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社長とダンジョン 鷹仁

 ダンジョン。

 僕にとっては小説とかゲームとかの話で、現実とは思えなかった。

 まして、ライセンスカードともギルドカードとも言われるような存在のカードを手にできるとは。

 国全体のバックアップは完璧とは言わないが凄いし。

 イヤイヤ、そもそもゲームのようなレベルやスキルがおかしい程すごい。

 神様の加護といっても死神だがこの加護のお陰で、チートだよチート。

 この力、どの様にして使っていけばいいのだろう。

 選択肢は色々ある。

 細かく言えば切りがないが、大まかに2つは上げられそうだ。

 他人のために使うか、自分に使うかだ。

 本来人1人の力は小さいのが普通で、限度がある。

 では、今の僕はどうなんだろうか?

 重いものを持ったり、大量に運んだりする事ができる重機は、収納スキルでどうにでもなる。

 要らないものを処分する何て、ダンジョンがあればどうにでもなる。

 新しいものも、ダンジョンから産出されるものを駆使すれば、あるいはどうにでもなるかもしれない。

 もっとも物理的なもので、エンターテイメントっぽいものは望めないだろうがね。

 ただ、大きな力を得たとしても出来ないこと、してはいけないこともあるのも事実であろうが、今の僕にはよくわからない。

 ちょっと整理しよう。

 店を開ける場所を確保した。

 その場所の2階にはダンジョンがある。

 そうなれば、1階を普通の人専用スペースの店を、2階は当然ダンジョンライセンスを所持している人専用のスペースとして店が開けそうだ。

 物を売るとしても、1階ではアイテムは売れない。

 なぜなら、アイテムは腐らないからだ。

 正確に言うと、アイテムとしての存在していると腐らず、少しでも傷物にすればアイテムの効力を失って普通の物として売れるくらいか。

 いや、今はまだ物を売れるほど種類があるわけでもないから、保留かな。

 物を引き取る商売なら成り立つかもしれない。

 リサイクルショップというやつだ。

 いけそうだな、だってヤバイものとかゴミは、ダンジョンに捨ててしまえばいい。

 引き取るときに使うお金は、ダンジョンに取りに行けばいい。

 出来ないこととは思えない。

 2階に関しては、ダンジョンのアイテムの取引の許可をもらえればいいと思う。

 よし、そのセンでいこうと、リサイクルショップやるには古物商が必要か・・・あーめんどくさソウzzz。

 次の日の学校帰り、僕は依頼をこなさずに不動屋さんに向かった。

 店を開くことについて聞くためにだ。

 不動屋さんについた僕は、入り口を入るとこの前の女性定員が挨拶しながら迎えてくれた。

 「いらっしゃい。あーあなたは・・・昨日の。社長なら居ませんよ。今しがた、あなたの借りたがってたテナントを見に行くとおっしゃって出ていきました。今テナントへ行けば会えると思いますよ。それとですね、あなたの要件は全て社長が引き受けるらしいですから、私どもより社長に直接あった方がよろしいかと」

 僕は「そうですか」と一言いうと、かるく会釈して不動産屋をでる。

 テナントに近づくとそこにいいたのは、小学生位の子が2人戸惑うようにしながら入っていった。

 外から様子をうかがってると、2階に上がっていくので不思議に思っていいるとそこへ見慣れた死神が姿を表す。

 「どこいくの?」何となく聞いてしまった僕に死神が「この先のダンジョンで5人死ぬかもしれないんだ。だから、様子を見に・・・」僕は、嫌な予感を覚え直ぐにテナントの2階へいくと、ダンジョンの入口に小学生と思われる足が見えたと思うと、入口に吸い込まれるようにして消えていった。

