薬草まみれ 鷹仁
前の回で、毒草に関する部分を消し、薬草オンリーの階にさせていただきました。
ストーリー上とは言え申し訳ありませんが、内容はそのままに書かせていただきました。
「本当にお父さんもお母さんも大丈夫?」と、聞いてくるのは龍一と彩琥がいる場所は、もうダンジョンの中である。
「大丈夫、大丈夫」と言っているのは、公安に勤める稲荷の神様の加護を持つ女性である。
大丈夫を連発する人ほど信用できないのは通例だが、少なくとも僕は信用しているので心配はしていないが子供達は不安であろうと思う。
「落ち着いて。明日の朝には目覚めるから。それに何もないようにお巡りさん達が付いてくれるから安心して」
「本当?」
「本当だよ。だから安心して」
「うっうん。わかったよお兄ちゃん」
一先ず落ち着いたところで、自己紹介に入った。
「まずは、自己紹介ね。私から言うよ。私の名前は田上紗綾よ」
「そう言えば今まで名前知らなかったですね。タガミサヤと読むんですね。僕は鷹仁と書いてタカヒトと読みます。」
「私は彩琥、アヤコね」
「俺は、龍一。リュウイチだよ。えーと鷹兄に紗綾オバサン」ゴンっといい音が響く。拳骨を紗綾オバサンにもらったようだ。
「誰が、オバサンよまだ30はイッテないのよ。お姉さんね。お・ね・え・さ・ん」
「紗綾さん、小学生あるあるですから」とツッコムもといフォローする。
ビックリする二人が揃って「「紗綾姉」」というと満足そうな紗綾さんが武器を出した。
木刀正確には(武器)木刀(下下)を16本と(武器)弓(下下)16個である。
「この中から武器を選びなさい」
「何故こんなに?」と聞くと「武器アイテムは一緒に見えて個人差があるのでたくさんの中から選んだ方がいいのよ」と言う。
見ていると、龍一も彩琥も1つ1つ手にしては感触と言うか感覚を確認しているようだった。
「俺はこれがいい」と言って掲げた木刀を紗綾さんが没収する。
「私はこれがいい」と掲げた弓を没収されると僕に渡してきて「これらを基準に加工して品質を上げて」と言う。
「基準と言うのがよくわからないな」
「そうね。自分から一番近いものが基準になるらしいよ。ちょっと待ってね」紗綾さんが基準にしたい木刀を僕の一番近いところに置き順に残りの木刀を並べていき、同様に弓も並べていく。
僕は置かれた木刀から加工して品質を上げ、弓も同様に上げた。
(武器)木刀(特上) と (武器)弓(特上)が仕上がった。
木刀と弓を持ち紗綾さんが溜め息をした。
「どうしたの?」と聞くと「羨ましいなと思ってね。特上って初期アイテムでもなかなか拝めないんだ」と呟くように言った。
どういう事か聞こうとしたが、何か前にも同様の呟きと言うか陰でこそこそ言ってたなと思う僕。
ふっと立ち上がる紗綾さんが、黒いカードを2枚取り出すと、龍一と彩琥に差し出す。
「これは?」と不思議そうに訊ねてくる龍一だが、「詳しくは親に聞いてね」と言っていた。
「あのー僕の時とは大違いですね」
そーなのだ。僕の時は分厚いルールブックみたいのを読めと渡されたような気がする。
それが、今回はカードだけだ。ちょっとうらやましい。
「まー後でこの子達の分は親に渡すつもりよ。そうそう、ここの○のところを親指で押し付けて」
龍一と彩琥は、言われるがままカードに指紋を登録させる。
カードは、一度光だし収まると黒いままのカードに戻った。
「そう言えば、このカードって何だろうね?人工物にしてはプラスチックのような金属のような変な物質だし理解できない」
「しなくていいわよ。そんなこと言ったらダンジョンが一番理解できない。まー便利だからいいけどね」
紗綾さんが子供達の方を振り返り質問した。
「君達は何処まで理解しているのかな?」
首をかしげる彩琥に対して必死で答えようとする龍一。
「と・・・取り合えずお父さんとお母さんは無事なんだよね。そして4人でこのダンジョンをやる」
「その通り」と言う紗綾さんだが、僕はそれでいいのかと思う。
しかし、複雑に答えられても面倒かと思い良しとした。
「1階は、盗人Aだね。2階は?」と紗綾さんが聞いてくるが僕は見ていないので分からない。
「ここが薬ダンジョンと言うのなら、まー見てのお楽しみでいいか。さてと・・・・・・・・・」ダンジョンには入れると、レベルとスキルがゲーム風になり1からになること、持ち物スキルと装備スキルが加わる事、後は今までの経験がスキルに変換される場合がある事を説明し武器をセットさせる。
セットすると最低の動きぐらいは出来るようになり、弓に関してはMpを矢に交換して使える位は出来るようだ。
