お茶まみれ、Mp 回復 鷹仁
休憩を終えた僕たちは、4階に向かう。
待ち受けていた魔物は猿であった。
と言ってもなんかバランスの悪い猿。
手が長かったり、足が長かったり、手足が長い猿。
紗綾さんは知っているようだった。
手長猿からは日本茶、足長猿からは烏龍茶、手足長猿からは紅茶が出るらしい。
お茶は嗜好品である。
意外に高い物で、100g当たり数百円から数千円と幅も広いのだ。
龍一が、結構お茶を飲むらしく、ここは龍一のためにも頑張って集めることにした。
ものは試しと木刀を構え、猿に近づいていく。
龍一に気づいた猿が後退りで下がっていく中、1匹の手足長猿が列から抜けて龍一の後ろに回り大きく腕と脚を伸ばして静かに攻撃をしようとしているが、龍一は全く気づかず前の猿に集中していた。
これには、黙って見ていてもよかったが、さっきの説教の一件もあるし黙ってみていたら僕の身が危ない。
龍一はってか?大丈夫だよ。とは言えず手裏剣を構える。
彩琥も弓を構えていた。
僕は、彩琥の弓を放っていいことを言う。
ピユッという音と共に放たれた弓矢は、真っ直ぐ手足長猿の頭に命中。
1発で当てるとは思っていなかったが、兎のところで命中できるように頑張ってみたとのこと。
紅茶を手にしながら、龍一を見守っていた。
龍一は、一呼吸おいたと思うと急に動き出した。
間合いを一気に詰めると、手長猿の頭の上から一気に木刀を降り下ろすと、一撃でチリになる手長猿。
そのまま、右上に切り上げたが、威力が少ないかチリにならずよろける足長猿に袈裟斬りが決まる。
多彩な斬り方をして、猿達をチリにしていた。
本身なら手数も少なくチリにできるのではという。
龍一が、全て倒し戻ってくる時に、彩琥がこの様なことを喋り出した。
「そうそう、クラスにねお茶を知らない子がいたんだよ」
「いや、それは流石に無いでしょ」
紗綾さんが、反論する。
「沢山ペットボトルで売ってるし、CMも多いからそりゃないでしょ」
「そうなんだけど、そうじゃなくて、あのね急須でお茶を入れる方のやつなの」
「ん?」
「だから、暖かいお茶があるって知らないんだよ。ペットボトルで飲む冷たいお茶ということしか知らないの」
「いるなーそういうの」と戻ってきた龍一も言っている。
そういえば、僕にも心当たりがあった。
以前、遊びに来た奴が、お茶を入れているときに、自分がやるというので譲ったら、急須の蓋を押さえずに入れ始め、見事テーブルの上に熱いお茶を溢していたことを。
その後、床に置いてあった雑巾で一生懸命拭いてたっけ。
そんな話をしたら、皆してため息が出たよ。
「知らないのだから仕方ないのかもね。便利ってのも良し悪しね。ホラ話してると、リスポーンするよ。気をつけて」と言いながら、バッタバッタと猿を倒していく。
「この猿はね、背中からしか攻撃してこないの。だから、猿を後ろに回さなければいいのだろうけど、壁沿いに添って攻撃していればいいから楽といえば楽かな」
「さっきの猿が後ろに回ったのはそのためだったんですね」
「あれ?気付いてたの?」
「うん。気になってたけど、すぐ倒してくれたのはわかったから、前の敵に集中したんだけど集中しきれなかったよ。何回か攻撃が当たらなかったっけ」
「・・・そう。じゃ、問題ないね。1人1部屋でいきましょ」
「「はーい」」
「なによ」
「特には・・・」
そう言って僕たちは無双した。
無双していたのだが、度々くる3人に落ち着きをなくす僕がいた。
僕には、収納があるが、他の3人には無い。
スキルを付与する考えもあるが、アイテムという考え方もある。
たまたま、加工を頼みに来た龍一をつかまえて、髪の毛を1本もらう。
不思議に思いながらも髪の毛をくれた龍一に、少し待ってもらい、布この場合木綿の布を出して、髪の毛をのせる。
