表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/21

第14話

第33章


焼けつくような怒りに囚われていた。


目を覚ますと寝台にいた。草の香りがして、全身が痛くてほとんど動けなかった。最初に思ったのは、どうやってここまで運ばれたのかわからないということだった。次に、昨夜のことを思い出し、こんなにボロボロなのはあの人のせいだと思った。


狂信者。後先を考えない。あと少しで死ぬところだった。それ以上に恐ろしかったのは、あの人が死ぬところだったことだ。これだけ努力してきたのに、復讐はそれほど大切ではないのか?最も大切なことではないのか?唯一のものではないのか?こんなリスクを冒すなんて、限度を知らない本物の狂人だ。考えれば考えるほど怒りは膨らんだ。こんな感情は初めてだった。怒りを抑えるのがこれほど難しいとは思わなかった。午前中のかなりの時間、こぶしをきつく握りしめたまま、必死に自分を抑えていた。


ゆっくりと起き上がった。筋肉が悲鳴を上げ、骨が軋んだ。狂信者。無謀なやつ。ご主人様が背を向けて装備を確認している間に、どうにか服を着替えた。融通の利かない頑固者。偏執狂。テーブルまで歩き、朝食の前に座ると、もう立ち上がれない気がした。


あの人はこちらを見もしなかった。それでよかった。短剣に油を引いた布をかけている。無神経。残酷。布をめくると、好きな塩味の焼き菓子が並んでいた。これで忘れさせるつもりか。狂気だったと、あの人は理解している。その証拠だ。間違いだった。うまくいった。だが、もし失敗していたら。ほんの少しのずれで、今ごろ死んでいた。復讐も、故郷も、すべてが途切れていた。自分はきっと耐えられなかった。生きていても、自分で終わらせていた。狂信者。野蛮な狂人。魔族はあの人だ。自分じゃない。


菓子を口に入れた。これまでで一番美味かった。なのに噛むたびに痛みが走り、喉を通すのもやっとだった。それでも少しずつ食べながら、痛みと甘さと、怒りを混ぜていた。


どうしてこんなものを背負わせたのか。どれだけ苦しむか、考えていないのか。善意なのはわかっている。ただ、越えさせたかっただけだ。越えさせたかっただけだ。だが、こんなやり方じゃない。


失敗する可能性はいくらでもあった。四体ではなく十体だったら。全員同時に来ていたら。代わりの手段もなく、武器も装備もなく、戦う準備さえなかったのに。


首を振る。考えれば考えるほど、腹が立つ。


そして一番許せないのはそこだった。失敗していたかもしれないのに、結果は成功だった。あの無謀の末に、あの人はやり遂げた。自分は本能を抑え込み、内側の力を流し込み、越えた。そして今になって気づく。あれ以外では無理だったのだと。


問題は、自分がそれを望んでいなかったことだ。


戦うことは学びたかった。それは本当だ。だが、今のままで十分だと思っていた。それ以上はいらないと、どこかで決めていた。体は鍛えられ、技は実戦に耐えるようになり、動きは研ぎ澄まされていた。それでも内側のもう一つの存在には触れたくなかった。魔族と繋がり、頭の中で声を響かせ、感じたくないものを感じさせるもの。


もう一度ご主人様を見る。静かに装備を整えている。あの人は知っていた。言葉にしなくても。自分がそれをどれだけ恐れているか。自分では絶対に踏み込まないことも。だから追い込んだ。一緒に長く過ごしてきた。そのためだけに傷つけるような人ではない。


それでも――なぜあんな方法で。なぜここまでの狂気で。別のやり方はなかったのか。


答えは一つだ。あの人は自分を読んでいる。開いた本のように。自分は自分のためには限界を越えない。心の奥では知っている。自分はただの雑種だと。必死に働き、役に立とうとしてきた。受け入れられたかった。居場所が欲しかった。それでも結局は拾われた雑種だ。一人ならとっくに諦めていた。でもご主人様の前では、それだけはできなかった。


それを知っていて、すべてを賭けた。どれほど無責任なのか。どれほど狂っているのか。そしてどれほど信じていたのか。必ずできるとわかっていても、普通そこまで賭けるか。雑種一人のために、全部を。


その日、言葉はなかった。あの人は訓練へ出て行き、一度も振り返らずに洞窟を離れた。ザッシュは一日を回復に使った。次の狩りから外される理由を与えるつもりはない。耐える。やる。準備する。


