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第8話

第18章


ご主人様より先に目が覚めた。毛布からはみ出した二人の体が発する光が洞窟を照らしていたが、外からかすかに差し込む明かりで、夜明けはもうそう遠くないとわかった。春が来て、日が早く昇るようになっていた。


ご主人様を見た。昨夜の戦いから戻ったときのあのひどい傷が、今はもうない。いつもそれを確かめるとほっとした。今夜は何体だっただろう。二十?二十五?あれほどの超人的な力を持つ人でも、多すぎるほどだ。いつも同じだった。彼が怪物たちをすべて倒す間、ザッシュは門の安全な側から無力に見守るしかなく、彼はほぼ満身創痍になって戻ってくる。それでも彼は意に介さないようだった。目が捕食者のものに変わった瞬間から、自分の命などどうでもいいのだ。あの場にいる中で最も危険な怪物に変わる。


自分も大分うまくなっていた。魔族の半分を完全に制御できるとは言えないが、あの内側のエネルギーにもう塞がれることはなかった。今なら怪物たちのそばにいることもできた、ただし向こうが彼女を完全には同族と感じ取れないせいで攻撃してくることがあった。だから近づきすぎたら門へ逃げ込む。何でもするから、もっとご主人様の役に立ちたかった。伝えてみると、彼は囮になってくれるだけでも十分に助かっていると言った。おかげで任務が早く進んでいると。厳しくて言葉はいつも短い人だが、その言葉がどれほど嬉しかったか。その後何日かの間、ふとした瞬間に一人でにやけてしまっていることが何度もあった。


その朝は眠れなかった。特別な日だったから。前夜にご主人様からいつも通り給金を受け取ったとき、袋に入れようとすると、今日は街へ行って森では手に入らないある薬草を買ってくるよう言われた。残りの時間は自由にしていいとのことだったので、メラを訪ねてまた一緒に買い物に行こうと思っていた。今度は自分で稼いだお金で。


メラとハノトへの贈り物も買いたかった。会ったのは一度だけだが、二人はザッシュに本当によくしてくれた。それに、あれから時間が経って、今はメラのことをもっと近しく感じていて、話したいことがたくさんあった。あの頃より自分はずいぶん変わったと思う、良い方向に。それを誰かと分かち合いたかった。ご主人様とは一緒に生きていて、二人でこの森の中にいて、稽古を遠くから眺めて、門の安全な側から戦いに付き合って、毎晩狩りの後に寄り添って眠る。それでも彼はやはり遠かった。閉ざされていた、届かないところにいた。そばにいるようで、実は全然違う世界にいるようだった。ザッシュは一人だった。



「ご主人様、ほかに何もなければ……」


朝食と午前の仕事を急いで済ませてようやく自由になれた。でも今になって、気になり始めた。自分がいない間に何か必要になったら?それは考えすぎだ、わかってはいる。でも、もし……


「行け」彼は心を読んだかのように言った。訓練に出かける支度をしながら。


「はい、ご主人様」



ようやく街が見えてきた。ザッシュは道中ずっと楽しい気分で、笑顔で景色を楽しみながら歩いていた。春の森は色とりどりで明るく、歩きながら計画を練るのが楽しかった。どんな贈り物が喜ばれるだろう?手持ちのお金が高いものを買えるほどあるかどうかわからなかったが、服を買うときのメラの交渉のやり方をいくつか真似てみようと思っていた。ハノトもメラも素晴らしい人たちだ。ご主人様の薬草を手に入れたら、あとは持っているお金をすべて使って二人のために一番いいものを探すつもりだった。


もう最初の家並みが近くなり、計画を考えながら笑顔でいたとき、突然体が固まった。



荷馬車の先端が見えた瞬間に、それとわかった。頭目の馬車だ。


雑種は残りの隊商がゆっくりと現れて自分のいる道に入ってくるのを見た。鉄格子のはまった次の二台を見た瞬間、ぞっと悪寒が走った。通り過ぎるために道の端へ体を動かすのがやっとだった。


「おや、これは驚いた。こんなことがあるとはな」


頭目が馬車を止め、後ろも連なって止まった。後尾から馬に乗った誰かが顔を出し、やがてよく知っている二人も近づいてきた。雑種は体が石になったようだった。頭も動かなかった。逃げることも、何か反応することすら思い浮かばなかった。あの男たちの前で、急に無防備になってしまった。


