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第7話

第16章


目を覚ました。最初に目に入ったのは、丸椅子の上に丁寧に畳まれた自分の服だった。体を動かそうとすると、石になったようで動かなかった。また意識を失いそうだったが、まだ少し鈍い感覚から届き始める情報が彼女を目覚めたまま留めた。


新鮮な草の香りがした。自分の肌も、寝台も。洞窟の外から光が入っているのがわかった。昼をだいぶ過ぎているはずだ。起き上がらなければならない。でも指一本動かすことすら不可能に思えた。


聞き慣れた音がした。何かが何かに擦れる、規則正しいシュッシュッという音。ご主人様が双剣を研いでいる。ご主人様……


一気に意識が覚醒した。起き上がらなければ。今すぐ。


そのとき、もう一つのことに気づいた。何かを身につけている。覆われている感じがする……下着のような?濡れている。これは何だ。


すぐにわかった。おむつだった。なぜすべてが草の香りをしているかも、わかった。恥ずかしさと驚きで体が強張った。


途方もなく長い苦闘の末、ようやく半ば這いながら寝台を出ることができた。ご主人様は背を向けて座っていた。自分が起きたことには気づいているに違いなかった。しかし、彼女が服を取り、おむつを手で押さえながらよろめいて急いで外へ出ていく間、砥石が刃を滑る規則正しい音はまったく変わらなかった。



戻ると、食事が火にかかっていた。ご主人様は変わらず落ち着いた様子で双剣を研いでいた。座ったとき、ザッシュは彼の手が前腕の半ばまで包帯で巻かれ、折れているらしい骨を固定するように添え木が当てられていることに気づいた。顔の半分もひどい傷でただれていた。確実に激しい痛みを感じているはずなのに、それを無視するかのように、ただ静かに砥石を刃に滑らせていた。彼女は口を手で覆い、涙がこみ上げるのを感じた。


「何があったんですか」しばらくして、途切れがちな声でどうにか言えた。


「魔族に会ったことはあったか」


ザッシュは目を伏せた。


「いいえ、ご主人様。話は聞いていました。お母さんが……」


ぞっとして言葉が止まった。お母さんはどうして、あんな存在と……


「魔族は互いにまったく異なる」ご主人様は彼女の考えを見透かしたように言った。「お前が見たのは魔獣だ。しかし人間に近い姿を持ち、同じくらい知性のある上位魔族もいる。そちらの方がはるかに強い。」


「あなたは……魔族を殺しているのですか?魔族が憎いのですか?」ザッシュは答えを聞くのが怖かった。でも聞かずにはいられなかった。


「あの場所はわたしの故郷だ。侵略されて滅ぼされ、お前が見たもの以外には何も残っていない。あの地で見つけた侵略者を一人残らず殺す。解放できたら、その次は元凶を探す」


一瞬、こちらへ顔を向けた。傷だらけの顔の中で、あの捕食者のような目が再び光った。


「そして、殺す」


それだけ言うと、また双剣に向き直った。


ザッシュはもっと聞きたかったが、踏み込んでいいかわからなかった。食事の匂いが漂い始め、立ち上がって火から下ろした。器によそったが、空腹を感じていても、もっと知りたいという気持ちの方が強かった。


「どのくらい眠っていましたか」


「三日だ」


目が覚めたときに気づいたことを思い出し、恥ずかしさに消えてしまいそうだった。しかし今はもっと大事なことがある。


「ご主人様、わたしに何が起きたかご存知ですか」


「魔族は人間とは違う。年を経るごとに強くなり、古いものほど危険だ。生まれたときはほぼ力がなく、力が育つにつれて慣れていく。お前は人間の中で育ったから、おそらくその力があることすら知らなかったのだろう。あいつらと出会ったことで本能が目を覚ました。今後さらに強くなっていく。制御することを学び、その力とともに成長しなければ、最後にはお前を殺す」


