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逢瀬は、プラットホームで。  作者: 椎名美雪
第三章
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理解

 会社の正門を出て少し歩くと、駅まで続く一本道に出る。

 そこで木村ちゃんとはサヨナラ。駅までは、いつものように淳ちゃんと二人で歩いていた。


 歩きながらの会話は、やっぱりさっきの事。

 木村ちゃんは、木内さんや志野先輩に、目の敵にされたことがない。だからか、“ああいう人なのね”みたいな感じで、目を丸くしていた。


 淳ちゃんは――……

 私よりもだいぶ前に、同じような経験をしているし、この時もしていたし、憎たらしそうな目で彼女たちを見ていた。


 ここで深くは書かないが、志野先輩の元カレと淳ちゃんは交際していたのだ。


「気にすることないからね。 ほんと、迷惑だよねー!」


 私の心中を察して、励ましてくれる。それからも、あーだこーだと言い合いながら、気付けば、半分以上は愚痴で終わってしまった、駅までの帰り道。


「あ! 井沢さんと待ち合わせてるんだよね? 頑張って~♪」

「うん。ばいば~い」


 優しい笑顔で、手をヒラヒラさせて、改札に続く階段を下りていく。

 私も振り返して、淳ちゃんを見送った。


 そして。マックに入る前に、入念に周囲を見渡す。

 私達より先に、木内さんと志野先輩が歩いて行ったけれど、何処かに寄り道しているかもしれない。店内に入ってからも、中にいないかフロアを見渡した。よく確認してから、いつも空いている角のカウンターに座る。


 私の手には、いつものオレンジジュース。三十分ほど経っただろうか。


「おまたせ」


 言いながら、カウンターの椅子と、背中にある太くて丸い柱の狭い間を、スルリと抜けてくる井沢さん。


 隣りの丸イスに座ったけど、また手ぶら。


(こんなこと、以前にもあったよね?)


 勧誘された時のことを回想して、思わず彼に問いかけた。


「まさか――」

「ホラ、行くぞ」


 二人の声が重なる。


「行くって、何処行くの? ここで受け取ってよ」

「落ち着かないから、他に行こう」


 落ち着くとか、落ち着かないとか……なんなの!?


「私はもう……」

「行きたくないんだろ?」


 また私に被せるように言ってくる。少し強い言い方で、私は黙ってしまった。


「解ってるから。とりあえず、ここは出よう」


 最後の言葉は優しかったけど、なにか、こう――主張するような、強い言い方に驚いてしまった。


 井沢さんの後ろを、黙って付いていく。

 いつもと同じ、プラットホームの端。


 さっきから黙っていた井沢さんは、ようやく口を開いてくれた。


「もう、無理に誘わない。だから、そんな顔をするな」

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