「信じられない」と若い方が言った。


「まだ生きてたのか」と二番手が言った。「あのとき、あの変な男が夕飯に食ってしまうと思ってたが」


「見ろよ、服がいいな」若い方が続けた。「ちゃんと食べてるんだろ?前と同じで痩せっぽちだが、今は健康そうに見える」


「なあ」と二番手は、ずっと黙って興味深そうに雑種を見ていた頭目に言った。「今の方がましに見えるが、多少は売れると思うか?」


雑種はほとんど息もできないほど震えていた。体が言うことを聞かない。あの男たちが目の前の虫について話している。


『助けて……ご主人様、助けて……お願い……ご主人様、お願い……!』


「ならん」と頭目はようやく答えた。「前のことを覚えているだろう。誰もこういうものは欲しがらない。売れたとしても、利益より面倒の方が多い。行くぞ」


また動き出し、雑種を無視した。隊商が完全に道の向こうへ消えても、雑種は長い間、動くことができなかった。体が言うことを聞かなかった。



引き返してご主人様のいる洞窟へ逃げ帰りたくなった。でもそれはできなかった。ご主人様から仕事を言いつかっていた。それを果たさなければならない。前へ進む気力はなかったが、命令を受けていた。もし従わなかったら?一緒にいるこの時間の中で、いつか追い出されるかもしれないという恐れはだいぶ薄れていた。でも今まで直接ルールを破ったことは一度もなかった。


選択肢はなかった。続けなければならない。どうにかしてご主人様の薬草を手に入れ、そのあとすぐに家へ戻る。それだけを考えた。他のことは何も考えられなくなっていた。



最初に隊商を見た大通りから街に入ろうとしたが、どうしてもできなかった。近づくと、ある女がよく知っているあの目でこちらを振り向くのが見えて、できるのは横の路地へ逃げ込むことだけだった。誰かとすれ違わないようにしながら少し歩いてみたが、この辺りはよく知らないし、こんなやり方では薬草屋など見つかるはずがなかった。


時間が過ぎるにつれて雑種の焦りは深まっていった。なるべく人目につかないよう狭い裏道を歩き、誰かの気配がすれば隠れ、確信が持てなければ引き返した。


このままでは薬草屋にはたどり着けない。たとえ場所がわかったとしても、途中で誰かに会わずにたどり着く方法などあるだろうか?路地を歩く半魔が見つかったら、どうなるか。もうほとんど無理だと思い始めていた。ご主人様から命令を受けていた。それに逆らうことなど考えられなかった。でも、できなかった。


できない。これには立ち向かえない。


話し声がして後ろに通り過ぎてきた二人の男に気づかれずにやり過ごしたが、次の角を曲がったところで誰かが近づいてくる気配がした。パニックに陥った。あたりを見回すと、樽がいくつか置かれた細くて汚い路地があった。泣きながら震えながら、その後ろへ駆け込んで身を隠した。



「なんだ……!」


「どうした?」


「くそっ、これを見ろ」


最初の男は雑種を見て飛び上がり、今は嫌そうな顔で近づいてきた。雑種は恐怖で体が固まっていた。ここは行き詰まり、逃げ場はない。


「半魔じゃないか!こんなものがここで何をしてる?」


「知らないぞ。おい、お前!」


男は乱暴に腕を掴んで引っ張り上げた。雑種はもう片方の手で顔をかばった。


「俺の樽を盗もうとしてたのか?ただで飲もうっていうのか?」


「待て、俺に任せろ」ともう一人が言った。「見ろ、袋を持ってるぞ」


後ろにいた男が近づき、胸ぐらを掴んで、雑種の腰についている金袋へ手を伸ばした。


ご主人様の薬草代!


突然の動きが二人を驚かせた。振り払ってその場を転がり、壁を背に床に座り込んだ。目を見開いたまま二人を見て、袋をしっかりと抱え込んだ。


「行くぞ、中で待たせてる。こいつを追い出したら樽を動かすのを手伝ってくれ」


「ああ、すぐに」袋を奪おうとした男が、雑種が必死に隠そうとする袋を見ながら、ぞっとするような笑みを浮かべた。「それは盗んできたんだろ、この魔族め?よこせ、そうしたら見逃してやる」


腕を伸ばして近づいてきた。雑種にできることは袋を完全に抱き込んで守ることだけだった。しかしその男は強すぎた。手首を掴んでねじり上げ、痛みで悲鳴を上げた。それでも放さないのを見ると、もう片方の手で思い切り殴りつけ、頭が後ろへ打ちつけられた。倒れながら血の味がし、壁に頭を打ちつけたとき鋭い痛みが走った。


一瞬意識が遠のいた。次に感じたのは、足首を掴まれて床を引きずられる感覚だった。


「失せろ、このゴミが!」


雑種はどうにか目を開けた。見えたのは、あのぞっとするような笑みを浮かべた男の手の中の金袋だけだった。ご主人様の薬草代。


突然、全身に熱が爆発するように広がり、視界が真っ赤に染まった。知らないうちに力が湧いてきて、男に飛びかかり袋を引きちぎった。背中から床に倒れて、信じられない速さで体を回転させて走り出そうとした……