双剣を研ぐ手を止めることも、表情を変えることもなく言った。ザッシュはそれとは対照的に、その言葉一つ一つが鋭い刃のように胸に突き刺さるのを感じた。


自分はあの者たちの一つなのだ。これまでもずっと半魔として扱われ、それがひどいことだとわかっていた。でもそれは外からやってくるものだった。世界が自分に突きつけてくるものを、ただ受け入れてきただけだった。それが本当は何を意味するのか、自分の中で本当の意味で理解したことはなかった。しかし今、それを内側から感じた。腹の底から。あの怪物たちが感じていたものを感じた。繋がってしまった。今こそ、自分がどれほど呪われた存在なのかがわかった。


長い沈黙の後、ザッシュは再び口を開いた。声が途切れ、涙がこぼれそうだった。


「わたしを、追い出しますか」


ご主人様は刃の鋭さを確かめながら、表情一つ変えずに答えた。


「ルールは守っている。お前の助けは代わりがない。わたしが頼れる中で最も価値がある。追い出す理由はない。食べろ」


ザッシュはもう限界だった。堰を切ったように泣き崩れた。こらえようなどしなかった。あまりに多くのことが、あまりに長い間、積もり積もっていた。腹を抱えて前のめりに崩れ落ち、声にならない叫びを上げて泣いた。しばらくそうしていてから立ち上がった。彼のそばへ行かなければならなかった。どうしても。テーブルを回り込んで……


……触れることができなかった。彼はあまりにも遠かった、手が届かなかった。抱きしめたかった。抱きしめてもらいたかった。でも二人の間には越えられない距離があった。物理的な障壁ではない、毎晩彼の腕が自分の小さな体を包んで眠りについていた。何か別のものだった。結局ただ彼のそばに膝から崩れ落ち、喜びと痛みの入り混じった涙を流しながら、まったく同じ状況の中でメラが見せたあの姿が頭に浮かんだ。今ならわかる。多くのことが、わかった。


ご主人様は彼女を見なかった。彼女が床に膝をついて泣いている間も、彼はただ持っていた剣の刃が十分に研げたと確かめると静かに置き、次の一本を手に取った。



第17章


「これが計画だ。わたしが先に入り、近くに魔獣がいないか確かめる。合図したら出てこい。何かあれば連れて戻る。いても遠ければ、お前の感覚への影響は低いはずで、制御できるかもしれない。いずれにせよ、限界だと思ったらすぐに知らせろ。わかったか」


「はい、ご主人様」


「門に戻れば安全だ。こちら側から渡った者にしか見えないし、戻ることもできない。お前の目的は奴らを引きつけ、すぐに逃げることだ。準備はいいか」


「はい、ご主人様」


「言え」


「準備はできています、ご主人様」


本当はできていなかった。でも構わなかった。何でもやる。どんなことでも。ご主人様は囮が必要で、自分はそれに打ってつけだった。いざとなれば必ず守ってくれるとわかっていた。怖いのは前回感じたあれが、また来ることだった。あの力、自分の中の怪物。叫んでいた。呼んでいた。


でもやらなければならなかった。選択肢はない。あの本能を制御できなければ、いつか自分を殺すと言っていた。全身が震え、今にも足が崩れそうなほど怖かったが、引き返せなかった。ご主人様が一瞬こちらを見て、それから門へと踏み込んだ。


彼が離れていき、あたりを行き来しながら遠くを観察するのを見ていた。しばらくして戻ってきた。


「今出ろ」


ザッシュはどうにか勇気を振り絞り、一歩踏み出した。次の一歩、またその次。完全に外に出た。


焼けた命の匂い、血の匂い、破壊の匂いがした。空を覆う雲は、その下に広がる景色を映してさらに黒ずんでいるように見えた。燃え尽きた木の残骸と、あちこちから突き出した枯れた根。かつてはここも、自分たちが住む場所のような森だったのかもしれないと思った。今は荒野だった。


