第20話
第53章
通路を上るにつれて、廊下は広くなり、より豪華な造りになっていた。もうすぐだ。死影は足を止め、小さな赤い巻物を取り出して、しばらく手の中に持ちながら黙って何かを唱えた。突然、巻物が燃え上がり、その手が炎の塊になった。そして跡形もなく消えた。死影は歩を再開した。
第54章
巨大な扉が少し開き、その陰から人影が現れた。広間の両脇をさっと見渡してから、正面の玉座へ目を向け、歩み始めた。偉大なるラウグ・カーは、頬杖をついてその者が近づいてくるのを眺め、動かず、一言も発しなかった。
人間が王の前に立った。膝もつかず、頭も下げず、恐れも服従の素振りも微塵も見せなかった。そんな冒涜を犯した者は、これまで一人もいなかった。
「一つ、頼みがある」とただそれだけ言った。
この虫けらは、まるで対等な者に話しかけるかのように口を利いた。魔石を持っていたとしても、魔王の絶対的な御前で一言でも発することを許すこと自体すでに即座に滅ぼすべき行為だというのに、おまけに自分の立場も、誰に向かって話しているかも、まるでわかっていないかのように話しかけてくる。あまりにも馬鹿げた大胆さに、ラウグ・カーは奇妙な興味の欠片を感じた。そして同じくらい考えがたいことをした——答えてしまったのだ。
「話せ」
「お前が強いと思っていた。最強だと聞いていた。だが今見て、思ったより大したことはないな」
王は内側に、これまで感じたことのない熱を感じた。表情を変えずに歯を食いしばった。偉大なる王が、ただの人間の言葉ごときに揺らぐはずがない。来訪者は続けた。
「機会をやろう。最初に打たせてやる、防がない。ただし全力でやることを約束しろ。最高の一撃を見せろ。失望させるなよ、魔物」
偉大なるラウグ・カーは全身が怒りで震え、その目の炎が激しさを増して広間全体を照らし出すかのようだった。ゆっくりと立ち上がり、その圧倒的な存在の威厳を保とうとした。
「願いを聞き届けた」低く抑えようとしたが、その声は地鳴りのような轟きになった。
人間に向かって歩み寄った。その者は冷静に、その態度で侮辱しながらこちらをまっすぐ見ていた。怒りを抑えようとしたが、ついにその前に立ったとき、もはや必要もなかった。あの長い年月の末に、この取るに足らない存在が現れ、ほんの数瞬で、思考もままならぬほどの激情を引き起こしてしまった。全身に力を込め、凄まじい叫びとともに、全力を込めた拳を放った。
その一撃で地面が揺れ、人間の姿は瞬時に弾け飛んだ。背後の柱に激突してそれを砕き、広間の奥の壁まで吹き飛んで、破片と砂埃が舞い上がった。
ラウグ・カーの巨大な姿が改めて周囲を制するように立ちはだかった。しばらく静寂の中で立っていたが、怒りが散ると、ようやく気づいた。踵を返して玉座へ向かい始めた。あの虫けり一匹のために平静を失ったというのか?馬鹿げている。自分が、世界の未来の主が、どうして——
足音。
魔王は再び振り返り、広間の奥を見て、目を疑った。
足音。人間は生きていた。
しかし……なぜ……
生きていて、こちらへ向かって歩いてきていた。ゆっくりと、落ち着き払って、無造作に衣についた埃を払いながら。
「思った通りだ。期待外れだ」
ラウグ・カーは呆然と口を開けたまま、男が近づいてくるのを見ていた。その言葉が突き刺さった。
「次はわたしの番だ」
ゆっくりと歩みを進めた。敵を直視することすらせず、衣の埃を払いながら、背後で起きていることなど関係ないとでも言うように。しかしその内側では、感覚のすべてが最大限に研ぎ澄まされていた。正確な瞬間を選ぶことが、勝敗を決する。
魔物は巨大だった。まともに一撃をくらえば骨という骨が砕け散る。その力は圧倒的で、魔石があろうとも人間が対等に立てる相手ではなかった——しかし、その瞬間が来ようとしていた。
王は信じられないものを見るような表情で口を開け、目の前で起きていることを受け止めきれずにいた。あと少し。死影は最後の一歩を踏み出しながら、左手がすでに短剣の一本に触れていた。
そしてついに瞬間が来た。ラウグ・カーが、追い詰められ、状況に飲み込まれて、動き始めた——後ろへ。
今だ。
瞬時かつ正確だった。跳躍、腕を伸ばす完璧な動き、短剣が敵の右目の中心から左目のすぐ上の一点まで一線を引いた。魔物の本能的な動きは両腕を上げて守ろうとすることだった。まるで巨岩に叩かれるように死影の胴に衝撃が走り、肋骨が何本か折れた。構わない、想定内だった。短剣の先端は目標に達した、あとは関係なかった。