あの人は変わらない。それを受け入れるしかない。でも自分も止まらない。ここまで来た。まだ進む。


怒っている。許せない。なのに、本当はそうしたくない。一人でいたいのに、早く戻ってきてほしい。責めたいのに、感謝したい。殴りたいのに、抱きしめたい。ザッシュには、何もわからなかった。



第34章


ギャラリーに入る前の装備を整え終えていた。一言も交わしていなかった。ご主人様が戻ってきてから、ザッシュは自分の用事に集中しているふりをしながら、時折横目で彼を見ていた。しかしあの人の関心は、いつも通り狩りの準備という強迫的な習慣以外には何もなかった。驚くことでもない。


装備が終わると、ご主人様がこちらを見た。彼女も準備ができていた。言葉なく二人は門へ向かった。彼が開くと壁の紋様が輝き、向こうに岩の地形が現れた。場所によってはほぼ垂直に切り立っている。しかし今日は、いつもと違って、彼はそのまま進まなかった。代わりに話し始めた。


「今日は狩りではない。ここでやるべきことがある。渡ったらわたしは話せなくなる。今、指示を出す」


ザッシュは驚いて彼を見た。また試練か?しかし何も言わなかった。彼は続けた。


「この辺りは魔獣が残っている可能性がある。渡って感じたらすぐに知らせろ。自分で対処できると判断したら迷わずやれ。だが、多くいる場合や少しでも迷いがあればすぐに知らせろ。そのときは即座に戻る。このリスクは許容できない。繰り返す、許容できない。わかったか」


「問題がなければ、あの岩へ向かう。登ると神殿がある。中央に祭壇があり、その奥に大きな赤い岩がある。他は無視して祭壇へ行け。聖なる武器を外してその上に置け」


短剣を一本取り出して彼女に渡した。ザッシュが手にした間、彼は続けた。


「祭壇が輝くのを待て。わたしがそれを行う。光ったら指に小さく傷をつけ、血を両方の武器に触れさせろ。一滴でいい。血が触れれば十分だ。重要なのはここからだ。光る祭壇の表面に両手の平を置き、光が消えるまで待て。光っている間は絶対に手を離すな。契約が完了する前に儀式が途切れたら、聖なる武器は破壊され、お前は死ぬ。周囲で何が起きようとも関係ない。手を動かすな。今言ったことを繰り返せ」


ザッシュは完全には状況がつかめなかった。契約?


「光が消える前に手を動かせば、聖なる武器が破壊されて、わたしが死にます」


「周囲で何が起きようとも。繰り返せ」


「手を動かしてはならない。周囲で何が起きようとも。わかりました、ご主人様」


「光が消えたとき契約は完了する。ここへ戻る。もしわたしが戻れない状態なら、お前が連れて戻れ。助けられないと判断したときは、わたしをそこに残して一人で戻れ。いいか」


「ご主人様」ザッシュは首を振った。「怖いんですが。これも試練ですか」


彼は微動だにせず、淡々と続けた。


「お前は武器と血の契約を結ぶ。これからその武器は生きたものになり、お前の一部となる。お前と共に育ち、お前が強くなるにつれてさらに強くなる。お前の中の魔族は目覚めたばかりだ。おそらく時と共に、その特別な半魔の性質が、お前をかつてなかった最強の戦士へと変える。そのとき、これらの武器を使うお前は止めようがない」


少女はそれを聞きながら、完全には消化できずにいた。しかしすでに驚いていると思っていたのに、最後の言葉が完全に打ちのめした。


「もう一つある。神殿に近づくにつれて、祭壇の奥の赤い岩から音が聞こえるようになる。次第に大きくなる。無視しろ」


「はい、ご主人様。でも何ですか?その岩の中に何かあるんですか?」


いつもと同じ氷のような目で、問いに答えた。


「わたしの心臓だ」



門をくぐってその場所に踏み込んだ瞬間、ザッシュは岩の方から聞こえる規則的な音をかすかに聞いた。ご主人様を見ると、胸が痛むように首をすくめていた。しかし彼は顎を引き締めてこちらを見た。


「近くに魔獣はいません」と彼女は言い、強い心配を込めてその顔を見た。


彼は前を向いてゆっくりと動き出した。突然歩き方が変わった。足取りは重く、痛みに満ちているように見えた。奴隷市場で自分を買ったあの亡者のような姿を思い出させた。ザッシュは恐れていた。それ以上に、ご主人様が打ち明けてくれたことがパニックの寸前まで追い詰めていた。