しかも、初期装備とは言えない特上の武器なので、Gクラスの魔物なら1発で倒せそうだ。
紗綾さんも武器をいつの間にか取り出してセットしている。
紗綾さんの武器は鉄の棒に鉤が付いている感じの武器だ。
「それは、警棒ですか?」と聞くと「違うよ」と返ってきた。
どうやら十手と言う武器らしい。
時代劇等で、岡っ引きと言う人達が振り回してるイメージがあるが、それよりは気持ち長いように見える。
どこぞのダンジョン産のようだが、ダンジョンにも普段の仕事にも使えて便利なのだそうだ。
準備も整ったことだしダンジョン攻略を始める僕達であった。
「しかし、手裏剣とは古風な」
「手作りなんですけどね。何かアイテム化されまして、便利ですよ」
「フーン。初期は十分かもね」と素っ気なく返された。
「紗綾姉。私からでいい?お父さんとお母さんの仇が打ちたい」
「仇とか言ってると、憎くない敵は射てなくなるよ。まずは落ち着いてここをゲームのような世界と思ってしっかり狙って、射て」
真っ直ぐ飛んでいった弓矢は、盗賊Aの額にめり込むと、盗人Aと一緒にチリになって消えていった。
続いて2発射ったところでMp切れと思ったら、レベルUpしたのでステータスはマックスになったので攻撃継続となり広場にいた敵を倒してしまった。
「何かずるい」と愚痴る紗綾さんに、「武器がいいのだと思いますよ」と言うと、分かってるよと言わんばかりに愚痴愚痴言いそうだったので、スルーして龍一くんに次できそうか確認する。
確認した結果、行けそうなので「次の広場に行こうか」と促す。
「広場?」と聞いてきたので、簡単にダンジョンは道と広場と部屋がある事を教える。
愚痴っていたはずの紗綾さんが、「5階まではね」と教えてくれた。
次の広場に着くと、同じように盗人Aがいる。
龍一の出番だ。
遠距離攻撃の妹と違い、敵の近くで武器を振るわなければならないので怖いのは分かるので「手伝おうか」と聞いてみたが、妹の手前か「いい」と断られた。
呼吸を調え、ギュッと握り返す木刀を振りかざして一気に敵を叩きつけると、すぐにチリになって消えていくと同時に、龍一は殴られてしまった。
よろける龍一ではあったが体制を直すと、殴った敵を倒した。
レベルがここで上がり元気を取り戻した龍一は、残りの敵を殲滅した。
「さー順調だね。次の広場に行こうか」と言う紗綾さんに「次は部屋ですよね。まーさーか広場でOkにするつもりですか?」と問う。
手をブンブン降りながら「無理無理、タコ殴りにされるよ」と言う紗綾さんなので、「ポーションあげましたよね」と言うと、「貰ったけど貴重だし」と言うので「じゃ何か考えてみますよ。ちょっと待っててくださいね」と言うと、座り込んでステータス画面を見始めた。
僕は何故か紗綾さんに、突っ掛かってしまったなと思いながらも後に引けず、使えるスキルを探し始める。
空中で指を動かしている僕の姿に子供達は不思議に思い、紗綾さんに聞いているようで、子供達にステータス画面を説明していた。
僕は、手当スキルとか治療スキルとか補助スキルとか補強スキルとか見ていたがピンと来ない。
全部まとめて出来ないものかとさらにスキル修得のできる欄を探していた。
そして、支援スキルと言う物を見つける。
名前がシンプルだが、主に自分のHpやMpを分け与えるという物と、全ステータスを強化出来るという物、さらに相手の疲労度をもらうというものである。
何か、レベル補整なんてのもあるが、これの使い処はよくわからなかったが。
チートの僕には容易く出来るスキルである。
早速修得すると、僕のレベルが上がった。
そんなことをしている間に、リスポーンした盗人A達を紗綾さんは、スムーズに十手で散らすように片付けていた。
「今度はそちらの番ですよ」と紗綾さん。
流石に部屋の一掃など出来ないだろうと踏んでの台詞なのだろう、ちょっと顔がどや顔風になっている。
「僕は甘く見られているようですね」と言うと、部屋に向かって歩き始め、3人が後を着けてくる。
躊躇なく部屋に入った僕は、手裏剣を構えると3枚続けて投げた。
「流れ星のようだ。凄い」と、龍一「キレイ」と、彩琥「あり得ない」と紗綾さんが三者三様に答えていた。
残った数体を片付けるとそこら一体に薬草が散らばっていた。
「今日は、これくらい出来ることが目標かな」と言いながら薬草を製薬スキルで薬草の品質を上げていく。
3人は心の中であり得ないと思いながら返す言葉を失っていた。
「僕がサポートしますから、遠慮なく戦ってくださいね」
次回は鷹之助 ダンジョン2階目です