「何も感じません」ご主人様の目に答えた。


「行くぞ」


傷ついた大地の上を歩き始めた。ザッシュの胸に複雑な感情が渦巻いた。この場所は、今自分が共に生きているあの謎めいた男の歴史の一部だった。状況が違えば、もう少し彼に近づけたような気がして、それが嬉しくさえあったかもしれない。しかし今はそうではなかった。


これほどの惨状を生み出すことのできる災厄が、どれほどのものだったか、想像も及ばなかった。かつてここに命があったことはわずかに感じ取れたが、今残っているのは死だった。それよりもなお、ひどいものが残っていた。


黙ってご主人様の後について丘の頂上へ登ると、向こうに広い谷が見えた。低い地形のおかげで、遠くまで見渡せた。どこを向いても、その大地が黒と灰だけであることを目の当たりにするのは、圧倒的だった。


遠くには廃村らしき残骸がいくつか見えた。それ以外は一面同じで、何も動いていなかった……ただ一点を除いて、ザッシュが遠くに気づいた。


「ご主人様、あそこに何かいます」


指さすと、男は一瞬こちらを見てから、彼女の指す方向に向き直った。


「岩の群れの手前か、向こうか」


「向こうです。もう少し遠く」


「もっと見えるか」


「いいえ、動いているものがあるだけで、何かはわかりません。魔獣かどうかも感じ取れません」


「魔獣だ」と彼は断じた。


それ以上は何も言わず、少し離れたところまで歩き、腰から紐で結ばれた小さな瓶を二本取り出した。地面に置いて戻った。


「感じ始めたらすぐ知らせて、門へ走れ」


ザッシュは頷いた。


「耳を塞げ」


そうした。次に起きたことへの覚悟はできていなかった。ご主人様は地面から石を拾い、瓶を置いた方向へ向き直り、力強く投げた。そしてすぐに振り返り、彼女をしっかりと抱きしめた。


抱擁に驚く間もなかった。爆発があまりにも巨大で、足元の地面が揺れた。目と口が開いたが、彼が放すまで動けなかった。


瓶があった場所には今や大きな穴が開いていた。黒い煙の柱が雲へと向かって立ち上っていた。ザッシュは、先ほど指さした方向を見つめているご主人様を見た。


「こちらへ向かっていますか」


「はい……はい、ご主人様。二体だと思います。そして……飛んでいます」


最後の言葉はやや驚きを帯びていた。男はその向かってくるものに集中しているようだった。


「本能を感じたらすぐ知らせて走れ」


もう少し待った。二つの点が大きくなっていくのが見えた。まだ細部は見えないが、思った通り、巨大な翼があってこちらへ近づいてくる。


「今です、ご主人様」ザッシュが震え始めた。


死影が静かに彼女を後ろへ押した。


それだけで十分だった。内側から熱が溢れ出すのを感じながら、全力で走り出した。まだ麻痺するほどではなかったが、視界が鮮やかな赤に染まり始め、全身の血管を流れる血の一滴一滴の位置が突然わかるような感覚に陥った。


二体の魔鳥はご主人様に気づいていたが、彼女がいることも感じていた。近づくにつれて細部が増えていった。最初は翼がはためく音、次いで荒い息づかい、歯ぎしり、血への渇望。自分の中のあれが膨らみ続けるのを感じながら、ついに門に飛び込んで向こう側へ転がり込んだ。息を切らしながら、内側で燃えていた炎が唐突に消えた。振り返ると、こちらを一瞬見たご主人様が向き直り、双剣を抜いて魔鳥たちに向かっていく姿が見えた。



◆◆◆



最後までお読みいただき、ありがとうございます。


ザッシュは確実に成長しています。出会った頃の彼女とはもう明らかに違います。これからも自らの本質と向き合い、共存する術を学んでいかなければなりません。まだ大切な一歩を踏み出すべきことがあり、発見すべきものがたくさんあります。この旅を、どうぞこれからも一緒に歩んでいただければ嬉しいです。

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