仰向けに倒れたが、すぐに立ち上がり始めた。魔物は痛みと恐怖の中で叫び顔を両手で覆っていた。必要なものがそろっていた、敵の視界が奪われ、主導権を持てる時間がある。活かさなければならない。空いた手で別の短剣を抜きながら前へ飛び出し、巨体の足の間を駆け抜けながら両足のアキレス腱を鮮やかに切断した。
ラウグ・カーが膝をついて吠える中、人間はその背に飛び乗り、右肩に短剣を突き立てた。精密な箇所を選んでいた。関節を支える腱を正確に断ち、腕の可動域を完全に奪う場所だった。あとわずかだった。
しかしその瞬間、捕まった。まだ使える手に左腕を掴まれ、骨が粉々に砕けるのを感じながら、前方へ投げ飛ばされた。振り払おうとしてのことだった。失策だ。引き寄せたままでいれば、まだ勝機があったかもしれない。だが可動域を失い、さらに相手を遠ざけてしまった以上、もはや相手の思うままだった。
死影は床に叩きつけられ、数歩分転がった。半身が崩壊する衝撃だった。肩、肋骨がさらに、顔の半分、右脚——すべてが痛みだった。ほとんど息ができなかった。構わない。
王を見た。叫びながら地面に転がり、両脚と片腕が使えなくなり、ほぼ動けなかった。顔の造作は、目の辺りから噴き出す血の奔流に完全に覆われていた。
どうにか人間は立ち上がり、腰から長剣を引き抜いた。ラウグ・カーには近づいてくるのが見えなかった。腕を動かすこともできずにいると、素早い動きで肘のところから綺麗に切り落とされた。
痙攣しながら体を回転させて仰向けになり、叫び続けた。人間がそのそばに立った。かがんで袖で顔の血を拭い取ると、王は無事な方の目の瞼を開けることができた。
「なぜ両目を潰さなかったかわかるか、魔物よ」
王は答えられなかった。パニックに陥ったまま口ごもっている間に、敵は完全に立ち上がった。もはやただの人間ではなかった。氷のような目を持つ、黒い死神の化身だった。
「お前はわたしの故郷を滅ぼした。わたしは家族が死ぬのを見ていた」
魔王ラウグ・カーは、純粋な恐怖の表情を浮かべながら、死神の言葉を聞いていた。
「今度はお前が、見る番だ」
第55章
将軍が戦闘区画の端まで来た瞬間、ザッシュはすぐに弓を下ろして矢を抜き、放つ体勢を取った。父はその代わりに、ただ頭を下げ、武器を外して地面に置き、丸腰のまま歩み続けた。
ザッシュは弦を引き絞り、魔族の半分の力をすべてその一射に込めた。心臓を狙い、全身全霊で放った。矢は完璧だった。止まらない。目標を外すことなど、あり得なかった。彼は——
止めた。
当たる寸前に止めた。指二本で。信じられない速さの動きで。無造作に横へ投げ捨て、ザッシュの呆然とした目の前で歩み続けた。
塞がっている場合ではなかった。ザッシュは弓を捨て、矢筒を外して刀を抜いた。数歩前に出た。父は完全な静けさで近づいてくる。深く息を吸い、内なる魔族のエネルギーを呼び起こし、これまでになかったほどの熱を血の一滴一滴まで沸き立たせた。永遠のような瞬間、構えたまま待ち、敵が攻撃の間合いに入ったとき、決定的な一撃を放った。
また不可能な動きで、気づいた瞬間には手首が折り曲げられ、刀が床に落ちていた。それ以上は見えなかった。もう片方の手で頭を掴まれ、目を覆われた。思うだけで頭蓋を砕けるような指の力を感じた。
「膝をつけ」ようやく声を聞いた。優雅で洗練されていたが、ザッシュにはその感情がわかった。
すぐに反応した。ただし命じられた通りにではなかった。足の高さを狙って蹴りを入れてバランスを崩そうとした。当たった感触があったが、柱を蹴ったも同然だった。微塵も動かなかった。代わりに、額への激しい圧迫が一瞬緩んだと思ったら、すぐに下から顔の側面に手の甲の打撃を受けた。首が消え去るかと思うほど凄まじく、空中で一回転して落ちた。完全に方向感覚を失った。
胸ぐらを掴まれて再び立たされた。
「膝をつけ」彼はゆっくりと、抑えながら話した。
ザッシュはどうにか目を開け、突然力が戻ってくるのを感じた。
「先に死ぬ」
突然後ろへ突き飛ばされ、次の瞬間体が真っ二つになるような凄まじい打撃を受けた。飛んで柱に叩きつけられ、そのまま地面に倒れて痛みにもがいた。
「いや、先にではない。これほど脆い者を殺さずにいるのは難しいが、まず自分の立場を知ることになる、保証しよう」
『時が来たら、お前の父親が教える』——死影は決して間違えなかった。将軍は強く、自分の成長はまだ完成していなかった。何かが足りない。何が?
