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逢瀬は、プラットホームで。  作者: 椎名美雪
第三章
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人恋しい季節に

 彼が入院してから、土日を挟んで数日間、好きな人の姿が見れなくて、寂しい毎日を過ごした。


 その間、顔は見れなかったけれど、お見舞い翌日の夜に病院から電話がかかってきた。


 それも、「退屈で死にそう」という理由で。私がお見舞いに行った後に、部長と課長も来たとか、本当にいつものような、たわいのない話。


 どんな理由でも、“私を思い出してくれた”んだから……。プラスに考えてみるけど、それもどうなのかな。


 彼は、「声が聞きたかった」とは、言ってくれない。気まぐれでもいいから、もう一度、言って欲しいのに。


『人恋しい季節』 といわれる、寒い冬だけにそう思ってしまうのだろうか。

 社内に彼氏が出来たばかりの淳ちゃん。沢田ちゃんは、技術部の男性からモテモテ。他の同期の女子にも、社内に彼氏がいる子は三人もいる――。


 そんな中にいて、寂しくないはずがない。

 何処まで片想いを貫くのか、自分でも解らない。誰でもいいから、私を見てくれる人が現れないかな……とか、誰かにストレートな愛情表現をされたら、心も移るのかな……とか。考えても意味のないことを、頭の中で延々と繰り返していた。


 そんな私に対して、淳ちゃんは、クリスマスに向けて大忙し。彼氏と初めてのクリスマスなんだから、楽しみで仕方がない。


「彼氏にね、手編みのセーターを贈るのが夢だったの!」


 幸せそうに手芸教室に通い、頑張る姿を見るとすごく羨ましいし、微笑ましいし、とても輝いて見えた。


 私は、そのスタートラインにも立てず、むしろ、“その場から引き離されてしまった側”の人間。

 井沢さんは悪くないのに、どうせ振るなら、「お前を女とは見れない」くらい言って欲しかった。そう思っている自分がいる。


 気付けば、心のどこかで彼を責めている。

 時折見せる、彼の “勘違いをしてしまいそうな優しさ” に縋っている。求めている……。


 夜だって、「電話する」と言われれば、素直に頷いて待っている私。結局、あの夏の日に決めた、『諦める』決意は、脆く崩れていた。


 もうすぐ訪れる、私の二十歳の誕生日。今年も寂しく、家族でケーキを食べているんだろうな。

 恋人がいる誕生日って、クリスマスって、どんなものなの? ドラマとか、漫画の中でのイメージしかない。


 去年はみんなでワイワイと楽しくしていたけれど、今年は状況が違うから――。淳ちゃんたちの幸せそうな笑顔で、今年は心を満たそう。


 賑やかな十二月の街の中で、私は、冷たい心を抱えていた。

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