたしまして。次は僕だな。何がいい」
「鷹兄みたいになりたい」
「それは無理じゃ」
「何で?」
「私にも出来ることと出来ないことがあると言ったろ。それに、彼は規格外すぎる。それに、まだ成長途中だから、あせることはない」
「だったら、何かこう物を作れるようなの、ください」
「ほう、だったら錬金術などどうだろう?イタズラには使わない約束が出来るならあげよう」
「良かったな。錬金術だったら僕の加工や製薬のスキルよりよほど高ランクスキルだよ」
「その通りじゃ。難しいことは言うまい。受けるか受けないかどうする」
「受けます。よくわからないけど、凄く良いものに間違いない」
「お兄ちゃん」
「お、お願いします」
「わかった。付けてやったぞ」
「えっあっ、ホントだ」
「二人ともよく聞け。Mpは使えば使うほど、上昇するししやすくなる。使いきると、さらに上昇するが、普段は危険だから使いきらないギリギリで保つがよい。寝る前に使いきると良いぞ。娘の方は普段から普通モードスキルを使っているだけでいいぞ。まーお主は工夫してみることだな」
そういうと、スーっと消え始めた。
と思ったら急に元に戻り、僕に近づいてきた。
「キツネウドン頂戴」
僕にとって残念な神様でよかった。
美味しそうに狐饂飩を食べてるお稲荷さん。
それを見ている僕。
錬金術をしてみたくてウズウズしている龍一。
彩琥は普通モードが嬉しくて、ウキウキッドンッ・・・「キャーーーーー」ブブッブーーー サッ ペチョペチョペチョ ???「ウウワーーーー」。
何がおきたかって、順に説明しよう。
彩琥が、ウキウキしながら跳び跳ねてると、急に黒い何かにぶつかった。
見上げると、人のようなそうでないような、一瞬思考が止まり同時に悲鳴に変わる。
饂飩に夢中のお稲荷さんは、悲鳴に顔をあげるが、その口の中は饂飩を頬張った後であった。
悲鳴の正体がわかったと同時に、つい吹いてしまった。
吹いたときに飛んできた饂飩を僕が避けたために、饂飩は黒い正体に次々とくっついた。
状況のつかめない龍一が、キョロキョロし、饂飩が飛び散った死神を見て腰を抜かさんとばかりに悲鳴をあげたのだ。
「宇迦之御魂神様、いくらなんでも酷すぎます」
「ス、スマンってお主がいきなり現れるからじゃ」
「「あのー死神に見えるんですけど・・・」」
「死神だよ。暇なの?」
「あー今日はもう用事がすんだからな、ダンジョン行かないか?」
「この前と同じだがそこでいいか?」
「あーどこでもいい、少しでも経験値とお金を稼げればな。まかす」
「この子達も一緒でいいか?特にこの龍一の錬金術を育てたい」
「なに、錬金術を持ってるのか。そうか龍一とやら、これからよろしく頼む」
死神に手をブンブン振りながら強制握手する死神。
怯えながらも、「あっはい、よろしくです」などと、挨拶を交わす。
ことの成り行きに、追い付けない二人が、狐に摘ままれたようになりながらダンジョンへと足を向けた。
死神は意気揚々とダンジョンに向かい、見送るお稲荷さん。
僕も、ダンジョンに向かいながら思ってることがあった。
この小学生、何か集られ過ぎじゃねえかと。