 直ぐさま、僕もダンジョンに入るがもうそこには子供達がいない。

 石手裏剣をセットして奥へと進むと広場に出たがなにもいない。

 広場の先は道が二つに別れていて、右側の方から盗人が現れた。

 攻撃をして盗人を倒すと、右側の道を進むと部屋に出た。

 部屋の真ん中らへんで、盗人のリンチ状態にある5人を確認する。

 1人は不動産屋の社員で、2人は入口にいた小学生で、後の2人は知らない。

 僕は石手裏剣で部屋中の盗人を一掃すると、素早く回復液を振り撒いた。


ーーー時を遡る事、昨日の夕方ーーー


 「あの若いのが白色で、俺が黒。何だかなー」

 感情が押さえきれないのか、声に出てしまっているのは、鷹仁が出ていった不動産屋の接客間での出来事。

 この社長が黒色のライセンスカードを手にいれたのは、大学生の時の事だ。

 友達と2人で飲み歩いていた19才の頃、夜中に偶然ダンジョンの入り口を見つけてしまった。

 ダンジョンの入り口という意味の解らないものに、2人はあーでもないこーでもないこんなイタズラは誰だと騒ぎ出す。

 酔っているからなおさら声もでかかったので警察に通報され、なんだかんだで保護されていった。

 酔いがさめ、ダンジョンの入り口を覚えていた2人にコンコンと説明し警察官率いるダンジョン部隊とダンジョン攻略するも、虫のゾーンにきて2人して逃げて帰った。

 それ以来音沙汰で、親父の仕事をついで不動産をしている。

 もう1人は近くで居酒屋を経営しているのだ。

 「ここにいても仕方がない」そう呟くと、おもむろに席から立ち上がると接客間を出る。

 社員達の目線が一斉に集まるのは仕方のないことだ。

 「まず、さっきの客の相手は全て俺が引き受ける。それと、さっき言ってたテナントの鍵出してくれないか?」

 不思議に思う社員だが、社長命令だし、特に意見もないので鍵を渡す社員。

 「今日は、業務が終わったら帰っていいぞ。最後の人は戸締まりを頼む」

 そう言うと、テナントに向かった。

 夕方の商店街はそれなりに賑わってるものの昔程の威勢はない。

 そんな中、とぼとぼと歩いてテナントに着くと自動扉の鍵を開く。

 電気の通って無い扉をこじ開けると、何もないテナントに入る。

 全体を見渡して、変なとこはないか見てみるも、何もない部屋なので異常もないから、2階へ上がる。

 そこに飛び込んできたのはダンジョンの入口である。

 ビックリするも疑問にも思う。

 「あの子は、これを知っていてここを借りたいと言ってきた?にしては、外から絶対見えない場所だが。不思議だ」

 攻略してみようと思ったが、1人では無理と思い諦めるかのようにテナントを出た。

 社長はテナントを出て近くにある居酒屋に向かう。

 ガラガラと扉を開けると「まだ準備中なんだ。もう少ししたら開けるから待ってて・・・なんだ、お前か」

 「あいさつだなー」

 「まっまっというかどうした?こんな時間に。こっちは準備で忙しいのだが」

 「忙しいのは私でしょうが」と突っ込んでくる居酒屋のおかみさんこと居酒屋の亭主の奥さん。

 「うっうるさい」とは言ってみたものの効果などなく、顔を背ける。

 「で、話はなんだ?」

 「あっあーこれなんだけどな」

 黒色のライセンスカードを徐に見せ掲げる。

 「ん?なんだそりゃー・・・っておい!ちょっと奥こい」

 そうビックリすると、店の奥の奥座敷に移動する。

 そこにもう1人ビックリしている人を置き去りにして。

 店の奥の奥座敷で「おい!今ごろそんなカード持ち出してなんのつもりだ?俺達は負け組なんだ。あのオゾマシイ虫は忘れてたのに思い出させるようなことするな」

 「そうなんだがな・・・」

 「なんだよ」

 「今日と言っても1時間ほど前何だが、白色のカードを持ち込んできた客がいてな」

 「白色ってううんん聞かない聞かない。この件は嫌な予感する。この」

 「「只今ー」」元気な声が流れてきた。

 「龍一、彩琥、お帰り」と奥さんの声が聞こえる。

 「この話は無しだな無・・・」そこへ奥さんが入ってくる。

 「今は入ってくるな・・・」と言いかけて目が釘付けになる奥さんの手には黒色のライセンスカードが差し出されていた。

 お互い今の今まで知らなかったからビックリである。

 「今の暮らしに不満はないわ。でも、あの子達のために少しでも収入が増やせるなら出来る限りの協力はする」

 「チョット待て、そもそも何しに来たんだ?ダンジョン一緒に攻略しようというお誘いではあるまいな」

 「そうだが・・・」

 「話が解らん。どうして急にこのような話になったか解るように話してくれ」

 「さっきは聞かないって」

 「いいから」

 「判った。話すよ。さっき俺の店に白色カードを提示してきた若い客が来た。若いと言っても20代ではない。高校生だ」

 「「高校生」」「続けてくれ」

 「その少年はテナントを借りに来た。白色だからダンジョンはクリアーしているだろう。普通の高校生よりは金を持っているとしてもだ、店を持ちたいと思わないだろうからな、何故テナントを借りに来たのか知りたくて、今そのテナントに行ってきたんだ。そしてそこに・・・」

