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逢瀬は、プラットホームで。  作者: 椎名美雪
第四章
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家庭の事情

 これまで書いていない、私の家庭事情に触れてみる。


 昨年の暮れあたりから、我が家には、ある変化が起きていた。

 父が勤務している事業所の、閉鎖が決まった。今夏頃の閉鎖で、秋には他の事業所などに移ることになる。


 父はある技術者で、若手育成の指導をする仕事をしていた。近場にいくつかある事業所を、股に掛ける仕事をしていたこともあり、今の勤務先が閉鎖しても、通勤圏内の何処かに移れると思っていた。


 けれど、閉鎖をする事業所全体の従業員数は桁違いに多い。早期退職者を募るような景気に傾いてきていたし、定年も近い父を、そう簡単に優遇してくれない。


 希望していた近場の事業所へは行けず、異動先に決まったのは、遠く離れた九州の事業所。


 あと数年で還暦の父を、単身赴任させるか、家族で移るか。

 父は家族をとても大切にする人だし、母は父が大好きだし、家族が離れて暮らすなんて、考えられない様子だった。


 でも、家族で移り住むとなると、就職したばかりの私は仕事を辞めることになる。

 両親は、そのことでも頭を悩ませていた。

 私は私で、井沢さんと離れることになるのかも……と考えて、落ち着かない日々を過ごした。


 父の事業所が閉鎖になるのは、もうすぐ。

 家族の決断も、猶予がない。

 家中に漂う、ピリピリとした雰囲気。私は、一度だけ「行きたくない」と気持ちを伝え、最後の決断は両親に任せた。


 娘思いの優しい父、過保護を通り越して過干渉で神経質な母。


 家族の将来を考えて悩む両親に、追い打ちをかけるような事が起こり、それが火種となり広がっていくなんて。


 悪いのは、全部――――私。

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