また今度は首を掴まれ、立ち上がらせられた。
「膝をついて、楽な終わりを願え、雑種め」
手がなかった。強すぎる。ザッシュは目を狙った。無駄だった、指を掴まれた。折らないように自制しているのが感じられた。彼の意図はもうわかっていた。肉体の痛みで服従させるのではなく、自ら劣ると認めさせることで、精神を砕くつもりなのだ。死影がすでに知っていたことを、今理解した。この世に存在する最も危険な上位魔族の、唯一の弱点が何であるかを。
「わたしは雑種、そしてあなたの娘でもある」どうにか言えた。「これがあなたの血の価値だ」
今度の打撃はより激しく、頭の半分を砕かれるかと思うほどだった。ザッシュは転がって転がって、戦闘区画の反対側の砂袋に激突した。体はほとんど言うことを聞かなかった。しかし傷を与えられたと確認して、一瞬エネルギーが閃くのを感じた。
「腹が立つだろう、父。わたしが人間との弱さの産物だということが。完全な魔族でさえないということが」
「お前に魔族としての誇りなど何もない。わたしの血など、何もない」と近づきながら言った。ゆっくりと抑えながら話していたが、その落ち着きの下では以前より攻撃的な響きがあった。「お前はただの人間に偶然の贈り物があるだけだ。死んでいるべき存在だった。わたしが片付けてやろう」
ザッシュがどうにか立ち上がったとき、また衣を掴まれて積み重なった鎧の山に投げつけられた。硬い金属と鋭い縁に叩きつけられた痛みは、体のほぼどこにでも刺さるほどだった。
不可能だった。勝てない、釣り合わない。今まで殺されなかった唯一の理由は、命を奪う前に意志を完全に砕こうとしているからだ。師から教わったすべてを学んだ、限界まで鍛えた、しかしもう出せるものがなかった。
しかしそれで止まりはしなかった。増え続ける痛みに必死に抗いながら、立ち上がって敵の目をまっすぐ見た。
「そうだ、本当に人間よ。わたしの母と同じように。あなたが母を生きたまま壊して、わたしは母が道端で死んでいくのを見た」
最後の言葉を、腹の底から湧き出る戦慄とともに吐き出した。ナドレルが目の前に立ち、その言葉を聞いて軽蔑の笑みを浮かべた。
「膝をつけ、人間め」
しかし彼女は続けた。
「そしてわたしは魔族でもある、あなたと同じように。人間で魔族の、あなたの娘が、今あなたに罪の代償を払わせる」
『己の体の道は、二つに分かれた一つの円として生きよ。ずっとその中にあった人間の半分と、まだ知り始めたばかりの魔族の半分。』
彼は唇を固く結んで喉を掴み、凄まじい力で下へ押しながら、膝を地面に落とさせようとした。ザッシュは全身を張り詰めさせながら、膝がゆっくりと床に近づいていくのを感じた。
『筋肉の一本一本、血管を流れる最後の一滴まで完全に支配する。』
果てしなく長い、限界での戦いが沈黙の中で続いた。一方には抗いがたい押し潰す圧力があり、もう一方には彼女が自分の存在のすべての隅々から、耐えるために、再び立ち上がるために必要なエネルギーを探し続けていた。諦めない。凄まじい苦しみの末にこらえ続け、ついに、彼女を掴む手を掴み返した。
『二つの性質を極め、境目を消す。』
そして突然、ずっとそこにあったのに、自分が理解していなかったものに気づいた。二つの半分などではなかった。分かれてなどいなかった。ザッシュは人間の半分でも魔族の半分でもない――その両方そのものだった。人間としても完全であり、魔族としても完全だった。二つの本質は互いに補い合い、高め合い、まったく新しい力を生み出していた。これまでずっと、自分で自分の限界を決めつけていた。そして今、内側から何かが目覚めていくのを感じた。自分が本当は何者なのかを理解した。本当の意味で、自分の可能性が何であるのかを理解した。
すべてを感じた。二つの性質が出会い、一つになる瞬間を感じた。そして合わさった二つが、それぞれ単独でたどり着けたであろうものより、はるかに、比べものにならないほど大きなものであることを感じた。ようやく、完全になり始めていた。
『それこそが、お前を無敵にする。』
その瞬間、完全に体を起こした。喉を掴む手を力なく払いのけ、敵の目を見つめると、相手がもう自分の死を悟り始めていることが読み取れた。今度はザッシュが父の喉を掴み、力を込めた。相手の目に浮かび上がる恐怖を、静かに、確かに見つめながら。
◆◆◆
最後までお読みいただき、ありがとうございます。ここまでの新たな章では、ザッシュと死影それぞれの物語において、非常に重要で激しい出来事が数多く描かれてきました。しかし、この小説における最も重要な瞬間――そして二人の物語においても最も重要な瞬間は、この先に訪れます。