後はひたすら加工する。
Mpをどんどん消費して、可能な限り収納、裁縫、加工のイメージで作ってみた。
1秒間に10万Mp位は注ぎ込んだか、10秒たち変化が出たので1秒100万Mp注ぎ込んだら10秒でほぼ形が整ったが完成しないのでもう1000万Mp注ぎ込んだら完成した。
2100万Mp使い久々にゼイゼイしながら座り込む。
手にした布袋を見ながら鑑定、この様な逸品だった。
収納袋 龍一専用 龍一にしか使えない収納袋、龍一の物、生き物共に入れられる。時間無効、用量1000リューベ
出来てしまった。
アイテム以外にも仕舞える袋、量も申し分ないだろう。
「これ、持ち物に入れてくれる?」
僕の変わりようにアタフタしている龍一に布袋を渡しながら言う。
持ち物に入れると、龍一本人に使い方がわかったのだろう。
他人の物を仕舞えることはないのでいいと思うが、小学生にはちと早すぎるアイテムかと思うが、まーいいかって感じになった。
同様に、彩琥と紗綾さんに作った。
使い道が無いのではという彩琥に対して、ものすごく喜ぶ紗綾さんが、彩琥にいかにすごいアイテムか熱弁していた。
ちんぷんかんぷんな顔をしている彩琥が、とても面白・・・可愛かった。
その間に、無双している龍一が、更なる無双をし始めた。
アイテム回収の制限が無くなったに等しく、HpMp管理もしなくていい。
疲労もこないとくれば、当然動きが止まらなくなるわけだ。
僕達も負けじと無双した。
大量に積もったお茶を特上に、皆に振り分ける。
余ったお茶は全て龍一が欲しがったのであげた。
そして、次の階へ向かった。
心なしかウキウキしている紗綾さんに声をかける。
「どうかしたんですか?」
「いやなに、私の記憶が確かならば、この先の敵はおばさんで、マジック草を出すんだよ。マジック草の特上があれば、自分のMp管理は完璧だし、Mポーションがあるなら、需要があるからね、お金儲け・・・ゴホン」
「「あっ、おばさんだ」」
二人の声に反応する紗綾さんが次にとった行動は、ダッシュ。
「後は任せた」とだけ言い残しさっさと無双しに行ってしまった。
広場にいるおばさんは、ダッシュする紗綾さんの後を追いかけるが追い付くはずもない。
その後ろ姿のおばさんに弓矢が刺さる。
すでに、戦闘に入ってた彩琥にビックリした僕の目の前にマジック草が6本出される。
「よし、無双してくるか。ここが最後の階だから遠慮なく暴れてきな」
そう言って送り出すと、僕も無双した。
マジック草を、特上にしながら無双すること400という数を越えた頃、皆が集まってきた。
先に、マジック草特上を皆に配る。
そして、皆のマジック草をMポーションにした。
需要のあるのは、普通だそうで、普通にして皆に配る。
「今日はこの位にして、ボスを倒して、戻りましょう。ボス部屋は、ここを真っ直ぐいったところよ」
そう言って指の差す方へ向かう。
ボス部屋に入ると、そこにはでっかくてみすぼらしい大男と大女がいた。
「今日のところは、倒してもらいましょう」と紗綾さんがこちらを見てくる。
僕は、2つの手裏剣を敵目掛けて投げると、命中し一発でチリになりダンジョン攻略の証のワープゾーンが出現する。
皆でワープゾーンに乗ると入り口へ送還された。
出てきた僕たちに気付いたお巡りさんが、声をかけてくる。
「お疲れ様です」
「今何時?」
「今ですか?5時前ですね」
「んじゃ、僕帰りますね。後の事はお願いします」
そう言うと、僕は1人帰っていく。
龍一と彩琥は、泥のように眠ってしまったらしく朝まで目が覚めなかったのだとか。
紗綾さんは、夜の街に遊びに出たとか出なかったとか・・・。
(暖かいお茶を知らない)と(急須を使えない)話は実話です。




