じれったい?
友達から、「ああ! じれったい!!」そんな悲鳴にも似た叫びが聞こえる。
「もー、なんなの? 井沢さんて」
夏の暑さと相まって、イライラした声で沢田ちゃんとまっちゃんがボヤいている。
井沢さんは、まっちゃんをあまり良く思っていないけど、まっちゃんの方は、どこ吹く風。
彼の気持ちをよそに、まっちゃんはグイグイと向かっていく。
「この際さ、ハッキリ聞いてみたら?」
「そうだよ。“私のコト、どう思ってるの?”ってさ」
全くもう、他人事だと思って~!
「私、聞いてあげようか?“椎名ちゃんのこと、どう思ってるの?”って」
まっちゃんが、トンデモナイことを言いだした。
(なんて事を言いだすの!? この子はっ!!)
首をブンブンと横に振り、彼女ならやりかねない発言を阻止する。
「だめだめ!! それだけは、絶対にダメだって!」
「えー? なんで? 気になるじゃん」
「聞いたって、同じ答えしか返ってこないよ!」
「そんなの、聞いてみなきゃ判らないじゃん」
口を尖らせて、不満そう。
みんなの気持ちは、解らなくないけど……。
この期に及んで、『私のこと、好き?』なーんて、寝ぼけたことを聞けるわけないじゃない。そんな可愛らしいセリフ、可愛い女の子が言うから良いんだよ。似合うんだよ。
小首傾げながら、見上げる感じで?
――ああ。絶対に有りえない。
想像すればするほど、違和感がありすぎて、全然私のキャラじゃないよ。
そんな私だけど、もうひとつだけ“勇気を出してみよう”と思っている事がある。
まだ、誰にも話していないけど、ね。




