理解
会社の正門を出て少し歩くと、駅まで続く一本道に出る。
そこで木村ちゃんとはサヨナラ。駅までは、いつものように淳ちゃんと二人で歩いていた。
歩きながらの会話は、やっぱりさっきの事。
木村ちゃんは、木内さんや志野先輩に、目の敵にされたことがない。だからか、“ああいう人なのね”みたいな感じで、目を丸くしていた。
淳ちゃんは――……
私よりもだいぶ前に、同じような経験をしているし、この時もしていたし、憎たらしそうな目で彼女たちを見ていた。
ここで深くは書かないが、志野先輩の元カレと淳ちゃんは交際していたのだ。
「気にすることないからね。 ほんと、迷惑だよねー!」
私の心中を察して、励ましてくれる。それからも、あーだこーだと言い合いながら、気付けば、半分以上は愚痴で終わってしまった、駅までの帰り道。
「あ! 井沢さんと待ち合わせてるんだよね? 頑張って~♪」
「うん。ばいば~い」
優しい笑顔で、手をヒラヒラさせて、改札に続く階段を下りていく。
私も振り返して、淳ちゃんを見送った。
そして。マックに入る前に、入念に周囲を見渡す。
私達より先に、木内さんと志野先輩が歩いて行ったけれど、何処かに寄り道しているかもしれない。店内に入ってからも、中にいないかフロアを見渡した。よく確認してから、いつも空いている角のカウンターに座る。
私の手には、いつものオレンジジュース。三十分ほど経っただろうか。
「おまたせ」
言いながら、カウンターの椅子と、背中にある太くて丸い柱の狭い間を、スルリと抜けてくる井沢さん。
隣りの丸イスに座ったけど、また手ぶら。
(こんなこと、以前にもあったよね?)
勧誘された時のことを回想して、思わず彼に問いかけた。
「まさか――」
「ホラ、行くぞ」
二人の声が重なる。
「行くって、何処行くの? ここで受け取ってよ」
「落ち着かないから、他に行こう」
落ち着くとか、落ち着かないとか……なんなの!?
「私はもう……」
「行きたくないんだろ?」
また私に被せるように言ってくる。少し強い言い方で、私は黙ってしまった。
「解ってるから。とりあえず、ここは出よう」
最後の言葉は優しかったけど、なにか、こう――主張するような、強い言い方に驚いてしまった。
井沢さんの後ろを、黙って付いていく。
いつもと同じ、プラットホームの端。
さっきから黙っていた井沢さんは、ようやく口を開いてくれた。
「もう、無理に誘わない。だから、そんな顔をするな」