音は鼓動のように聞こえたが、そうではなかった。ご主人様の心臓がそこにある、確かにある、そして生きている。それだけでも恐ろしいはずなのに、現実はさらにひどかった。


ご主人様が先を行くよう合図した。彼がゆっくりと進んでいる様子を見て、ザッシュは迷った。明らかに苦しんでいる。そばを離れたくなかった。しかし従わなければならない。岩の地形に近づくと、登るのにちょうどいい道があった。後ろを振り返ると、男がまだゆっくりと進んでいた。決心した。


厳密な意味での洞窟ではなく、岩の巨大な折り目のようなもので、その高さに来て初めてわかった。自然の大広間のような場所で、外光に開かれていた。そこかしこに石や枝や瓦礫があったが、形のわかるものもあった。主壁の両脇に大きな像が四体ずつ、すべて壊れていた。棚岩や、かつて小さな柱や台だったらしいものの上には、ザッシュには見当がつかない金属製の道具や物品があった。そして広間の中央に、際立った存在感を持つ長方形の祭壇があった。一枚の石を刻んで作られた幅広の台で、その奥にご主人様の心臓が打つ音の聞こえる大きな赤い岩があった。


ご主人様が答えてくれたように、単なる鼓動ではなかった。かつて失われた魔法が彼の胸からそれを抜き取り、最も深い部分の生きた岩の欠片と取り替えた。それが心臓を目覚めたままにしていたが、それだけではなかった。その音は叫びのようで、呼びかけのようだった。心臓はまだ持ち主と繋がっていて、今彼がここにいることを知り、戻りたくて呼んでいた。死んだ肉片になっていないだけではなく、それ自体が一つの生きた存在であり、岩の欠片が持ち主の胸でその場所を奪い続ける限り、永遠に打ち続け、それを要求し続けるだろう。ご主人様が近づくと打ち始め、近づくほど音は大きくなり、彼の苦しみも増した。恐ろしかった。ザッシュは耳を塞いだが、意味がないとわかった。塞いでも同じように聞こえた。


ついに死影の輪郭が、曇り空のくすんだ灰色を背景に浮かび上がった。上まで来ていた。その姿からすると、もう少しで来られないところだったかもしれない。ザッシュはやるべきことを思い出した。弓を下ろして祭壇の上に置き、赤い岩を背に向けた。続いて刀も同じように置いた。ご主人様の方を見て……近づいてくる彼の横で、外からの光が、床の左側にある何かに弱い青みがかった光の反射を生じさせているのに気づいた。


男は強い流れに逆らうように祭壇へと近づいてきた。いつもの冷たい表情が今は苦痛と努力と決意の歪みになっていた。祭壇のそばに来るまで止まらなかった。そこで唇を動かし始めたが、声は一切聞こえなかった。目を血走らせながら、祭壇を見つめて何かの言葉を黙々と唱え続けているようだった。聞こえるのは岩の打撃音だけが爆発のように響いていた。


そして衣の内から小さな巻物を取り出した。言葉を唱えながら、祭壇の上に広げて手の平を押し当てた。その表情はどんどん緊張し、やがてザッシュは驚愕して、巻物と彼の手が突然火の玉に包まれるのを見た。


しかしご主人様は引かなかった。手が燃えながら、黙って言葉を唱え続けた。炎は衣に移らなかったので、何か魔法的なものだと思った。そしてその推測を確認するように、炎がついに消えると同時に、祭壇に刻まれた紋様が光り始めた。彼が祭壇から手を引いたとき、その手にはやけどの跡が一つもなかった。驚きで口が開いた。


紋様の光が増して、祭壇全体が完全に輝いた。死影は痛みで燃えるような目をザッシュに向けた。彼女はやるべきことを知っていた。彼から受け取った短剣で指先に小さく傷をつけた。あの極めて白い肌に、赤い一滴が際立った。刀の柄に触れると、強い赤い輝きがそこに灯った。弓のグリップにも同じことをすると、同じように輝いた。


短剣をしまい、もう一度ご主人様の目を見た。そして光る祭壇の表面に両手の平を置いた。


生きていた。本当に生きていた。


弓と刀が今や自分の一部だった。互いに認め合い、受け入れ合い、血を分かち合った。言葉では言い表せなかった。一つになるのを感じた。それぞれの本質が混ざり合い、自分自身の延長へと変わっていくのを感じた。祭壇自体を通じてエネルギーが流れ合うのがわかった。手を通して自分の中へ、外へと行き来していた。聖なる武器が、人間の半分にも、魔族の半分にも触れていた……


……魔族!