……そのとき、脇腹に激しい衝撃が走った。何か重いもので殴られた。その小さな体が地面から浮き上がるほどの力で、壁に叩きつけられた。


「この……虫けらが!」


息ができなかった。動けなかった。雑種は地面に落ちた袋が拾い上げられるのを、ただ見ていることしかできなかった。腕を伸ばしたが持ち上げられなかった。ぞっとするような笑みの男が手を踏みつけ、髪を掴んで頭を後ろへ引きずり起こした。


「ぶちのめしてやる」と獰猛に言った。


「もういい、手を貸してくれ」ともう一人の声がした。樽の一つを動かしていた。「ワインが欲しいんだろ?」


髪を放された。顔が床に叩きつけられた。袋を持った男が立ち去るのを、動けないまま見ていた。そのとき頭にあったのは、ご主人様にどう説明するかということだけだった。



第19章


説明はいらなかった。


午後も遅い時間に、ザッシュが洞窟の入口に現れた。震えていた。顔の半分が殴られて腫れ上がり、あの極めて白い肌は汚れで灰色になり、頬に涙の跡が残っていた。ご主人様の顔を見た途端、また泣き始めた。


死影は短剣の一本を手入れしながら座っていたが、顔を上げて彼女を見た。冷たい目で一瞬静止したかと思うと、何も言わずに短剣を置いて立ち上がり、黒いマントへと歩いていった。



酒場の扉を開ける前から、ザッシュには中の賑やかな騒ぎが聞こえていた。ご主人様が先に入ると、一瞬で深い静寂が落ちた。


後について入ると、木の床板の上に自分の軽い足音だけが聞こえるほどだった。圧倒される光景だった。場所は人でいっぱいだったが、息一つ聞こえなかった。彼女が入っても誰も気にしなかった。黒い頭巾の男を見る、本物の恐怖に染まった顔しかなかった。


「いますか」


ザッシュは場内を見回した。あの恐怖にひきつった顔が並ぶ中では、みんな同じに見えそうだと一瞬思った。ぞっとするような笑みの男を見落としそうになったかもしれないが、凍りついたような人々の中で一つの頭がゆっくりと沈んで隠れようとしているのが目に入った。


指さすまでもなかった。ご主人様はザッシュの目の表情を読んで、まっすぐその男へ向かった。誰もが瞬時に道を開けた。


ぞっとするような笑みの男は、もう笑っていなかった。顔面蒼白で、手のひらを前に向けて押し出し、向かってくる死神を止められるかのように身構えていた。


「あなた……俺は……俺は……知らなかったんです……」


ご主人様は一言も言わなかった。そのまま近づき、手を伸ばして男の腰から袋を引きちぎった。そしてすぐに振り返ってザッシュのところへ戻り、袋を彼女の手に置いた。自分の袋よりずっと重かった。黒い影を見たが、彼はもう立ち止まりもせず出口へ向かっていたので、迷わず後に続いた。背後に完全な静寂を残して、二人は出ていった。



家への帰り道も、言葉はなかった。ザッシュは腰に金袋をつけ、薬草の包みを手に持ち、ご主人様の隣を歩きながら物思いにふけっていた。


強くて、誰もが怖れる人。過去に何があってこれほど深くみんなに恐怖を刻み込んだのか、想像もできなかった。でも、自分が見てきたことはわかっていた。


そしてそれはこの人にとって、まったく関係のないことだった。仲間や味方を作ろうとしない。自分の復讐以外のために何かをしようとしない。自分にはとても良くしてくれていて、自分自身よりもずっと丁寧に接してくれていると思う。でも心のどこかでは、必要になれば何もかもを捨てて一人で進み続けることを迷わないとわかっていた。目的を果たすまで止まらない。強い人だ。でも、その強さは戦い方や剣の腕だけではなかった。



洞窟に着くと、ご主人様は薬草を受け取り、ザッシュが座れるように椅子を引いた。座ると、布をかぶせた器を近くに押し出してくれた。


「食え」それだけ言って、外へ出ていった。


彼が出ていくのを見て、器を見た。布を取った瞬間、また涙が溢れた。塩味のあるパイが入っていた。ザッシュが一番好きなやつだった。出かける前に、準備して残しておいてくれたのだ。



◆◆◆



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


この章はザッシュにとってとてもつらい場面が続きました。でもその痛みこそが、彼女をさらに強く変えていくきっかけになります。ご主人様の無言の優しさと、ザッシュの成長の兆しを、どうか感じていただけたら嬉しいです。次章もどうぞお楽しみに。

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