クリスマスの日に
「誕生日プレゼント、だいぶ遅くなったけど、欲しい物あるか?」
誕生日のことなんて、もうすっかり忘れていた。一週間以上も前のことだし、井沢さんも、いつもと変わらない風だし。
それを今聞かれても、嬉しさよりも先に、「?」が来る感じなんだけど。しかも、その日は、クリスマス・イブ。金曜日。
わー! すごい! 良いタイミング!! ――ではない。
何度も書くけれど、彼はクリスマスには無関係。たまたま、その日と重なっただけだと思う。
「プレゼント? くれるの?」
「冗談で言うかよ」
「そうだよね」
少し考えてみるけれど、急に欲しい物を聞かれて、浮かぶはずがない。
「俺、すぐに向こうに行かないといけないんだ。明日、時間があったら、こっちに来れるか?」
先を急ぐ井沢さんは、年内の残り数日が、生きるか死ぬかの瀬戸際らしい。
正直言えば、明日割こうとしている時間さえも、惜しいはず。
“土曜で、仕事がお休みの日に、ココに来るの?”――そう、思わないはずがない。
踏切を渡った反対側は、街並みがガラリと変わって、たくさんの店舗が立ち並んでいる。確かに、何かを選ぶなら、充分すぎるお店の数。きっと何かは見つかるでしょう。
考えるまでもなく、頷いた。
明日はお休みなのに、また会える。
井沢さんには内緒で、クリスマスに会えることを、一人で喜んでおこうかな。