 「ダンジョンがあったと?」

 「そうなんだ」

 「建物の中にダンジョンの入口が?」

 「そうなんだ。しかも最低ランクのGなんだ。だから一緒に攻略できるかもしれないと誘いにきたんだ」

 「話は判った。が、一晩考えさせてくれ」

 次の日、居酒屋に向かう社長の姿があった。

 3人揃い、覚悟を決めダンジョンに向かう。

 その後ろを不思議そうにこっそり着ける小学生の姿があるが、社長を含める3人は気付く様子もなかった。

 テナント2階からダンジョンへ入ると、明るくもなければ暗くもない通路に出た。

 3人は、恐る恐る進んでいくと、6人の人影が見えた。

 3人は、その人影を魔物と思えなかったのだろう、声をかける。

 「あのーもしよろしければ、一緒に攻略しませんか?」と言った瞬間、殴られた。

 大きなダメージではなかったものの、ビックリして駆け出してしまった。

 進んできた道に引き返せば良かったものを、そのまま前に駆け出してしまう。

 必要に追ってくるその殴ってきた人に対し、反撃せず逃げ切ったと思ったら、そこは部屋であった。

 さっき殴ってきた人と同じ服装同じ人がたくさんいるのを見て、改めて敵だったこと、魔物であることを認識する3人だが、遅すぎた。

 部屋の入口付近にいるから、まず部屋から出ればいいのだが、パニック状態がそうはさせてもらえず、盗人達に囲まれて部屋の中央に誘導されていく。

 盗人達の攻撃そのものは、対したことがなくても蓄積されていけば傷は増え、打ち身は増え、Hpが確実に減っていくのであった。

 後悔先に立たず、なんて言葉があるが今はそれどころではない。

 殴られまくり、パニクり動けない。

 意識がもうろうとしてくる中、記憶の最後に見た光景は、入口から入ってくる子供達の姿だった。

 