「ご主人様!魔獣が来ます!」


あまりの驚きに飛び上がって手を動かしそうになったが、彼のしぐさが止めた。声はなかったが、手の平をこちらに向けて差し伸べ、それから武器を指して、そのままでいるよう示した。彼女は頷いた。死影は向き直り、数歩外へ向かいながら双剣を抜いた。


三体で、速く近づいていた。ザッシュはご主人様が長剣を地面に刺してそれに体を支えながら立つのを見た。焦りが募り始めた。儀式はどれくらい続くのか。明らかに彼は戦える状態ではなかった。背後の岩から聞こえる封じられた心臓の打撃音は一瞬も止まらず、ご主人様はそれが自分の内側で爆発しているかのように感じているようだった。


武器を見ると、動いているような錯覚すら覚えた。彼女の心配を感じ取り、共に苦しんでいた。内側の何かが、落ち着いて武器との絆に集中するよう告げた。完全な融合はもうすぐだ、一つになる。疑いや不安で過程を汚染すれば遅れるだけだ。心を穢れから清めて、完全に委ねなければならない。最後に前を向いた。最初の怪物が岩の縁から姿を現し始め、死影が剣を構えてそれに向かった。ザッシュは目を閉じ、儀式を完了するために自分自身の内側へと沈んでいった。



どれくらい時間が経ったかわからなかった。武器はほとんど自分のものになっていた。互いに認め合い、受け入れ合い、血を分かち合った。儀式がもうすぐ終わる。ザッシュは目を開けた。三体のうち一体が長剣を胸に刺されたまま血だまりの中で倒れていた。もう一体は何かの衝撃で倒れたらしく、よろよろと起き上がろうとしていた。そして三体目は……ご主人様に向かって激しく打ちかかっていた。岩壁に寄りかかった彼は、ほとんど防ぐことができなかった。空いた腕を上げて凄まじい連打を受けようとし、もう片方は動かなかったが、それでも短い方は握っていた。


あとわずか。契約はもうほぼ結ばれていた、感じ取れた。集中を切らすわけにはいかない。しかし難しかった。起き上がろうとしているもう一体が、こちらを見ているのがわかった。早く、急いで。背後の岩から封じられた心臓の打撃音が爆発のように響き、ご主人様は殺そうとする魔獣の攻撃を必死に受け続け、三体目がこちらへ近づき始めた。早く。集中しろ。もうすぐだ。


怪物がほぼ祭壇のそばまで来た。ザッシュは静止したまま自分を保とうとしていたが、爪を広げた手がこちらへと迫ってきた。早く、早く、早く。


短い方が飛んで怪物の腕を貫き、魔獣は痛みの叫びを上げて床に倒れた。ご主人様の方を見ると、時が止まったように倒れるのが見えた。打撃で顔はひどく腫れ上がり、血の中からかろうじて見える一つの目は白目を向いていた。頭が岩に打ちつかり、動かなくなった。魔獣がその動かない体を持ち上げた。ザッシュは怪物の飢えを感じた。大きな牙を見せながら口が開き、獲物の頭を噛みちぎろうとしているとわかった。


今だ!


契約が結ばれた。光が消えた。ザッシュの矢が魔獣の口先に凄まじい勢いで命中し、深く刺さって顔面を砕いた。即死した怪物は後ろへ崩れ落ち、空中に放り上げたご主人様を手放した。彼女はあまりの速さで動いて、地面に着く前に受け止めた。その顔はひどく変わり果てていて、ほとんど見分けがつかなかった。


最後に残った魔獣が立ち上がり、腕から剣を引き抜いて、雑種を見据えてから飛びかかってきた。ザッシュの赤い目が怒りに燃えた。



◆◆◆



この物語の展開を引き続き見守ってくださり、ありがとうございます。今回、私たちは新しいザッシュに出会いました。そして彼女自身も、これまで経験したことのない自分の一面と向き合っています。この章の冒頭ではかなり怒っていた彼女が、最後にはご主人様を傷つけた魔獣たちへの深い怒りと憎しみを感じるまでになります。あの魔獣への最後の一瞥が、皆さんの心にも深く届いていれば嬉しいです。


でも、ひとつ見逃していただきたくないことがあります。ザッシュが神殿の床で一瞬だけ目にした、あの青い輝き。まもなく、それが何なのかがわかります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