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逢瀬は、プラットホームで。  作者: 椎名美雪
第三章
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忘年会

 入社して二度目の冬。

 その年の忘年会も、盛大に行われた。営業本部全体での忘年会だから、かなりの大人数になる。


 大広間に、長い座卓を向い合せにズラリと並べた “ウナギの寝床”。これが二列もある。よく、社員旅行などの大宴会で見られる、アレ。


 営業部全体での飲み会は、若手と呼ばれる人が、男女合わせて半数近くもいるから、賑やかすぎるくらいに盛り上がる。

 職場のような、年齢も性別もバラバラの飲み会の時、自分の好きなように座ってしまうと、どうしても“若い人”と“ベテラン”で、分かれてしまう。


 それでは親睦もはかれないし、つまらない――ということで、偏らないように、「君はここに座って」と、会が始まる前にベテランに席位置を指定をされてしまった。

 下手をすると、日頃話さないような人の隣に座らされることも。

 オジサマ数人の間に、男女問わずに“若い人”を組み込まれ、忘年会がスタート!


 *


 以前にも書いたことがあるけれど、私は“オジサマのウケが良い”。私が座らされたのは、馬渕部長や上役が固まっている所。

 そうなると、下っ端の私はお酒を注ぎに回らないといけなくて。


(コンパニオン代わりか。面倒くさい! 全然楽しくない!!)


 やさぐれそうになる私だったけど、斜め前には木村ちゃんがいたし、まっちゃんも近くにいたから、少しは安心出来た。


 そして――いつもイベント事はパスしている井沢さんが、珍しく参加している。だが、その彼とは、地の果てほどに遠い場所に離れてしまい、気配さえも分からないほど。


 会が進むにつれて、参加者のお酒のペースも進み、饒舌になる人、顔を真っ赤にして眠そうな人、呂律が回らなくなる人……。いつも無口で真面目な人が、お喋りになったり。あまり見ない光景に、私は驚きながら、会話につきあった。


 ある程度の時間が過ぎ、


(疲れた……もう帰りたい…………)


 一呼吸を置きたくて、グッタリしながらトイレに逃げ込んでいた。

 さて、もう一息頑張るか! と、席に戻ると、私の右隣に、まっちゃんが移動してきていた。

 斜め向かいにいた木村ちゃんも、まっちゃんの隣にいる。


「あれ? 二人とも、どうしたの?」


 聞きながら、辺りを見てみると、いつの間にか席がシャッフルされている。

 あれだけ分散させていたのに、若い人だけで集まったり、話が弾む人たちでワイワイと飲んでいたり。

 まあ、必然というか、結局はこうなるよね。


 ふと、部屋の奥のほうの、一際騒がしい席に目を向けると、営業の賑やかな皆さんたちの集団。

 佐藤さん、川本さん、由真ちゃん、木内さん、志野先輩――他数名が大騒ぎをしている。


 ……なんと! 井沢さんがその中にいる!?

 うん、まあ――彼も若い男性だからね。そういうのも、嫌いじゃないでしょう。


 自分も若いクセに、木村ちゃんとまっちゃんの三人で、壁に寄りかかってお喋りを楽しんでいた。

 そんな私達を発見した由真ちゃんが、畳の上を、ものすごく元気に走ってきた。お酒を飲んだようで、顔が真っ赤。というか、彼女はまだ未成年だけど……?


「ちょっとー! 三人とも何やってんのー!? あっち行こうよー!! 楽しいよ?」


 由真ちゃんは、本当に楽しそう。

 そりゃそうだ。大好きな佐藤さんと、ふざけ合っているんだもん。


“どうする?”と、顔を見合わせた三人。


「私はいいよ、ここで」


 最初に口にした木村ちゃんに同調して、まっちゃんと私も頷いた。


「こっちは気にしないでいいから、遊んできな~」


 送り返す三人に、「えー!?」とか言いながら戻っていく。


「椎名ちゃんは、いいの? 井沢さん、あっちにいるじゃん」

「んー。いいよ、別に。私にはチョット無理だよ」

「だねー。木内さんいるしね」


 別世界のような、その場所を横目に、三人で楽しくお喋りをして過ごす……はずだった。

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