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逢瀬は、プラットホームで。  作者: 椎名美雪
第三章
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私は止まり木

 どこを見ても、クリスマス。

 定番のクリスマス・ソングは勿論だけど、前年にヒットした【クリスマスキャロルの頃には】が、まだ記憶に新しく一年経っても街中に流れていた。


 本来なら、日本人には無関係なはずのクリスマス。

 子供の頃から、プレゼントが貰えるということだけで、意味も解らずにこのイベントが大好きだった。


 なんとなく気分が盛り上がる! という人が、多いんじゃないかな、と思うけれど、宗教活動をしている井沢さんには、完全に無関係。


 クリスマス、初詣、お葬式、神社仏閣――全部ダメ。


 信仰している神が全てで、他に崇められていたりするものは、彼の中から排除されている。お葬式なんて、教団が仕切っているものではないと参列しないし。

 詳しくは知らないけど、とりあえずは、クリスマスの話題はNG。変に触れないようにしないと。



 私からは触れなくても、周囲はそんな事に構わずにクリスマスの話題を振ってくる。

 この季節になると、ありがちな質問。


「クリスマス、予定あるの?」


 そんな言葉が、彼に投げられるのを聞く度に、無駄に事情を知っている私だけがハラハラしていた。


「別に何もないですよ」


 素っ気なく、そして、目が笑っていない。そんな彼を見ると、やっぱり少し違うことが判る。私は、友達とはクリスマスの話題で盛り上がり、彼の前では、関心なさそうに振る舞った。


 年末が近づいても、井沢さんの宗教活動の多忙さは衰えない。家には、少しの睡眠時間をとるためだけに帰るみたいで、仕事以外の時間は、ほぼ宗教活動に充てられている。


 私には、そこまで必死になる意味が解らないけど、余計なことは言わず、聞かず、少し離れて見守っていた。


 友達は、そんな私を見て、こう言った。『椎名ちゃんて、井沢さんの“止まり木”みたい』会社とプライベートを飛び回る、井沢さんの間にいるのが私。……ということのよう。


 なるほど。上手いコト言うな~。


 そして、会社と教団の間を、バサバサと飛び回っている鳥さんが、止まり木に言いました。


「誕生日プレゼント、だいぶ遅くなったけど、欲しい物あるか?」――って。

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