 龍一は小学4年生、で彩琥は小学3年生と仲の良い兄妹である。

 その2人が、学校から帰ってくると、両親が見慣れない男性と家を出ていくのを見かけた。

 声をかけれそうな雰囲気でない気がしたので、後を着けてみると商店街に入っていった。

 さらに、商店街の一角の何もない部屋に入っていくので、急いでその部屋に向かう。

 電気の通って無い自動ドアを何とか2人でこじ開けると、直ぐさま階段を上った。

 しかし、そこには誰もいなかった。

 部屋をグルリと見渡すと、そこに黒い扉のようなものが存在していた。

 2人は、顔を見合せお互い大きくうなずく。

 そして、Yes の選択をすると同時に扉に吸い込まれるのであった。

 ダンジョンの通路に出た2人は、不思議な光景に何も思えなくなっていた。

 思考回路は捨てていたからだ。

 ただ、この先にいる父さんと母さんを連れ戻したい一心でダンジョンを進んでいく。

 しばらく歩いていると、男性が数人立っていたのが目に入る。

 彩琥は、何も思わなかったが、龍一はものすごい違和感を感じていた。

 その男は、さっき両親と一緒にいた人とは違うし、何より格好がおかしい。

 形だけなら祭りの時に来ているような格好だが、みすぼらしいのである。

 龍一は、彩琥に「気付かれ無いように、そっと通り抜けよう」と耳打ちする。

 「お父さんとお母さんの事、聞かなくて良いの?」と聞いてくるが、龍一には男が敵であることだけは認識できていた。

 そーっと移動していたが、ばれたので龍一と彩琥はダッシュで駆け抜ける。

 追いかけてくる男達を無視してひたすら逃げるとその先に広そうな空間があった。

 取り合えずそこに駆け込んだ直後、目に飛び込んできたのは部屋の真ん中でうずくまっている両親の姿だった。

 無我夢中で両親の元に行き、両手を名一杯広げ両親の前に立ち塞がる子供達。

 だが、目の前の拳を振り上げた男は恐い。

 殴られると思い、歯を食い縛ると、その瞬間流れ星を見た気がしたが、恐いので目をつぶる。

 目をつぶりしばらく経つが一向に殴られた感じが受けない。

 そっと目を開けると、目の前を覆っていた男達の姿は無くなっていて、草のようなものがあちこちに散らばっていた。

 両人の事が心配で振り替えると「無事だよ。今は寝てるけどね」という声が聞こえた。

 無事という言葉に安堵して、腰が抜ける2人であった。


 「よく頑張ったね」と、声をかけるが返事がないと思った瞬間男の子が振り向いた。

 女の子は、腰が抜けた状態で器用に両親と思われる男女にくっついて泣いている。

 「お兄ちゃん?誰?」と聞いてきたので「通りすがりの・・・」と言いかけてやめた。

 「お兄ちゃんが助けてくれたの?」

 「そうなるかな」

 「ア、ア、ありがとう」

 「どういたしましてと言いたいけど、このまんまだとまた盗人がリスポーンするよ」

 「盗人?リスポッ?」

 「リスポーンね。ゲームなんかで、倒した敵が同じところに現れるみたいなことあるでしょ」

 「あっうん」

 「それがここでは起きるんだよ。そして盗人とはさっきの男達ね」

 「じゃーここにいてはヤバイのかな」

 「そうなるね」

 男の子は両親をつかみ、引っ張ろうとするが10才の子供に大の大人を運べるはずもなくしゃがみこみ悔しそうに大きな声を上げる。

 子供達のステータス画面を見てみて驚いた。

 すでに、持ち物スキルが存在していると言うことは、先程魔物を倒したときにレベリングと同じ効果が発せられたのだろう。

 となると、早かれ遅かれダンジョンライセンスは発行されるのだと思う。

 僕は、散らばっていた薬草を収納スキルで集めると収納し寝ている3人を抱えると入口へと歩き始めた。

 広場まで来ると、すでにリスポーンを終えた盗人がいた。

 「目を見開いてよく見るか、目を閉じて見ないようにするか、弱めてあげるから自分達で倒すか、好きなのを選びなさい」と言うと、2人とも目を見開いて、自分達で倒すと言ってきた。

 僕は、盗人の体力を半分削ると、盗人は僕に攻撃してくる。

 そのすきに、盗人の後ろに回った二人が一体ずつ体当たりして倒していく。

 倒れた盗人からアイテムが出てくるので、2人に持ち物スキルの説明と収めたり出したりするように言うと、器用にやってのける。

 全員倒し終えたので、再び3人を抱えると入口へと急いだ。

 入口に着くとそこには死神がいたが、子供達2人には見えていないようだ。

 「何をしているので?」

 「いやなに、仕事がなくなったから時間潰しにダンジョン攻略できないかと思ったが、それじゃ無理だな。また今度付き合ってくれ。あーそうだそやつらは、目が覚めるのは明日の朝だろう。ダンジョン内にいても変わらないからな」と言い残すと入口から出ていった。

 不思議そうに除きこむ2人に、明日の朝まで目を覚まさない事を言う。

 そして、このまま外に出ると、商店街が騒然となってしまうことを言いどうしようか悩んでると入口から誰かが入ってきた。

 女性のようだ。「お久しぶりね。元気だった?状況は解ってるつもりよ。助けてほしくば条件があるの」

 お稲荷さんの加護をもつこの女性は、公安に勤めている。

 「嫌な予感が・・・」

 「とにかく、全員外に出よう」

 外に出ると、すでに布団が5つ引かれていて、大人達3人が寝かされる。

 「これは、奉行命令でもあるのだけれど、ここの4人でこのダンジョンを攻略するよ。いい」

 「いいって良いけど、この子達も」

 「そう」

 「あの、今何時?」

 「3時半少し前」

 「4時まででいいですか?」

 「十分よ!ではいきましょう」

 そう言うと、子供達の意見も聞かずにパーティーを組みダンジョンの扉のYes を押すのであった。

 

 


 

 

 

 

次回は鷹之助が活躍します。

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