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俺は魔王じゃねえ! ~転生董卓の悪名返上記~  作者: 青雲あゆむ


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2.天子ゲットォ!

光熹(こうき)元年(189年)8月 司隷(しれい) 河南尹(かなんいん) 洛陽(らくよう)


 オッス、おいら董卓!

 昨夜はいろいろ考えてるうちに、眠ってしまった。

 おかげで心身ともに調子がいい。


 そこで朝食を済ませると、今後どうするかを考えた。

 今、俺は洛陽の西部に、軍勢と共にある。

 これは大将軍の何進が、妹の何皇太后に圧力を掛けるために呼び寄せたからだ。

 俺の他にも東郡太守 橋瑁(きょうぼう)と、武猛都尉 丁原(ていげん)が召喚されてるはずだ。


 ここで重要なのは、洛陽がどんな状況にあるかだ。

 おそらく何進が暗殺される直前であろうが、それがいつ起こるか知りたい。

 ということで、周囲に偵察兵を放っていたら、思いのほか早く事態が動いた。


「董卓さま、洛陽方面で多数の煙が確認されています」

「むう、何やら異変が起きたようだな。いつでも動き出せるよう、準備を整えよ」

「はっ」


 どうやらすでに、何進は暗殺されたらしい。

 それに激怒した袁紹たちが、宮中に押し入って、宦官を虐殺してるんだろう。

 そうすると、宦官の手で脱出した天子の一行が、洛陽の北へ逃れるはずだ。

 すでに偵察兵は出してあるので、その報告を待つとするか。


「報告します。洛陽の北にて、天子さまの御一行と見られる一団を発見しました」

「なんと! ただちにご保護たてまつるのだ。すぐに動ける者だけで先行するぞ。残りは後から来い」

「はっ、かしこまりました」


 俺は200人ほどの騎兵と共に、天子の下へ急行した。

 やがて天子の一行を見つけ、名乗りを上げる。


「前将軍 董卓である。陛下が洛陽を脱出したと聞いて、駆けつけた。陛下はご無事か?」

「ええい、騒々しいぞ。陛下が怯えておられるではないか。ただちに兵を退け!」


 そしたらどっかの官吏が偉そうに言うので、逆に一喝してやった。


「やかましいっ! 貴様らは陛下をお守りする立場にありながら、このような場所で流浪させているではないか! かような仕儀、見捨ててはおけぬわっ!」

「ぐう……しかし貴殿はたしか、并州刺史(へいしゅうしし)に任命されていたはずだ。貴殿の出る幕ではないであろう」

「いいや、我らは何進大将軍からお召しを受け、近くに待機していたのだ。こうしてお会いできたのも何かの縁。以後、陛下の護衛は我らが担う!」

「くっ……やむを得んか」


 なおも抵抗する男を、勢いで押し切った。

 実際、天子の一行は20人足らずの集団で、頼りないことこのうえない。

 俺はこれ幸いと主導権を握り、護衛態勢を整えた。

 そして後続が追いつくまでの間に、天子である劉弁と対面する。


「前将軍 董卓にございます。たまたま近くにおりましたので、以後の護衛は私どもが担当いたします」

「うう、昨日から動きどおしでクタクタだ。朕を早く宮中に戻せ!」

「畏まりました。後続の部隊が追いつき次第、洛陽へお連れいたします。今しばらくのご辛抱を」

「なるべく早くしろよ、ヒゲ親父!」


 どうやら天子さまは、ずいぶんとお疲れのようだ。

 まあ、慣れない洛外に連れ出されたんだから、それも当然か。


 それにしても、初対面の将軍にヒゲ親父はないだろう。

 まあ、まだ14歳のガキで、派閥抗争の結果で即位したような男だから、こんなもんかな。

 たしか三国志では、まともに会話ができないと言われていたが、それほどでもないようだ。

 いずれにしろ、こうして無事に天子をゲットできたんだし、俺に権威を与える元になるんだから、大事にしてやろう。


 その後、追いついてきた後続部隊と合流し、洛陽へ向かう。

 3千人もの軍勢に加え、天子一行というお荷物付きだ。

 その歩みは遅く、ようやく日暮れ間際に到着した。

 しかし当然ながら、すんなりと入城できるはずもない。


「止まれ! 現在、洛陽は緊急事態にて封鎖されている。このような軍勢の入城は許可できぬ!」

「やかましいわっ! 儂は前将軍 董卓である。洛外にて陛下をご保護し、お連れした。ただちに開門せよ!」

「な、なんだと!」


 するとようやく事態を察した有象無象が、わらわらと出てきた。

 そして劉弁の存在が確認されると、ようやく入城できた。

 その際、劉弁と切り離されかけたが、安全確保のためと言って強引に同行する。


 そのまま宮中まで進軍して、居場所を確保した。

 もちろん、劉弁と弟の劉協は手の届く範囲に留めている。

 さて、ここまでは史実どおりにやれただろう。

 今後は史実の暗殺や悪名を避けるべく、立ち回らないとな。

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